- 超短焦点はスクリーンの影響がモロに出る。平らでピンと張れる必要があり、固定フレームかポップアップの二択
- マットスクリーンでも綺麗に映るが、それはあくまで暗い部屋での話
- 明るい部屋で動き回りながら見られてこそ便利。リビングをリビングのまま使うにはALRスクリーンが必要
- 固定フレームとポップアップの映像に明確な差は感じにくく、違いは利便性。毎日使うなら壁掛けの方が良かったりもするし、見る時だけ出したいならポップアップになるのかと思う
- 120インチはとにかくデカい。置けることと見られることは別なので、サイズは勢いで選ばない方が良い
以前、AWOL Visionの超短焦点プロジェクター「Aetherion Max」がすごい、という記事を書きました。
あれから、いろいろな場所で投影するようになって気づいたのが、このプロジェクターは投影する場所によって、映る映像も大きく変わってくるということ。
→ 関連記事:超短焦点プロジェクターAWOL Vision Aetherion Maxレビュー。Valerion VisionMaster Maxと比較。

もちろん、従来のプロジェクターでも、スクリーンによって映像は違ってくる。
ただ、Aetherion Maxは超短焦点プロジェクターなので、もっと別物になるのです。
スクリーンの影響が大きい上に、専用スクリーンの種類もめちゃめちゃ豊富。
では、スクリーンによって、どう変わってくるのか?
マットスクリーンとALRスクリーンでは、どのような映像になるのか?
気になり始めたら、もう止められないわけで、ここ数ヶ月ほど、スクリーンを取っ替え引っ替えしながら試行錯誤してきました。
その記録を、ここにまとめておきたいと思います。
今回、私が試したのは、吊り下げタイプに、自立式タイプに、壁掛けタイプのスクリーン。
マットスクリーンだけでなく、ALRスクリーンも試してきましたので、その映りの違いが少しでも伝われば嬉しいです。



ちなみに今回は、100インチだけでなく、120インチという、賃貸住宅における限界サイズにも挑戦してみました。
日本特有の狭い家にスクリーンを設置する方法や、サイズ感についても、誰かしらの参考になれば幸いです。


壁に直接投影する
スクリーンに投影する前に、まずは直接壁に投影すると、どうなるのか?
プロジェクターって、壁に投影してもそこそこ綺麗に映る、というイメージがあると思うけど、超短焦点プロジェクターでは、そうはいかない。
私自身、我が家の壁は白いし、平らに見えるし、これで十分綺麗に投影できると思っていた。
ところが、実際にAetherion Maxで投影してみると、思っていた以上に歪んでいて、ちょっと見るに堪えない。

上の方も歪んでいるし、横のラインがまっすぐではないのも明らか。
特に端の方に行くほど、歪んでしまっている。
賃貸の壁に限らず、一般住宅の壁って、思った以上に歪んでいるということ。

壁紙の表面もデコボコしているので、映像に黒いボツボツが映って、キメも粗くなる。
一般的な長焦点のプロジェクターなら、正面から光が当たるので、壁紙のデコボコはあんまり気にならない。
一方、超短焦点プロジェクターは、壁の真下から急な角度で光が当たるので、わずかなデコボコも全部影になって浮かび上がってしまうのです。

さらに、明るい部屋になると、白い壁紙は部屋の明かりも全部反射してしまうので、白く霞んでしまう。
せっかくの高級なプロジェクターで、超綺麗に投影できるはずなのに、これではちょっと、もったいないですからね。

というわけで、超短焦点プロジェクターは、壁紙には投影できないと思って使うべき。
もちろん、綺麗に映る壁紙も無いわけではないと思うけど、基本的には使えない前提で購入した方が良いし、専用のスクリーンは絶対に用意した方が良い。
ちなみに、スクリーンには吊り下げタイプという手軽なものもある。
あれは生地の重みで垂れているだけなので、超短焦点に必須の「平ら」が出ない。
そもそも長焦点プロジェクター専用で、短焦点や超短焦点プロジェクターには対応していないし、使ったとしても波打ってしまって、見るに堪えないと思う。

超短焦点プロジェクターで使うなら、端から端まで生地をピンと張れる専用スクリーンが前提。
では、どのスクリーンを使うべきなのか?

マットスクリーン
まずは、定番のマットスクリーンから。
マットスクリーンというのは、表面が艶消し加工されており、光を均一に拡散反射するスクリーンのこと。
どの角度から見ても、ほぼ同じ明るさで見えるという、いわゆる一般的なスクリーンです。

マットスクリーンは、格安品と高級品で「映りに値段ほどの違いは無い」というのが、以前の記事での結論。
あれは通常の長焦点プロジェクターでの話で、超短焦点プロジェクターのAetherion Maxでは、話も変わってくると思っています。
一口にマットスクリーンと言っても、固定方式もいろいろあるわけで、それによって見え方がどう変わってくるのかも試してみた。
→ 関連記事:長焦点プロジェクターのスクリーンの選び方。マットスクリーンとALRスクリーンの違い、設置方式と賃貸での取り付け方法。
まず使ったのが、AWOL Visionの固定フレームタイプの白いマットスクリーン。
Aetherion Maxのような超短焦点プロジェクターにも対応した、マットスクリーンです。

この固定フレームというのは、組み立てたフレームに、スクリーンの生地を裏側からバネで引っ張って固定する方式。
生地の四隅にファイバーロッドという棒を通して、そこにバネを引っ掛けて、内側のフレームへ均等に張っていく。


このフレームの組み立ては、やりながら確認しないと分からなくなる部分も多い。
AWOL Vision公式のチュートリアル動画を、すぐ再生できる状態にしておいて、マニュアルも手元に置いてから、作業に移った方が良いと思いました。
→ 公式の動画:AWOL VISION Matte White プロジェクタースクリーン設置手順(YouTube)
あと、この公式の動画、けっこう簡単そうにやっている分、ちょっと説明が足りていないとも感じました。
そこで、私が苦戦した部分も含めて、流れを記録しておきます。


スクリーンの組み立て方法
このフレームタイプの組み立てで大事なのが、バネを引っ掛けていく順番。
ただ、それよりもまず大事なのが、フレームに対して、スクリーンを中央に置くこと。
生地を両端から均等に引っ張っていくわけですから、スクリーンが中央に置けていないと、そもそも均等に引っ張れない。


実際、私もやってみて、この「均等に張る」というのが、なかなか難しい。
バネの引っ張りが偏ると、そこにシワが入ってしまう。
私は勢いでやってしまってうまく張れず、一旦組み立てた後にフレームを外して、やり直しました。



これから組み立てるなら、マニュアルを見て仕組みを理解した上で、スクリーンに対してフレームをきちんと中央に合わせる。
ここに気をつけてやった方が良いかなと。
あと、この組み立ては、2人でやることをオススメします。
120インチともなると、生地もフレームもとにかく大きい。
バネも左右から同時に、均等に張っていく必要があるので、一人ではどうにもならない。

作業スペースにも余裕が無いと、色々とずれやすくもなるし、身動きも取れなくなって、ストレスも溜まる。
なんだかんだで一番のネックは、120インチを広げられるだけの床と、その周りで作業できるスペースの確保かなと。
仕組み自体は、それほど複雑ではなかったので、時間と場所に余裕を持って、焦らずやることをお勧めします。

スクリーンの壁掛け方法
スクリーンが組み上がったら、次は壁への取り付け。
賃貸で何が問題になるかというと、やはり壁で、横幅2.7mの「何も無い平らな壁」というのが、まず無い。
窓があったり、ドアがあったり、エアコンがあったり。
うちもご多分に漏れず、ちょうど良い壁が無かったので、柱を立てて作りました。

やり方は、以前ValerionのALRスクリーンを壁掛けした時と、全く同じ方法。
2×4材の柱をディアウォールで立てて、そこにスクリーン用の金具をつけて引っ掛ける。

このスクリーンは、左右2箇所を付属金具で吊るタイプなので、柱も左右の2本でOKだけど、本来は壁面に固定するものなので、くれぐれも参考までに。

この柱を作るのにかかった費用は、2×4材が1本約1,000円。
突っ張りアジャスターのディアウォールが1個約1,000円。
柱2本分で、全部で約4,000円です。
ディアウォールではなくラブリコでも良いし、柱の立て方のコツや違いは、こちらの記事にまとめています。
→ 関連記事:ラブリコとディアウォールで作る壁面収納DIY。壁掛けテレビ、キッチン収納、玄関シューズ棚、有孔ボード棚の造り方と注意点。
大きな壁面があるなら、STAND BARといった石膏ボード壁対応製品で柱を作って、そこに取り付けるのも有りかと。

→ 関連記事:賃貸で100インチホームシアターを作る方法。壁を傷つけないスクリーンの吊り方と、プロジェクターの天吊りDIY。
スクリーンの設置位置
あと、フレームの設置には、超短焦点プロジェクターならではの注意点もありました。
超短焦点プロジェクターは、本体を置く位置で、スクリーンの位置がほぼ決まってしまう。
スクリーンを掛けてから「映像が合わない」となると、壁掛け金具の穴を開け直すことになる。

これを避けるために、金具を固定する位置は、予めしっかりと計算しておく。
プロジェクターの仕様から、映像の位置も割り出しておいた方が良いかなと。
例えば、Aetherion Maxを床置きで120インチ投影する場合、映像の下側は床から約44cm。
・映像の上側:映像の縦幅約149cmを足して、床から約193cm
・フレームの上側:映像の上に1.5cmの余白と1cmのフレームが乗るので、床から約195.5cm
・壁掛け金具:フレームの上側から10.5cm下にかかるので、床から185cm
「床から185cmの位置につければいいんじゃないかな?」という計算でやりました。


本来は、先に投影して、その映像の最高点から-9cmの位置に壁掛けパーツを取り付ける、という手順だったかと思います。
詳しくは、マニュアルか公式動画で確認してください。
あとは、プロジェクターの機能で微調整して完成です。


マットスクリーンの投影映像
では、固定フレームのスクリーンを使うと、どれだけ映像が綺麗になるのか?
このスクリーンの公称スペックは、ゲインが1.3、視野角が170度。
長焦点、短焦点、超短焦点と、全てのプロジェクターに対応と謳われている万能型のスクリーンです。

ALRスクリーンに比べれば、だいぶ格安だけど、実際に投影してみると、マットスクリーンでも全然綺麗。
適当な壁に直接投影するのとは別物です。
固定フレームなので生地はピンと張れているし、波打ちや歪みも無い。
超短焦点プロジェクターでも、端から端まで歪みが無く、しっかりとピントも合っている。


専用スクリーンなので、当たり前といえば当たり前の話ですが、壁面や吊り下げスクリーンに投影した時とは雲泥の差。
やはり、超短焦点プロジェクターには「平らであることが必須」ということも痛感しました。
あと、マットスクリーンには、万能に使えるというメリットもあります。
全てのプロジェクターに対応しているのは上述したとおりで、これは、ALRスクリーンと違って光の来る方向を選ばず、当たった光をそのまま全方向に拡散できるから、というのもある。
一般的なプロジェクターとも併用できるし、プロジェクターを買い替えても使い回せる。
しかも、ALRスクリーンよりもだいぶ安いですからね。

ただ、そんなマットスクリーンにも弱点はある。
マットスクリーンは、暗い部屋で使うのが前提のスクリーン。
部屋が明るくなると、映像が白っぽく霞んでしまう。


マットスクリーンは、光を全方向に拡散するので、真下から投影する超短焦点プロジェクターだと、光が天井方向にも逃げがち。
いわゆるウォッシュアウトってやつです。
映像全体が白っぽく、コントラストも低くなりがちで、この2つが相まって、昼間や明るい部屋では、ちょっと使えないなという印象でした。
じゃあ、明るい部屋でも綺麗に見たい場合は、どうすればいいのか?
レンチキュラーALRスクリーン
そこで、本命のALRスクリーン、レンチキュラースクリーンを使って投影を比較しました。
ALRというのは、Ambient Light Rejectionの略で、環境光を弾くスクリーンのこと。
天井の照明や窓からの光をカットして、プロジェクターの光だけを反射することで、明るい部屋でも綺麗に映るというスクリーンです。


以前紹介したValerionのALRスクリーンは、長焦点用。
今回のは超短焦点専用のALRスクリーンで、同じALRという名前でも、光のくる方向が違うので、中身は完全に別物。
このALRスクリーンは、レンチキュラーという方式で、スクリーンの表面に、水平方向の細かい溝が無数に刻まれている。
この溝の形によって、溝の下側は光を反射する面、上側は光を吸収する黒い面になっている。
そのため、真下から来るプロジェクターの光は見ている人の方へ反射して、上から来る天井照明の光のみを吸収するという仕組みです。
プロジェクターの光が真下から来る超短焦点プロジェクターだからこそ成立する、なかなか賢い構造。

この黒い吸収面がスクリーン全体に並んでいるから、離れて見ると、白い反射面と黒い吸収面が混ざって、スクリーン全体は少しグレーがかった色に見える。
白いマットスクリーンと並べてみると、色の違いは一目瞭然。

そして、このグレーには、もう一つ意味がある。
プロジェクターって、黒を投影する時でも、光は完全にゼロにはできないので、黒がわずかに明るく浮いてしまう、いわゆる黒浮きが発生する。
スクリーンの地の色を、予め暗くしておくことで、この黒浮きを抑えて、黒をより黒く沈められるというわけです。

スクリーンの組み立て方法
そんな特殊な生地ですから、組み立ても特殊なのかと思いきや、白いマットスクリーンと全く同じ方式でした。
フレームの構造も共通で、生地の四隅にファイバーロッドを通して、バネで張っていく。
構造が同じなので、「生地を中央に置くのが大事」というのも同じです。


このレンチキュラーの生地は、表面に溝が刻まれている分、マットスクリーンよりも剛性が強くて、防水シートのような質感。
分厚くて重量もしっかりあるので、薄いマット生地と違って、置いた時点でシワが入りづらいし、置いた位置からもズレづらい。
しっかりと生地を伸ばしたままフレームも重ねられるので、中央にも合わせやすい。

おかげで、生地を上下左右に均等に調整するのもやりやすかったし、バネを引っ掛けていく時も生地がズレづらい。
生地が硬い分、バネを引っ掛けるのにちょっと力はいるけど、「均等に張る」という作業自体は、マットスクリーンよりもやりやすいと感じました。
2回目ということもあって、慣れの部分もあるのかもしれませんけどね。

何にせよ、時間と場所に余裕を持って、焦らず組み立てるのは同じ。
事前に公式の組み立て動画をしっかりと見ておいた方が良いでしょう。
→ 公式の動画:AWOL Ambient Light Rejection Cinematic Screen Installation Tutorial(YouTube)
このレンチキュラースクリーンは、フレームの外側がマットスクリーンと同じなので、壁掛けパーツも完全に一緒。
柱はもう立ててあるので、スクリーンを掛け替えるだけ。


レンチキュラーALRの投影映像
このスクリーンの公称スペックは、ゲインが0.6、視野角が170度。
天井からの環境光を95%カットするという話です。
面白いのが、このゲイン0.6という数字。
白いマットスクリーンのゲインが1.3ですから、数字の上では、ずいぶん暗いスクリーンになるわけです。


実際のところ、投影してみてどうだったのか?
暗い部屋と明るい部屋で、それぞれ左右に並べて比べてみました。
左側が白いマットスクリーン、右側がレンチキュラーのALRスクリーンです。

まず暗い部屋では、ゲインの差が素直に出ていて、マットスクリーンの方が明るく見えます。
とはいえ、右側のレンチキュラーの方が色濃く映っていて、どちらが綺麗かと言われれば、正直好みの問題。
そもそも、これは並べて比べたから分かった話で、どちらも単体で見れば十分に明るいし、めちゃめちゃ綺麗。
手前にポップアップのマットスクリーン、奥に固定フレームのレンチキュラースクリーンを置いて比べた写真もある。
奥のレンチキュラーの方が距離が遠いので、完全な比較にはならない。
それでも、手前のマットスクリーンの方が明らかに明るく、奥のレンチキュラースクリーンの方が色濃く感じるかと思います。

一方、明るい部屋で投影すると、映像の違いが顕著に出てきます。



部屋が明るくなった途端、マットスクリーンは白っぽく霞んでしまうのに対して、レンチキュラーは、明るさもコントラストも、しっかりと残っている。
これは、ALRスクリーン自身が明るく反射できるというわけではなく、部屋の明かりを抑えているから。
環境光を抑えることで、黒はより黒く見えるし、コントラストも際立つ。
結果として、明るい部屋では、反射率の高いマットスクリーンよりも、明るくクッキリ見えるというわけです。
あともう一つ、レンチキュラースクリーンの強みが視野角。
視野角170度と、マットスクリーンとほぼ同等の広さがある。
ソファーに座って正面から見るだけでなく、ダイニングテーブルから斜めに見ても綺麗だし、マットスクリーンと同じように、床に寝転がって見上げても綺麗。
ALRスクリーンでありながら、近くからでも遠くからでも、どこから見ても綺麗なのです。


リビングで日常的に使うなら、視野角は広いに越したことはない。
下手なminiLEDテレビよりも、視野角は広いと感じている。
というわけで、暗い部屋で使うなら、マットスクリーンでも十分。
ただ、暗い部屋で使うなら、超短焦点プロジェクターじゃなくても良いわけで、特にAetherion Maxのような超高性能な超短焦点プロジェクターを使うなら、ALRスクリーンで使わないと、もったいないと思っています。

超短焦点プロジェクターは壁際に置けて、目の前を横切っても影にならないし、配線も邪魔にならず、部屋の中を自由に動き回れる。
せっかく動き回れるのに、部屋が真っ暗だと、やっぱり動きづらいですからね。
だから、部屋が明るいと、もっと日常的に使いやすくなる。

あと、これは使っていて感じたことですが、明るい部屋のまま見られるのは、目の疲れにも効いていると感じています。
そもそも、真っ暗な部屋で明るい画面を見ると目が疲れるというのは、よく知られている通り。
画面と周囲の明暗差が大きいほど、目の負担も大きくなると言われていますし、仕事用のモニターも、画面と周りの明るさをなるべく近づけることが推奨されていたりする。

プロジェクターの場合、映像は反射光なので、直接光源を見るテレビよりも、目が疲れにくいと言われたりもする。
ALRスクリーンなら、さらに一歩進んで、部屋の照明をつけたまま見られる。
画面と部屋の明暗差が小さいまま、大画面で映画も見られます。
明るいリビングのまま、テレビのように使える。
これこそが、超短焦点プロジェクターの最大のウリでもある。
それを活かすためには、やはりALRスクリーンもあった方が良いんだなと思いました。

床置きと壁掛けの分岐点
電動昇降タイプのポップアップスクリーンも試しました。
マットスクリーンにもALRスクリーンにも、固定フレームタイプとは別に、電動タイプの床置きスクリーンが用意されている。
床に置いた本体から、スクリーンが電動でせり上がってくる、ちょっとインパクトのあるスクリーンです。


我が家で使っているのは、100インチのマットスクリーンと、120インチのレンチキュラーモデル。
このポップアップスクリーンは、電動なだけあって、固定フレームとの価格差も結構ある。
では、固定フレームとは何が違うのか?
投影映像の違い
まず、公称スペックを見てみると、マットスクリーンは、ゲイン1.3、視野角170度と、壁掛け固定フレームと全く同じ数字。
レンチキュラースクリーンの方も、視野角や環境光カットは壁掛けと同じで、ゲインだけ0.8と、壁掛けの0.6より少し明るい数字になっている。
実際、両方使ってきた感想としては、同じマットスクリーン同士、同じレンチキュラー同士では、明確な差を感じるのは難しかった。
レンチキュラーは、言われてみれば少し明るいような気がしないでもない、という程度。
並べて比べれば確かにポップアップの方が明るいけど、言われたから気づいたというのが正直なところです。


スクリーン生地の構造自体は同じ。
ポップアップスクリーンも、アームで持ち上げながらワイヤーで突っ張る構造なので、シワやたるみもなく、ピンと張れる。
生地の構造が同じで、平らに張れているなら、映像に差を感じないのも仕方ないのかなと。

使い勝手の違い
実際のところ大きく違うのは、投影映像よりも利便性。
ポップアップスクリーンは床に置くだけなので、壁掛けパーツを取り付ける手間も無いし、そもそも壁である必要も無いので、設置は圧倒的にラク。
固定フレームの時のように、スクリーンを組み立てる手間も、投影位置から金具の高さを計算する必要も無い。
ポンと置いてスイッチを入れれば、スクリーンがせり上がってくる。


スクリーンは上方向に余裕もあり、長くも出せるので、上下の位置合わせも、投影サイズの調整もラク。
大は小を兼ねるで、120インチのポップアップを100インチ投影に使うこともできるし、常にフルサイズで使わなくてもいい。

もちろん、使わないときは収納もできるし、後から動かすこともできる。
模様替えだけでなく、引っ越しするときにもラクかと思います。

ただ、本体はポップアップの方が圧倒的に重くて、意外と長い。
100インチのマットスクリーンで約24kg、120インチのレンチキュラーで約28kg。
長さも2m以上ある。


そのままだと一人では動かせないので、私はキャスター台を作って乗せて、気軽に動かせるようにしている。
長い板にキャスターをつけるだけで簡単に動くようになるし、本体の裏に強力な両面テープで、直接キャスターを貼り付けてしまっても良いかなと。
私はこの方法で、かれこれ半年以上は使っていますが、もちろん非公式な方法なので、くれぐれも参考までに。




プロジェクター自体も自由に動かして使えるものなので、スクリーンも一緒に動かしたいなら、ポップアップは大いにありだと思う。
見た目も重厚感あってかっこよいし、使わない時は、スクリーンごと隠しておける。
リビングに、常にデカい板が張り付いている圧迫感も無いわけです。

ただ、実際に使ってみて思ったのは、日々使うつもりなら、スクリーンは出しっぱなしの方が便利だということ。
そこにテレビがあるのと同じ感覚で、電源を押せばすぐ見られる。
逆に、スクリーンを収納してしまうと、出すまでのひと手間があるので、「よし、使うか」という気持ちが必要になる。

見た目の違い
そして、常に出しておくというのであれば、実は、壁掛けの方が見た目が良かったりもします。
壁掛けの方が薄くてスリムだし、省スペース。


テレビ代わりに毎日気軽に使うつもりなら、壁掛けの固定フレームの方が良かったりもする。
そもそも、100インチオーバーの大画面、家で見る場所というのも決まっているはず。
逆に、普段は収納しておいて、見る時だけ出したい、非日常感を求めるなら、ポップアップになるのかと思う。
あと、これはいつも言っていることですが、プロジェクターって、エンタメ的な要素も大きくて、誰かに自慢したくなるものだと思っている。
その点、床からスクリーンがせり上がってくるインパクトは、これ以上ない。
誰かが来た時に、床からスクリーンが出てきたら、絶対面白いですからね。

サイズの違い
吊り下げ、固定フレーム、ポップアップ、100インチ、120インチと、いろいろなスクリーンを使ってきましたが、固定フレームでもポップアップでも、120インチはとにかくデカい。
映像部分だけでも、横幅約266cm、縦幅約149cm。
これにフレームも加えると、横幅2.7m近く。
ポップアップの120インチなら、スクリーンを収める本体の長さが約2.8mもある。



120インチって、6畳間の長い方に設置して、本当ピッタリぐらいのサイズ。
6畳間の短い方なら、だいたい100インチがピッタリ。
快適に視聴するなら距離も必要なので、100インチぐらいが限界だと感じている。


実際のところ、壁掛けタイプの重さは約12kgと軽いので、設置自体はそこまで難しくもない。
どちらかというと、組み立てる作業スペースと、「視聴距離を取れるのか?」ということの方が重要だと思いました。


120インチを設置するなら、最低でも12畳ぐらいは無いと厳しいと思うし、現実的には20畳くらいは無いと、快適に視聴もできないのではないか?
私はあんまり考えずに設置しちゃっていますが、置けたとしても、至近距離で大画面を見ると疲れちゃいますからね。

部屋に置けるということと、「見られるか?」ということは、また別の話。
100インチと120インチ、この20インチの差も思っている以上に大きい。
しっかりと計算して、後先考えてサイズは選んだ方がいいと思いました。
フレネルALRスクリーン
最後に、もう一つのALRスクリーン、フレネルスクリーンについても、軽く触れておきます。
実はALRスクリーンには、大きく分けて2つの方式があって、1つが上で紹介したレンチキュラー、もう1つがこのフレネル。


フレネルというのは、灯台のレンズなどに使われる「フレネルレンズ」と同じ発想のスクリーンで、表面にはプリズム状の細かい溝が、同心円状に刻まれている。
レンチキュラーの溝が水平の直線なのに対して、フレネルは同心円の溝で、入射してくる光の角度を精密にコントロールして、プロジェクターの光を正面にいる人に集めて反射するという構造。
ちょっと何を言っているのか、私もよく分かっていないのですけどね。
レンチキュラーとの違いは、環境光のカットが、天井からの光だけでなく、横からの光にも効くこと(天井と横からの光を85%カット)。
そして、ゲインが1.1と、レンチキュラーの0.6よりも、はるかに高いこと。
明るい部屋で、レンチキュラーよりも、さらに明るく映るスクリーンなのは間違いない。

ただ、その分、視野角が犠牲になっていて、90度と、レンチキュラーの170度に比べると半分近い数字。
実際に見比べてみても、明るい場所でも暗い場所でも、レンチキュラーより明るく見えるけど、横から見ると、急激に暗くなってしまう。
床に寝転がって下から見上げるような角度も、レンチキュラーに比べるとだいぶ劣っていると感じました。




以前使ったValerionの長焦点用ALRスクリーンもフレネル構造なので、横から見ると急激に暗くなるというのは、フレネルスクリーン共通のデメリットだと思う。
つまり、フレネルスクリーンは、真正面から距離を取って見るためのスクリーン。
視野角が狭いので、距離も取れないと、画面の端を斜めから見るような形になってしまう。
ソファーからも、ダイニングからも、寝転がっても見たいような、日本の一般的なリビングには、ちょっと不向きかなと。
向いているのは、正面にソファーを構えるシアタールームや、距離の取れる縦長の部屋。
よって、リビングでテレビ代わりに使いたいなら、視野角の広いレンチキュラーの方が向いていると思っています。
ちなみに、このフレネルスクリーン、実はAWOL Visionから新世代のモデルも登場していて、組み立て方法やスペックも結構変わっている。
新世代モデルのスペックは、ゲイン1.5、視野角90度、天井と横からの光を90%カットです。
フレネルスクリーンの新モデルと旧モデルの違いや、各種ALRスクリーンの違いについては、もうちょっとしっかりと検証してみたいと思っています。


超短焦点用スクリーンまとめ
ここまでいろいろなスクリーンを試してきましたが、改めて分かったのは、超短焦点プロジェクターは、スクリーンの影響がモロに出るということ。
投影する場所は平らであることが必須で、スクリーンはピンと張れないといけないので、固定フレームかポップアップの二択になる。
そして、マットスクリーンでも綺麗に投影はできるけど、それは、あくまで暗い部屋での話。

超短焦点プロジェクターが便利なのは、明るい部屋で見えることと、自由に動き回れること。
この2つを両立してこそ便利、というのは上述したとおりで、部屋を暗くして見るのは、ちょっともったいない。
せっかく超短焦点プロジェクターを使うなら、明るい部屋で動き回りながらも見られるようにすると、だいぶ幸せになれる。


リビングを映画館にするというだけでなく、リビングのまま、大画面テレビのようにも使えるようになる。
リビングをリビングのまま使うためには、ALRスクリーンが必要というわけです。

そんなALRスクリーン、結構高額。
その点、2026年8月に日本でもついにMakuakeでAetherion Maxが発売になって、2026年10月21日までのキャンペーンでは、プロジェクターとスクリーンのセットがお得に買えます。
せっかくAetherion Maxという超高性能プロジェクターを使うなら、その性能を引き出す専用スクリーンも、一緒に用意した方が良いわけで、まさにセットで揃えるのに、ちょうど良いタイミング。
→ AWOL Vision Aetherion(Makuake)

100インチ超えのテレビなんて、めちゃめちゃ高額だし、重量も60kgオーバーの世界ですからね。
それに比べれば、十数キロのスクリーンは圧倒的に軽くて手軽。
ただ、手軽に買えてしまうからこそ、慎重にサイズは選んだ方が良いと思っている。

テレビの65インチと75インチでも、だいぶ違いましたが、スクリーンの100インチと120インチは、それ以上に違う。
キャンペーンでは大型スクリーンも安いので、勢い余って大きいスクリーンが欲しくなるけど、私のように勢いでスクリーンを選ぶのは、やめた方が良い。
今、我が家には120インチのスクリーンがたくさんあって、「どうすんのよこれ?」ってなっちゃっていますからね。

「自分の家にちゃんと設置できるか?」というだけでなく、設置した後の生活スペースまでイメージした上で、しっかりと選んだ方が良いなと思いました。

余談ですが、先日、ちいかわの映画を見に行ったのですけど、「映画館の映像って、こんなんだったっけ?」とビックリ。
作品自体は思った以上に楽しめたのですが、「家のプロジェクターの方が…」と思ってしまいました。
ホームプロジェクターの進化を、改めて感じたのでした。
▶ 壁・マット・レンチキュラー・フレネルの映像の違いと、組み立てや設置の様子は、動画で見られます → YouTubeで見る
→ 関連記事:XGIMI AURA 3 Max / Proレビュー。超短焦点プロジェクターで4K 120Hz、TITAN Noir Maxとの分岐点。


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