LaserPecker LP5レビュー。レーザー彫刻機を半年使った結論。

レーザー彫刻で作った木札やコースター、革小物を並べたテーブルとLP5本体
この記事の結論
  • すでに商売やハンドメイドをしている人なら元は取れるはず
  • DIY作品へのロゴ入れや小ロット試作に向いている
  • 趣味レベルの動機だと、正直すぐ使わなくなるでしょう

自分だけのオリジナルグッズを作ってみたい。
なんなら、それを売ってお小遣いも稼ぎたい。
誰しも一度は考えたことがあるハズ。

レーザー彫刻で作った木札やコースター、革小物を並べたテーブルとLP5本体

とはいえレーザー加工機といえば、かつては工場に置くような高級品。
個人が手を出すなんて、夢のまた夢だと思っていました。
ところが今では、家庭用のレーザー彫刻機が普通に買えてしまう時代になっています。

私はLaserPecker(レーザーペッカー)の最上位モデル「LP5」を半年ほど使い、木材、革、金属、紙、ガラスと、検証に検証を重ねてきました。

先に言ってしまうと、趣味レベルにはオーバースペックな製品です。
一方で、すでに何らかの商売やハンドメイドをやっている人には、結構アツいデバイス
下手に外注するよりも、ホント高品質なものが作れますからね。

この記事で答えたいのは、どのモデルを選べばいいのか、そして本当に元が取れるのか、の2つ。
選び方から注意点、売り方の戦略、素材別の実測レシピまで、動画で話した内容を省略せずに書いています。

実際の彫刻の様子と、作ってきたオリジナルグッズの数々は動画でどうぞ。

目次

手で持てるレーザー彫刻機

まずレーザー彫刻機で使われるレーザーは、大きく3種類。
CO2レーザーとダイオードレーザー、あとは金属加工用のファイバーレーザーです。

CO2レーザーは出力が強い反面、ガラス管を使う都合で本体が大型になりやすい。
排気や冷却のシステムも必要で、消費電力も高いです。
一方ダイオードレーザーはコンパクトで設置も簡単、複雑な部品もないため製品寿命も長く、消費電力も少ない。
個人レベルで使うなら、ダイオードレーザーが最有力候補になるんじゃないかなと。
透明素材に弱いという弱点はありますが、黒マジックを塗る下処理で対応できます(詳しくは素材別レシピの章で)。

で、LaserPeckerはそのダイオードレーザー機の中でも、さらにコンパクト。
小型家電のような見た目で、中身は本格的なレーザーマシン。
コンマミリ単位の精度で、木材、革、金属といった手作業では加工できない素材に彫刻できて、レーザーの寿命は1万時間以上あります。

オレンジのシールド越しに見える彫刻中のレーザー光

そしてLaserPecker最大の特徴が、手で持ったままでも使えること。
彫刻素材を機械に入れるのではなく、機械を素材の方へ持っていける。
壁とか看板とか、大きなテーブルや棚、段ボールや車のパーツとか、据え置き型では不可能だった「後からの刻印」ができてしまう。
この自由度こそが、LaserPecker唯一無二の強みです。

LP5本体を手で持ち上げて彫刻しようとしているところ

こういった製造マシンは「ちょっと難しそう」なイメージの通り、実際は試行錯誤してなんぼの世界。
だからこそ、簡単に使えて気軽に試せるってのが、なんだかんだで一番重要だとも感じています。
気兼ねなく試せるから、使う気になる。

しかもプリンターと違って、後から高いインク代がかかりません。
ランニングコストが低く、電気と素材さえあれば、ひたすらに商品を作り出せるわけです。
インクを吹き付けるより、レーザーしちゃった方が良いんじゃないか、とすら思えてくる。

モデルの違いと選び方

私が使っているのは最上位のLP5ですが、収録時点のLaserPeckerにはLP1 Pro、LP2、LP2 Plus、LP4、LP5の5モデルがありました。
選ぶ基準はシンプルに2つ。
金属にも彫刻するのか、そして、どれぐらいの速度で彫刻したいのか、です。

LP2LP2 PlusLP4LP5
位置づけ入門機売れ筋・コスパデュアルレーザー最上位
ダイオードレーザー5W10W10W20W
金属用レーザーなしなし赤外線2Wファイバー20W
彫刻速度(最大)600mm/s4,000mm/s4,000mm/s10,000mm/s
金属彫刻×(塗装剥がし程度)×(塗装剥がし程度)△(浅いマーキング)
価格(2026年8月時点・公式セール価格)79,190円115,200円172,900円375,000円(通常598,800円)

上位モデルほどパワーが強く、彫刻スピードが速くなります。

LP4とLP5はデュアルレーザー構成なので、金属にも彫刻できる仕様です。

ただ、木材や革製品に彫刻するだけならLP2でも可能で、その速度を向上させたLP2 Plusなら十分速い。
LP2 Plusは格安ながらLP4と同等スピードで彫刻ができて、Wi-Fi接続にも対応してますからね。

LP4は金属用レーザーも積んだハイブリッド機ですが、2Wの赤外線レーザーでは金属を深く削れず、表面にマーキング程度が限界。
金属をやらないならLP2 Plusの方がコスパが高いし、金属を本気でやるならLP5、という構図です。

とはいえ、LP5でも金属加工には時間がかかるし、難易度も高い。
金属への彫刻は木材より神経を使う部分が多く、ミスする可能性も高くなります。
商売まで考えているなら「安定して仕上げられる」ことが非常に重要なので、気軽には勧められません。
そもそも金属はハンドメイドで手を加える余地が少なく、既製品に名前やロゴを入れて終わりがち。
レーザー加工がメインになりがちなので、差別化も難しいと思っています。

あと商売まで考えているなら、高額な上位モデル1台より、ベーシックモデルを複数台
1台をテスト用、1台を量産用にしたり、彫刻中にもう1台の準備をしたり。
この感覚は、3Dプリンターを使ったことがある人ならなんとなく分かるかなと。
対面販売なら複数のお客様の商品を同時に彫刻できるし、レーザー彫刻は加工している様子自体が面白いので、1台をデモンストレーションの客寄せパンダにする手もあります。
下手に人を雇うより、よっぽど効果的に人を集められるんじゃないかなと。
機械が並んでいる方がインパクトもあるし、トラブル時のリスクヘッジにもなる。
結局のところタイムイズマネー、生産効率は利益率に直結しますからね。

収録時点の実売では、LP5の1台分でLP2 Plusが2〜3台買えてしまいました。
まずはLP2やLP2 Plusで木材や革への加工に慣れて、金属加工の活用イメージが固まってから上位機を考えても遅くはないでしょう。

なお公式のラインナップは入れ替わりが早く、収録時にはなかったモデルも増えています。
金属や樹脂のマーキングに特化したLP3、ポケットサイズのLP1 Plus、カット用のガントリータイプLX2などですね。
「金属をやるか。速度はどれだけ要るか」という選び方の軸は同じなので、最新の価格とラインナップは公式サイトでご確認を。

半年使って気になった注意点

半年使った印象を先に言うと、「レーザー彫刻機にしては分かりやすい。ただし直感的に使えるほどではない」です。
3Dプリンターに比べると普及していないので、トラブった時の情報も少なく、使う難易度はワンランク高いイメージですね。

アプリと設定は、お世辞にも分かりやすくない

アプリは日本語化されているとはいえ、日本語訳が怪しい。
情報も英語ベースが多く、LaserPeckerアカデミーや公式ブログも日本語に最適化されていない雰囲気で分かりづらい。
公式の解説はスマホアプリ中心で、PC版アプリとスマホアプリでUIや操作性も違うので、パソコンで使う私は理解するまでちょっと時間がかかりました。

初心者が一番困るのは、おそらくパラメーター設定。
素材ごとのプリセットはあるのですが、この数値はあくまで目安です。
覚えるべきは4つの数値の意味。
解像度が「細かさ」、出力が「パワー」、パスが「回数」。
問題は残る「深さ」で、私はこの名前に騙されました。
これは彫りの深さではなく、実質はスピードの設定です。
数値が高いほどヘッドがゆっくり動き、ゆっくり動くから深く彫れる、という理屈。
ここを理解しておくと、プリセットに振り回されず自分で調整できるようになります。

ノートに書き留めた出力設定と、ステンレス板のテストパターン

もう1つの罠が、出力テスト機能。
LaserPeckerには出力をテストする機能があるのですが、原稿のサイズが変わると結果も大きく変わります
同じ素材、同じ設定でテストしても、イラストのサイズが違うだけで仕上がりは別物になる。
テストは本番と同じサイズでやってください。

あと、うまく彫れない原因は設定の数値以外にもあります。
フォーカスのズレ、本体が水平になっていない(左右で焦点がズレて彫刻にムラが出る)、そしてレンズの汚れ。
プレビューの青い枠がぼんやりしてきたら、レンズ汚れのサインです。
定期的に掃除してください。

換気できる環境が必須。発火リスクもある

レーザー彫刻って、要は物を焼いている状態なので、煙も出るし強烈な臭いも発生します。
油分を含む竹材や、接着剤を含むMDF材は、びっくりするぐらい煙が出ます。
革を焼いた時の動物性の焦げた臭いも強烈。
換気なしで部屋でやったら、火災警報器が鳴るレベルです。

彫刻中に大量の煙が上がっている様子

換気していても少なからずモクモクするし、窓の外にも臭いが流れるので、普通に家族に文句を言われますからね。

窓際に彫刻機とポータブル電源を並べた作業環境

金属加工では粉塵を吸うリスクもあるので、専用の空気清浄機も欲しいところ。
ただ、これがそこそこ高額で、しかもうるさい。
本体よりも圧倒的に騒がしいのがこの機械で、ファンを最大にすると掃除機並みの音がするので、夜間は使えません。

彫刻機の横に置いた専用の空気清浄機

そして安全管理。
木材や革は、設定をミスると普通に発火します
新しい素材を試すときは絶対にそばを離れない。
水や消火器も手の届く場所に。
彫刻し始めたら身動きが取れなくなるので、時間のかかる彫刻や「寝ている間に彫刻」はやめた方が良いです。
外で使うにしても、フルパワーで使えばやっぱり煙は出る。
家でも外でも、小物を彫刻するくらいが実用的で、板の深彫りや3D彫刻、カットはあんまりやりたくないというのが本音です。

ちなみに消費電力は最大120Wと高くはなく、実測では木材彫刻で30W前後、金属を出力MAXで彫刻して80〜90Wぐらいでした。
私は500Whのポータブル電源で屋外運用も試しましたが、半日は余裕、1日フルはちょっと持たない印象。
パソコンや空気清浄機、複数台の運用まで考えるなら、1000Whクラスの電源があると安心です。
1000Whは100Wの機械を10時間使える計算(あくまで理論値)。
ポータブル電源は防災グッズとしても安心だし、私は電動昇降デスクを無線化してワイヤレスのスタンディングデスクにしたりもしています。

→ 関連記事:電動昇降デスクの自作

カットには向いていない

LPシリーズはあくまで「彫刻機」であり、レーザーカッターではありません
ヘッド固定のガルバノ式なので、端に行くほどレーザーが斜めに照射され、断面も斜めになる。
プリンターのようにヘッド自体が移動するわけではないので、上からまっすぐカットができないのです。

カットを試している最中のLP5

出力20WのLP5でも、コンパクトゆえに排気や放熱に難があり、熱と煙で切断面が焦げて煤で汚れます。
マスキングテープ、裏面からの照射、カット後のヤスリがけと色々試しましたが、そのまま使えるとは言い難い。
そもそも上手くカットできる設定を探すのが大変です。
カットがメインなら、ヘッドが動くガントリータイプ(現行ならLX2など)や専門機を選ぶべきです。

試行錯誤が必須。サンプルは「資産」

同じ木材、同じステンレスでも、モノが変われば適切な数値は変わります。
柔らかい木と硬い木で結果は全く違うし、節があればそこだけ色が薄くなる。
合板や集成材でまた話が変わるし、彫刻するデザインやサイズが変わるだけでも仕上がりが変わる。

設定値を書いたマスキングテープを貼った竹ボールペンのサンプル

理想に近づける方法は、繰り返し彫刻して、アイテムごとにベストな設定を探るしかない。

私はサンプルにその都度の設定値をマジックで直接記入して保管しています。
最初はパソコンの画面をスクショして記録していたんですが、直感的に分かりづらく、即確認もできないのでやめました。
マスキングテープに書いて貼るでも良いですが、現物に書いてしまうのが一番早い。

作りためたキーホルダーや革小物を並べたところ

失敗作ではなく、自分だけのレシピ。
私にとっては資産です。
これを繰り返すと「この素材ならこれくらい」が感覚で分かるようになってきます。

裏を返すと、取り返しのつかない製品にいきなり刻印はできないし、サンプルを作って数値を確認していく手間は必ずあります。
少しも材料を無駄にしたくない、失敗したくないって人には、はっきり言って向いてません。

アタッチメント課金は、よく考えてから

拡張パーツで作れるものは増えますが、取り付けは思っていた以上に面倒でした。
配線も増えて場所も取るので、売りであるポータブル性と手軽さが薄れます
「ボトルを彫刻してから、次は平らなものを彫刻する」みたいにコロコロ切り替えるのは現実的ではなく、本気でやるならアタッチメント専用にもう1台置きたくなる。

スライドエクステンションを取り付けているところ

そこまでコストをかけて元が取れるのか、そんなに使うのか、はよく考えた方が良いでしょう。

スライドエクステンション(加工エリア拡張)は、長い板や大量生産を可能にするパーツですが、土台が動く都合でアイテムがずれやすく、少しでもずれたら不良品。
大量生産目的なら、素直にガントリータイプを選んだ方が良いかなと。

ロータリーエクステンション(円筒彫刻)は目的が定まっているならアリですが、一筋縄ではいきません。
挟むサイズごとに付属の爪を交換する必要があり、ボルトのネジ回し箇所も複数あって、付け替えの手間が尋常じゃない。

ロータリーエクステンションで木のポール全周に彫刻したもの

その都度レーザー照射位置の調整も必要です。
取手付きのカップは物理的にセットできないし、底が角張っていないと爪で挟めないし、回転途中でズレたら不良品。
サポート台の高さが合わず水平にできないことも多く、大きく重いものほど回転しながらズレやすい。
指輪をやった後にタンブラー、みたいな切り替えも大変です。
シルバークラフトをやっていた私には、ハンコの型押しでなくレーザーで指輪に彫刻できるのは魅力的なんですが、マルチにやるなら微妙。
一つのものに絞った方が手間もなく、安定して商品を作れる気がしました。

公式イメージでは野球ボールのような歪んだものにも彫刻していますが、照射距離が変われば仕上がりも変わるので、簡単にできるとは思わない方が良い。
少なくとも私は、球体に彫刻しようとは思いません。

結局のところ「どんなものに彫刻できるか」は重要ではありません。
同じ品質で繰り返し彫刻できるのか、ばらつきなく量産できるのか、しっかりお金を取れるものが安定して生産できるのか、が大事なのです。

どうやって元を取るのか

ここからは一番重要なお金の話。
これほど本格的なレーザー彫刻機を、趣味レベルで使うだけではもったいないわけで、どうやってこの機械の元を取るのか。
先に言っておくと、これは売上を保証する話ではなく、私ならどう販売するかという机上の空論です。
人生の半分くらいを商売に費やしてきた私として、このハイテクマシンに思うことをぶちまけておきます。

というのも、最近私はプライベートで野菜を作っている関係で、地域のお祭りやマルシェ、道の駅といったイベント販売の手伝いをすることがあるんですよね。
そこでよく目につくのがクラフト系の出店、いわゆるハンドメイド販売。
賑わっている店舗とそうでない店舗があるわけで、レーザー彫刻機のポテンシャルもビシビシと感じております。

名入れは原価数十円を数千円に化けさせる

レーザー彫刻という武器があれば、お客さんだけのオリジナル商品をその場で作ってあげられます。
イベントのお客さんはお祭り気分で、来たからには何か買いたいし、お土産も探している。
実際、レーザーで名入れしたキーホルダーや金属プレートは定番で、お客さんの名前や観光地の名前を入れるだけで、原価数十円のアイテムが数百円〜数千円のお土産に化けます

金属と革に名入れしたキーホルダー2種

オリジナルのハンドメイド製品と組み合わせれば、商品代金にプラスして500〜1,000円のアップセルが可能。
名入れ1個500円なら、10個で5,000円、100個で50,000円。チリツモですね。
周りが頑張って作った作品を1個数百円で売っている中、刻印料だけでそれなりの金額になるわけです。

お祭り気分のカップルにペアグッズとして売れば、刻印料は2倍、商品も2個ずつ売れる。
名前だけでなく記念日を入れても良い。
専用のギフトボックスに入れてさらに単価アップ。
なんならキーホルダーもどうですか、友達にあげませんか、今ならボールペンも付けますよ、とクロスセルも提案できるようになるのです。

イベント出店に限らず、Creemaやminne、メルカリ、楽天市場やAmazonでも名入れ商売は非常に多い。
自分がレーザー加工する側になると、世の中の刻印サービスがどう売られているかが目につくようになり、商売のアイデアもたくさん見つかるようになります。

売れる定番ジャンルは「愛するもの」

名前を入れるだけで売りやすい商品と、全然売れない商品があります。
定番で売れるのは、お金に糸目をつけないジャンル。
非日常で使う趣味のアイテム、ギフト商品、トレンド、シーズン商品です。

ここで知っておくべきは人間の特性。

人は自分のためには財布の紐を締めがちですが、自分が愛するもののためには驚くほど緩くなります
お客様自身ではなく、お客様が愛するものをオリジナル製品にしてあげると、一気に売れやすくなるのは確かです。

・ペット用品:家族の繋がりが希薄な昨今、孫より熱いのがペット。クラフト系イベントでよく見るのもペット関連で、犬の首輪や迷子札(ドッグタグ)に名前と連絡先を入れるだけで1,000円。プレートの原価はたかが知れてます
・車関連:車は家に次ぐ大きな買い物で、車好きのお金のかけ方は尋常じゃない。キーホルダー、マグネットステッカー、ティッシュケースと、車に置くものならこじつけでも売れる。ただし車のエンブレムやロゴを勝手に入れると商標権に抵触するので気をつけて
・シーズン商品:クリスマスのオーナメント、正月の玄関飾り。別に欲しくもないのに買ってしまう縁起物。干支や年号を変えるだけで毎年売れるし、デザインは使い回せる。在庫リスクが嫌なら見本だけ作って当日受注生産もできる
・ギフト:出産、結婚、七五三、還暦祝い。受験シーズンなら合格祈願グッズ(キットカット戦略ですね)。プレゼントは使う財布が別なので、お客様が「あげる相手」のために作ってあげる

シーズン商品には仕入れの小ワザもあります。
シーズンが終わるとセールになるので、それを大量に仕入れて翌年まで保管して、また定価で売ったりもしていたのが私です。

ペット用品やカー用品は犬種や車種がある程度限られるので、デザインをパターン化して販売しやすいのもポイント。
テンプレート販売は名入れビジネスの肝です。
一人一人に似顔絵を描く必要はないのに、その場であなたのために作ったように見せられる。
なんちゃってパーソナライズ化が効率的で、テンプレートに名前を入れるだけならLaserPeckerで簡単にできますからね。

デザインはAIで作れる時代

私を含め「デザインなんてできない」って人は多いと思うのですが、デザインも簡単にできる時代になっています。
むしろデザインをしたことがない人のデザインは壊滅的なことも多いので、自分でデザインしない方が良かったりもする

Midjourney、DALL-E 3、Stable Diffusion、Nano Bananaと画像生成AIは色々ありますが、私が使っているのはChatGPTのDALL-E 3とGeminiのNano Bananaだけ。
ホント日本語で指示するだけで、下手にイラスト発注するより質が高くてビビります。

私がコストをかけずデザインを量産できたのもAIのおかげで、似顔絵と愛犬を組み合わせたり、さらに愛車に乗せたりといったイラストも、指示するだけでできてしまうのです。

私がギフトでよくやるのは、写真をアップロードしてAIに似顔絵を作ってもらうこと。
プロンプトとか難しい話は抜きで、「この写真を似顔絵イラストにして、レーザー彫刻用にコントラスト高めにして」という適当な文言で、高品質な彫刻用データにしてくれます。
レーザー彫刻はモノクロの世界なので、黒はより黒く、白はより白く。
これがコツです。

写真プリントと比べても優位です。
L版1枚64円の時代、ちょっと大きいフォトプリントをすれば1,000円くらい取られるわけで、木材に彫刻して額に入れるだけでもそれなりのお金は取れる。
普通に写真をあげるより断然喜んでもらえるし、こっちはフォト印刷よりラクですからね。

AIに限らず、商用可能なフリーイラストやフリーフォントも多いし、Canvaなら無料でデザインテンプレートが大量に使えます。
写真とイラストを入れてレイアウトを整えるだけで、プロっぽいデザインは一瞬。
名刺のように、本来は紙に印刷するものを別の素材に彫刻しても面白いです。

ただし勘違いしてはいけないのが、ロゴやイラストといったデザインでモノが売れるわけではないこと。
我々は有名な画家でも歴史あるブランドでもありません。
語るストーリーがなければロゴに価値はなく、イラストが可愛くても「可愛いだけのイラスト」。
アニメやゲームだって、お話が面白いからキャラクターに価値があるわけです。
デザインに正解はなく、結局のところ自己満足。
まず商売として成り立たせることを優先した方が良いし、商売を続けていれば勝手にストーリーも生まれると思っています。

客単価アップと原価の戦略

イベント販売に参加して思うのが、しっかり利益まで考えていない人が多いこと。
「楽しいからいいや」でも良いんですけど、利益が出ていればもっと長く続けられます。
原価率、出店費用、設備コスト、在庫リスク、サンプル作成コスト、自分の人件費、そして税金。
インボイス制度もあり、なんとなくやっていると赤字どころか延滞税を食らう時代です。

単価を上げるなら、ギフト包装やセット販売で付加価値をつける方向です。

・刻印料:片面500円、両面1,000円。イラストデータ作成で2,000円
・データの使い回し提案:一度作ったイラストデータを、キーホルダーからコースターやスマホケースへ展開してセット販売(「せっかくデータを作ったし、こっちもどうですか?」と言われたらうっかり買ってしまうのが私。スタジオマリオみたいなやり方です)
・セット割引:原価率の低い小物を事前にセット割で提示しておくと、お客さんは得した気分でセット購入しがち。ハッピーセットみたいな戦略ですね。ジュース単品ではわざわざ買いに来ないけど、セットなら付いてくる。そういうこと
・リピーター化:会員登録で500円割引、オンライン店舗へ誘導すれば24時間365日売れるシステムになる。せっかく出店するなら今後に繋がる宣伝もしたい
・SNS:インスタフォローで500円オフとか。フォロワーが多いだけで人気店に見えるし、イベント集客にも使える

刻印アイテムの原価はそもそも低いので、刻印の手間賃よりも小売りで利益を出すのがメイン。
レーザー手数料と言いつつ、商品で利益を出しまくる。
セットにすればするほど、一客あたりの利益は倍々に増えていきます。

そして原価を安くする工夫。
ハンドメイドは作ることに気を取られがちですが、重要なのは安く仕入れることです。
革ならどこで仕入れるか、デシ単位で買うか、端材まで活用できているか。
本来捨てるものをうまく使えば、SDGsやサステナビリティの評価もついてくる。
「環境に優しい」は無料です。

卸売から仕入れるにしても、卸だって小売りに売って利益を出しています。
元を辿ればほぼ中国製品で、TemuやSHEIN、AliExpressといった中華サイトには、卸で見たような商品が卸売価格の10分の1で売っていたりもする。
実際、こういった商品にちょっと手を加えたものがAmazonでヒット商品になっています。
Amazonは1商品1ASINで、同じ商品は価格でしか勝負できない仕組みなので、OEMで名前を入れたりパッケージを変えて「別の商品」にする。
似たような商品が大量に並んでいるのは、そういうことです。

全部自分でハンドメイドするのは無理があるし、集客するにも商品が多く並んでいた方が専門店っぽく見える。
質の高い製品を見せ玉に、お手軽なお土産商品を売っても良いし、逆でも良い。
ハイブランドだってライセンス貸しで商売をしているし、丸井の利益の大部分はエポスカード、Amazonの利益はマーケットプレイスの手数料だったりする。
見せ玉と売り玉は違うことも多いわけで、ハンドメイドへのこだわりで自分の首を絞めず、柔軟に商売して良いんじゃないかなと。

「レーザー体験」をウリにしてはいけない

ここまで語っておいてなんですが、LaserPeckerがあればお金を稼げるわけではありません
名前を入れてあげる、レーザーを体験させてあげる、だけで儲かるなら誰も苦労はしない。
子供が描いた絵を端材に彫刻する「レーザー体験」は耳障りが良いけれど、その体験は本当に楽しいのか、作った作品は使えるものなのか、自分がもらって嬉しいのか。
ちょっと考えてみた方が良いと思います。

子供向けだから、イベントだから、マルシェだからってナメてはいけません。
そこには本気で生計を立てている人がいます。
「初心者だから」「副業だから」という言い訳で売上は上がらないし、むしろ逆効果です。
厳しいですね。

レーザー加工自体は特別な技術ではなく、昔からあった技術。
企業レベルの加工が個人でも使えることに意味があるのであって、レーザー彫刻は商品価値を高める手段の一つ
これ自体をウリにしてはいけないのです。
素材が良ければ売れるわけでも、技術が高ければ売れるわけでもない。
自分の手札をお客さんのニーズに合わせて組み合わせて、喜んでもらえて初めてお金になる。
喜んでもらえれば信用が生まれ、リピーターになり、それがブランドになる。
そこまで来て初めて、自分の商品にロゴがあることに意味が生まれるんじゃないかなと。

レーザーなら商品に合わせてロゴを微調整するのも簡単だし、数が作れないなら敢えてナンバリングして希少性を高める手もあります。
押印や焼印は作ること自体にコストがかかり、一度作ったらデザイン変更も効きませんからね。
デザインを作ったら、レーザーにこだわらず活用するのもあり。
キーホルダーが売れるならTシャツやバッグも売れるのではないか、プリント加工は外注して一緒に売ってはどうか。
誰かのために作ったデザインは自分でも使いたくなるのが必然で、スウェットにしてみんなで着てたら楽しい。
LaserPeckerから始まるストーリーがあったって良いとも思いました。

素材別の実測レシピ

はい、散々ご託を並べたところで、「じゃあ実際、お前はどんなアイテムを作ってんだ」の答え合わせです。
デザインを生業とせず、ハンドメイド素人でもある私が試行錯誤してきた記録を残しておきます。

※同じ素材でも硬さ、色、表面加工で仕上がりは大きく変わります。
数値は収録時(LP5)の実測で、くれぐれも参考までに。
※AIイラストや既存デザインを商売で使う場合は、権利に気をつけてください。
パロディっぽいデザイン、どこかで見たキャラクター、ロゴ、フォントには著作権や商標権があります。
誰かがやってるから大丈夫ってわけではありません。
利用規約とライセンスを確認した上で、最終的な判断と責任はご自身で。

まず全体の早見表から。

実測の設定例気づいたこと
ツーバイ材(木材)1K・出力35〜38・深さ35/2K・出力30・深さ50何も考えずに彫ってもそこそこ綺麗。2Kにするなら出力・深さは半減が目安。深彫りは煤が付くのでマスキングテープ併用
竹(ダイソーのコースター)1K〜2K煙は多いが、めちゃめちゃ綺麗に彫れる。2Kは濃く深く、高級感が出る
MDF(100均の板)1K〜2K1Kでも十分綺麗。ただし煙が多く、2Kは数十分単位で時間がかかる
木製キーホルダー2K・出力25・深さ10〜15(細い線は深さ20)細かいデザインは色つぶれしやすい。シンプルな図案+フォント重視が正解
合成皮革1Kのデフォルトより濃いめ彫るというより「焦がして色付け」。濃い色の革ほど出力高めに
本革(ヌメ革・床革)焼印のような仕上がりで一番好き。薄い革は穴が開くので厚めの革に。作った後から彫刻できるのが素晴らしい
紙・紙袋2K・出力100・深さ1厚手の紙袋は綺麗に印字できてショッパーが作れる。薄い紙は穴が開く+ずれる。燃えやすいので低出力から
ダンボール1K・出力30・深さ20など強度があり燃えにくく、しっかり彫れる
布(帆布・デニム)表面が平らで密度の高い生地ほど綺麗。ニット系Tシャツは不向き
ステンレス(ファイバーレーザー)2K平らでマットなものは簡単。反り・汚れ・反射があると急に不安定に。小さいデザインほど難しい
塗装済みボトル・YETIなどダイオード側を使用金属用レーザーだと塗装が焦げる。表面の塗装だけ剥がして下の銀色を出すのが正解
ガラスダイオード+黒マジック塗り必須透明素材はレーザーが抜けるので下処理が必要。仕上がりはザラッと砕けた質感
アクリル同上ガラスより滑らかでエッジもシャープ。ただし使い道が思いつかない
陶器・石高出力・長時間マーキング程度。小石は意外と綺麗で面白いが、実用は難しい
3Dプリント品(PLA)結構綺麗に彫刻できてびっくり。後から加工できるのが面白い

ここから素材ごとの詳細です。

木材。板からキーホルダーまで

まずDIYで余っていたツーバイ材。
柔らかく彫刻スピードも速く、何も考えずに彫ってもそこそこ綺麗に彫刻できます。
プリセット「バスウッド板」のデフォルト設定でも刻印できましたが、ちょっと薄い。
1K解像度なら出力35〜38・深さ35あたり、2K解像度なら出力30・深さ50でしっかり彫れます。
解像度を上げるなら出力と深さは半減が目安という良い例です。
深く彫ると表面は「焦げて黒くなる」というより煤が付いて黒くなるので、マスキングテープを貼るとより深く綺麗に彫れます。

マスキングテープ方式で作ったのが、結婚式のウェルカムボード風の板(白塗装+マスキング+2K彫刻)。

ただしテープの厚み分を数値に反映させるのが難しく、量産で毎回貼って剥がすのは面倒です。
なるべくテープなしで綺麗に彫れる設定を探した方が良いですね。

写真を彫刻するコツは、事前にコントラストを高くしておくこと。
私は親族の写真をAIでイラスト化して彫刻しましたが、「彫刻用にコントラスト高めにして」「線画にして」と指示するだけで彫刻向きのデータになります。

写真をイラスト化して木箱に彫刻したもの

LaserPeckerのアプリでもサイズ調整、背景の自動透過、オートトリミング程度の加工はできるので、作業の手間はほぼありません。

ツーバイ材は厚みがあるのでそのまま置物になります。
端材ならコストもゼロ、激安メモリアルプレート。
ただ、お金をいただくなら手を加えたい。
壁掛けフックを付ける、蝶番で見開きにする、フレームっぽく装飾する、薄い板に彫刻して額縁に入れる。
ちょっと良い額縁に入れるだけでお高そうに見えますからね。
ロゴなどデザインが細かくないものは1K解像度で十分で、機械っぽくない味も出ます。

竹はダイソーのコースターで検証。

1Kと2Kの解像度で彫刻した竹のコースター

水分を多く含むからか煙は多いのですが、ものすごく綺麗に彫れて感動しました
1Kでも十分、2Kだと濃く深く彫れて高級感が出ます。
同じ設定でもイラストが違うと色の濃さが変わるので、やはりシンプルなイラストが彫刻向き。
一方、同じ竹っぽい見た目でも、腕時計のケースに同じ設定で彫ったら中央がうまく彫れず端に煤。
素材が不明なもの、表面に何か塗られていそうなものは要注意です。

MDFは100均の6枚セットの板。
1Kでもめちゃめちゃ綺麗に刻印できますが、煙が多い。
2Kでしっかり彫ると数十分単位でかかり、その間ずっと煙が出続けるのが厄介でした。

そして一番気になるキーホルダー。
小さくて持ち運びやすく、原価も安く、あげやすく売りやすい。
木製キーホルダーを一通り買って試しましたが、物によって木の硬さや色味が違うので、同じ設定でも仕上がりは微妙に変わります。

・丸型:1Kのデフォルトでも十分。細かいデザインが多いので私は2Kメイン(出力25・深さ10〜15、細い線は深さ20で出力も少し上げる)
・細長い直方体:デザインは思い切りシンプルに。黒が多いデザインはパワーが集中して焦げ、色つぶれの原因に。4面全部彫刻できるのは面白いが、4面やるのは結構面倒。文字は濃いめ2K・出力25・深さ17、イラストは2K・出力17・深さ17あたりで落ち着いた
・金具付き:木が硬めで小さいので出力は高めに。原価は倍くらい違うが、金具が付くと見た目も持った時の重さも高級感がある。裏側の金属に名前を彫るアップセルもできる
・フェイクレザー+板の複合:逆に安っぽかった。木がペラペラで軽い。重さは大事です

キーホルダーで気づいた小ネタを2つ。
デザインが細かいと色つぶれするので、背景をシンプルにして文字を立たせる。
市販品もイラストより英字フォントだけで売っていたりするので、イラストよりフォントにこだわる方が良い。
そして彫刻の向きは、リングが左上に来る向きが正解。
右側にリングが来ると逆さっぽいデザインに見えます(私は途中まで気づかず、ほぼ逆さに彫っていました)。

ロータリーエクステンションを使えば丸いポールにも彫刻できます。
木の棒に鬼目ナットを付けただけの「なんちゃって一脚」に彫刻してみましたが、ポールの直径を入力すると円に合わせてイラストを自動調整してくれるのが凄い。
直径を間違えると歪むので、そこだけ注意。
ボールペンも同じ要領で、お子さんが受験の方に向けて合格祈願の「スベラナイオジサン」を作りました。
ボールペンは横に長いので、一目で全体が入る横長のデザインにする。
そして印字の向きは左側がペン先。
お坊さんや神主さんのイラストも作ってみたんですが、頭も体も見切れてヤクザみたいになったので、円筒に人物は難しいですね。

DIYをやっている人なら、自分の作品にロゴを入れられるだけでめちゃめちゃ楽しいはず。
サウンドバーをモニターアームに固定するために作った板(カット→ヤスリ→鬼目ナット→塗装)にマスキングテープ+深掘りでロゴを入れたら、結構かっこよくなりました。
自作のデスクシェルフにも刻印。
ネジ穴をボンドで埋めて塗装してニスを塗って、と考えたら市販品が2万円取りたくなる気持ちも分かる。
ロゴが深掘りされているだけで高級品に見えます(造りは悪いけどね)。
市販品のレーザー彫刻は意外と薄かったりするので、どれくらいの濃さで彫っているか市場調査してみるのも面白いです。

→ 関連記事:Marshall Heston 60レビュー(サウンドバー固定板の完成形はこちら)

革。焼印のような仕上がりが最高

合成皮革のキーチェーンは、薄くて柔らかいので木材より低出力でしっかり彫刻できます。
彫るというより「焦がして色付け」する感じ。
色で発色が全然違い、茶色やベージュは濃く出て、赤や黒は同じ設定だと薄く感じる。

ヌメ革のマウスパッドに入れたロゴ刻印

ターコイズのような薄い色は低出力で淡く彫るのが上品で、白は逆に強めに出力しないと彫刻されませんでした。
1Kのデフォルトだと薄い気がしたので、私は全体的に濃いめです。
強すぎると穴が開いたり焦げたりするので、そこは加減しながら。

本革は一番好きな素材です。
日焼けさせたヌメ革のマウスパッドに後から彫刻しましたが、焼印のような仕上がりで、後からでも正確に彫刻できるのが凄い。
マダラ模様の安い革で作ったミニポーチも、ロゴを入れたらそれっぽくなりました。

刻印を入れた革小物やステンレスボトルを並べたところ

細かく彫刻しても文字が潰れない。
ただし彫った部分は薄くなるので、薄い革1枚で仕立てた部分には彫らない方が良いです(実は微妙に穴が開きました)。
厚みのある床革のミニポーチは、本当に焼印したような仕上がり。
以前は打刻で刻印していましたが、これならラクで綺麗で、後からできる。
これだけで十分価値があります。

大判のカットレザーへの彫刻も1Kで綺麗にできました(途中の線はスライドエクステンションが引っかかった跡です)。
革のカットも試しましたが、革はタンパク質や油分があるので煙がベタつき、煤が付きやすい。
LaserPeckerは上にファンがあるので表面も汚れやすい。
裏からカットすれば使えなくはないけれど、熱で革が縮むし、結局ヘリの処理やヤスリがけをするなら私は手でカットします

革は柔らかく、後から手作業で加工できるのが木材との違い。
デザインをパターン化して彫刻し、モノグラムっぽくしてからレザークラフトする。
手でカットしたレザーとレーザー彫刻を組み合わせて立体的にする。
応用の幅が広いのです。
革製品をハンドメイドしている人なら端材が勝手に出るわけで、端切れをトレイやコースターにしてロゴを入れるだけで見栄えが良くなる。
ヘリをカットして手縫いすれば、おしゃれな本革コースターの出来上がりです。

ここでお得な仕入れの話を1つ。
私がよく使うのはブライドルレザーの床革で、床革はめちゃくちゃ安いので丸々半裁で買うことも多いです。
普通は芯材など見えない部分に使う素材ですが、ブライドルはロウが染み込んでいて、厚みもコシもあり水も弾く。
一枚革で仕立ててもペラペラにならないから、カットや接着の手間も少ない。
安いけど腐っても本革、サステナブルでSDGsも名乗れて一石三鳥。
私のデスクのマウスパッド、デスクマット、コースター、リストレストは全部ブライドルの床革製で、何年もハードに使っていますが全然へたれません。
使っているうちにロウが馴染んでくるし、アウトドアグッズとも相性が良いと思ってるんですけど、なんか問題ありますかね?

本当に小さな端切れは、他の素材と組み合わせる。
本革にレーザー刻印して金属フレームに貼り付けるだけで、ファスナートップやペンダントトップになります。
キーホルダーを仕入れるより安い。
そして正直、革の違いは見た目では分かりません。
ヌメ革と安い端切れ革を並べても差が出ないので、「本革です」の一言で高級感を出しつつ、こだわるのは金属側が正解だと思っています。

紙・布・ダンボール。プリンターのように使う

紙に彫刻できると、ホントにプリンターのように使えます。
厚紙に刻印するだけで、ギフトカード、名刺、はがき、オリジナルコースター。
スタンプみたいに使っても面白い。

ただし紙は薄くて燃えやすいので、設定が全然違います。

布バッグとデニムのポケットに彫刻したロゴ

1Kでうまくハマる設定が見つからず、私は2K・出力100・深さ1が定番。
紙の素材と色で数値は変わるので試行錯誤は必須で、気づいたら燃えていたこともあったので、低い数値から徐々に上げてください。
薄い紙は穴が開くし、軽いのでレーザーが当たるだけでもずれます。

手提げの紙袋くらいの厚みがあれば、とても綺麗に印字できます(これも2K・出力100・深さ1)。
ショッパーが簡単に作れるので、これで梱包してあげたらめちゃくちゃ喜ばれるでしょう。
ダンボールは強度があって燃えにくいので、ゆっくりしっかり彫れます(1K・出力30・深さ20や、出力47・深さ6など)。
塗装ダンボールにも彫刻できるので、梱包シール代わりに住所やメッセージを彫っても面白い。

黒い紙箱にロゴを彫刻したパッケージ

商品化するなら、パッケージを甘く見ない方が良いです。
梱包に手間をかけるだけで同じ商品が高級に見えるし、雑なだけで安っぽく見える。
丁寧に梱包するだけで、クレーム率はめちゃめちゃ下がりますからね。

布は、表面が平らで密度の高い生地ほど綺麗。
帆布やキャンバス地、デニムやツイルは向いていて、ニット系のTシャツやスウェットは不向きです。
布製品も身近に転がっているので、色々試すと面白いです。

金属。できるが、ばらつきと戦うことになる

LP5の1064nm・20Wパルスファイバーレーザーでの実測です。

うまくいったもの:平らでマットなステンレスプレート類は2Kで特に難しくない。
キーホルダー、ドッグタグ(電話番号レベルの細かい文字も綺麗)、キャンプ用のシェラカップ(高さがあっても成功)、黒いメタルのカードケース(めちゃめちゃ綺麗)。
チェーンを付ければネックレスになる小さなプレートも、試行錯誤の末に綺麗に彫れました。

周波数を変えて彫刻した真鍮コイン2枚

苦戦したもの:スキットル(端が歪んでいて両サイドが薄くなる)、ステンレスクリップ(掴む部分の斜めが薄くなる)、使い古しのステンレスカップ(場所によって彫刻されない、途中で色が変わる。新品では成功したので表面の汚れが影響していそう)、薄いアルミプレート(反りで不安定)、真鍮コイン(周波数が違うだけで刻印が別物になる)。

塗装を剥がして刻印したYETIのマグカップ

分かったことをまとめると。

・小さいデザインほど極端にパワーが弱くなり、調整が難しい。同じ設定、同じ商品を並べて連続彫刻しても、彫刻されなかったり左右で濃さが違ったりする
・反り、汚れ、反射があると急に不安定になる。色は明るいものより暗いものが圧倒的に綺麗
・パルスレーザーは目に見えず、ピントが少しずれるだけで彫刻できない。「周波数」という数値も増える。カラー彫刻対応を謳うが、かなり難しい
・塗装済みボトル(YETIなど)は金属用レーザーだと塗装が焦げて黒くなる。下の銀色を出したいならダイオードレーザーで表面の塗装だけ剥がすのが正解。それを理解して試しても、なぜか黄色のボトルだけ同じ設定で黒くなった。やっぱり難しい

金属もそれなりに試しましたが、私には再現性高く綺麗にやる方法がいまいち分からなかったし、時間もかかる。
金属カット、3D彫刻、カラー彫刻あたりは現実的ではないかなと。
「金属カットもできるくらいのパワーがある」という話なんだな、くらいに捉えておくのが無難です。

ガラス・アクリル・その他

ガラスはダイオードレーザーを使いますが、透明なものはレーザーが通り抜けるので、彫刻前にマジックで塗り塗りが必須。
彫刻後にエタノールで拭くと、なかなか綺麗に印字されています。
黒マジックがカスカスになって茶色で塗ってみたら、透けて彫刻が薄くなったので、塗るのは黒一択

「濡れた新聞紙でくるんで彫刻する」という方法も見かけて試しましたが、思ったほどうまくいきませんでした。

アクリルも同じくマジック方式で、ガラスより綺麗に彫れる印象です。
ガラスは硬く融点も高いので「砕けている」ようなザラッとした仕上がりですが、アクリルは熱で溶けて気化するので表面が滑らかでエッジもシャープ。
反対側から見ても綺麗なので反転彫刻もアリ。
とはいえ、彫刻したアクリル板を何に使うのかが思い浮かばない。
実用で考えるとガラスのグラスやボトルになりますが、それにはロータリーエクステンションが必要で、固定できる形状も限られる(底が丸いボトルは無理でした)。
そもそも黒く塗る手間があるので、透明素材は使いどころが難しいです。

その他の素材もさっくりと。
石や陶器は高出力で頑張れば彫刻できますが、白っぽいものやツヤツヤしたセラミックはダメで、基本は黒マジックで塗りつぶしが必要。
お皿はマーキング程度、白いバターケースは設定を変えても微妙、色付き陶器のコースターも薄っすら。
高出力で長時間かけてこれなので、試行錯誤するのも難しい。
シリコンコースターは悪くなくて実際に愛用していますが、彫った部分が白っぽくなり「溶かした感」が出るので人にはあげられません。
ポリプロピレンのウォールマグも溶けた感じの刻印になり、深くしようとするほど溶け感が増してイマイチ。
食べ物への彫刻は、工業マシンで加工するのは気が引けるし、衛生的にどうなのよと思った時点で人にあげるのは無理でしょう。

面白かったのは小石と3Dプリント品。
小石は彫刻時間も短く結構綺麗に印字できて面白いんですが、実用は難しい(使うとしたらお店の看板に「こんなのも加工できます」と置いておくくらい)。
PLAフィラメントの3Dプリント品は結構綺麗に彫刻できてびっくり。
3Dデータとは別の質感を後から足せるのが面白いです。

公式サイトには他にも活用アイデアやレシピが色々ありますが、ああいうものは「多目的に使える」ことの見せ玉。
我々が使うときも、見せ玉くらいに抑えておくのが良いと思いました。

LP5レビューまとめ

半年ほど色々なものに彫刻してきましたが、家庭用のこんなに小さなマシンで、これほど綺麗に彫刻できるのは素直にすごい。
特に木材や本革の仕上がりは市販品と遜色なく、むしろ深く綺麗に彫れたりもするので、しれっと私がグッズ販売を始めても違和感なくやっていけるんじゃないかなと。
我ながら言うのもなんですが、その辺で売ってる推し活グッズより全然よくできてますからね。

ただし、これ一台あれば生活が豊かになる魔法の箱ではありません
活用方法を考えて、頭も体も使って初めて意味がある道具。
とはいえ、これがあるだけで視野が広がるのも事実
私もLaserPeckerを使うようになってから、世の中のレーザー彫刻された商品が目につきまくるようになりました。
自分も同じようにできると分かれば、アイデアは勝手に出てくる。
今回私が考えたアイデアだって氷山の一角で、あなたのビジネスと組み合わせたら、他にはない唯一無二の商品が作れるとも思うのです。
技術の進化で、アイデアを形にするコストは確実に下がっている。
AIという強力なツールもあるわけで、資本力がない、時間がない、スキルがないって言い訳は、ますます利かなくなって私も困っています。

向いているのは、すでに何かを作って売っている人
DIY作品へのロゴ入れや小ロット試作にも強い一方、趣味程度のモチベーションだと正直すぐ使わなくなります。
今ある自分の商売や作品に「レーザーというスパイス」を加える道具です。

※価格はセールで大きく変動します。
最新の価格やラインナップは、公式サイトとAmazonでご確認ください。

→ 関連記事:Amazonセールの攻略方法
→ 関連記事:個人事業主が払う税金と保険料

▶ 実際の彫刻の様子、作ったグッズの数々は動画で解説しています → YouTubeで見る
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P.S.
今回、レーザー彫刻機をレビューするだけのハズが、造り始めたら止まらなくなり、気づけば半年、動画も1時間級の長さになってしまいました。
モノ作りが好きな人は、正解がないぶん永遠とやり続けちゃって困ると思う。
ただ、時には狂ったように、のめり込むことも必要なわけで。
致命傷にならない程度の失敗を繰り返しながら、私も隙あらば、このLaserPeckerでちゃっかりお小遣い稼ぎをしていきたいと思っているのでした。

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この記事を書いた人

KJ新谷のアバター KJ新谷 小さな会社の取締役

平成21年に輸入物販で起業して、既に起業17年目。
法人12期目。小さい会社の代表です。

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