会計ソフトは、クラウド会計の時代。
確定申告も近くなり、期末に会計ソフトと格闘する。
自動記帳で、そんな事も無くなります。
→クラウド会計を使って気づいたメリット・デメリット。インストール型会計ソフトとの違い。
クラウド会計の先駆けの「freee」、
資産管理の「マネーフォワードクラウド」、
会計ソフト大御所の「やよいの青色申告オンライン」。
クラウド会計の普及とともに、料金プランも変わりまくっているので、
今一度、各社の特徴をまとめておきます。

クラウド会計3社の料金プラン
freee(フリー)

運営元:freee 株式会社(旧CFO株式会社)
2013年3月に全自動のクラウド会計ソフト「freee(フリー)」をリリース。
元グーグル社員の佐々木大輔氏が立ち上げた、クラウド会計の先駆け。
クラウド会計知名度はNo.1であり、企業向けクラウド会計シェアもNo.1。
freee独自の入力方法で、簿記の知識が無くとも使えるってのが長所であり短所でも有る。
freeeの料金
スターター | スタンダード | プレミアム | |
---|---|---|---|
月額(税込) | 1,298円 | 2,618円 | – |
年額(税込) | 12,936円 | 26,136円 | 43,780円 |
サポート | メール チャット | メール(優先) チャット(優先) | 電話サポート 税務調査サポート補償 メール(優先) チャット(優先) 乗換代行サービス |
無料期間 | 30日間 | 30日間 | 30日間 |
請求書作成 | 可能 | 可能 | 可能 |
メンバー追加 | 不可 | 3人まで無料 | 3人まで無料 |
消費税申告 | 不可 | 可能 | 可能 |
消費税集計 | 不可 | 可能 | 可能 |
達人連携 | 不可 | 可能 | 可能 |
レシート スキャン仕訳 | 月5枚まで | 可能 | 可能 |
料金プランは、3段階有りますが、
機能面での違いは、スターター(年額12,936円)では、
メンバー追加ができず、消費税申告(消費税集計)ができないこと。
消費税の課税事業者なら、スタンダードプラン以上を選ぶしかない。
料金プランにより、サポート対応も異なり、
スターターよりも、スタンダードの方がメール&チャット返信が早くなり、
プレミアムになると、導入サポート、電話サポート、税務調査サポート補償も利用可能となる。
ただ、サポートの差で年額43,780円も払うなら、スタンダードの年額26,136円で良いかなと。
税務調査サポート補償は、税務調査時の税理士費用を50万円まで補償してくれるモノ。
保険みたいな特典なわけで・・・会計ソフトの目的とも違うと思いました。
freeeは、会計だけでなく、請求書作成や経費精算機能も有りますが、
給与計算やマイナンバー管理は「人事労務ソフト freee」で別料金となっています。
人事労務freeeは、一番格安なベーシックで月額3,980円~。こちらも安くは無いですので。
freee最大の難点は、2022年2月に楽天銀行のAPI連携サービスが終了となってしまったこと。
楽天銀行を使っているなら、freeeで自動取り込みできません。
マネーフォワードクラウド確定申告

運営元:株式会社マネーフォワード
資産管理・家計簿アプリでお馴染み「マネーフォワード ME」を運営する企業。
2014年2月にマネーフォワードクラウド(旧 MFクラウド)をリリース。
freee直後にサービス開始、freeeのライバルである事も間違いない会計ソフト。
freeeとは違い、従来の振替伝票形式で入力するスタイルとなっています。
マネーフォワードクラウドの料金
パーソナルミニ | パーソナル | パーソナルプラス | |
---|---|---|---|
月額(税込) | 1,078円 | 1,408円 | – |
年額(税込) | 10,560円 | 12,936円 | 39,336円 |
サポート | メール チャット | メール チャット | メール チャット 電話 |
無料期間 | – | 1ヶ月 | – |
請求業務 | 書類作成のみ 取引先上限15件 | 全て利用可能 | 全て利用可能 |
メンバー追加 | 不可 | 可能 ※制限なし | 可能 ※制限なし |
消費税申告 | 不可 | 不可 | 不可 |
消費税集計 | 不可 | 可能 | 可能 |
達人連携 | 不可 | 可能 | 可能 |
各種レポート | キャッシュフロー レポートのみ | 可能 | 可能 |
経費精算 給与計算 勤怠管理 マイナンバー | 可能 | 可能 | 可能 |
個人事業主向けの「マネーフォワードクラウド確定申告」は、
会計以外の、給与計算、請求書作成、経費精算、勤怠管理、マイナンバー管理・・・
オプション機能も全て含まれた料金プランとなっています。
会計ソフトの料金だけで、全ての機能が使えるのです。
料金プランは、パーソナルミニ、パーソナル、パーソナルプラスの3種類。
ただ、一番安いパーソナルミニでは、消費税集計機能が無いので、
こちらも消費税の課税事業者は、パーソナルプラン(年額12,936円)を選ぶ事になる。
パーソナルプラス(年額39,336円)は、料金が一気に高くなりますが、
機能的な面ではパーソナルと変わず、電話サポートが増えるくらい。
パーソナルミニ(年額10,560円)と、パーソナル(年額12,936円)の差額が少なく、
パーソナルで、ほぼ全ての機能が使えるわけで、
マネーフォワードクラウドの方が、freeeよりコスパが高いのです。
やよいの青色申告オンライン

運営元:弥生株式会社
会計ソフトといえば弥生。会計ソフトのシェア率No.1。
私も起業した当初はパッケージ版の「やよいの青色申告」を使っていました。
2014年10月に「やよいの青色申告オンライン」を提供開始。
クラウドではないパッケージ版「やよい青色申告」と、ほぼ同じ料金となっています。
やよいの青色申告オンライン
セルフプラン | ベーシックプラン | トータルプラン | |
---|---|---|---|
月額(税込) | - | - | - |
年額(税込) | 8,800円 初年度無料 | 13,200円 初年度6,600円 | 22,000円 初年度11,000円 |
操作 サポート | 不可 | メール チャット 電話 | メール チャット 電話 |
画面共有 サポート | 不可 | 可能 | 可能 |
業務相談 | 不可 | 不可 | 可能 |
無料期間 | 1年間 | 無し ※初年度半額 | 無し ※初年度半額 |
メンバー追加 | 600円/1人 | 1,000円/1人 | 1,600円/1人 |
消費税申告 | 可能 | 可能 | 可能 |
請求書 | Misoca連携 ※月間5通無料 | Misoca連携 ※月間5通無料 | Misoca連携 ※月間5通無料 |
他クラウド会計とは違い、やよいの青色申告 オンラインは、
年間契約のみで、料金プランでの違いはサポート対応のみ。
使える機能は一緒なので、全てのプランで消費税申告も可能です。
サポート要らないならセルフプラン(年間8,800円)は格安であり、
初年度無償キャンペーンも実施中、最初の1年間は無料で使えるのも良い。

ただ、パッケージ版の「やよいの青色申告」とは操作方法が全く異なり、
「やよいの青色申告オンライン」では、出納帳入力や伝票入力もできません。
良くも悪くもfreeeみたいなシステム。簿記分からなくても良いってやつ。
パッケージ版の「やよいの青色申告」って、よくできた会計ソフトであり、
圧倒的なシェアを誇る青色申告ソフト。
複式簿記を理解して入力したいなら、パッケージ版のが良いかなと。
クラウドに抵抗がある人にもおすすめ。Windowsユーザー限定ですけど。
パッケージ版「やよいの青色申告」って、あんしん保守サポートの無料特典が付いてるので、
「やよいの青色申告」も「やよいの青色申告オンライン」も、実は年間料金は全く同じなのでした。
→デスクトップ版「やよいの青色申告」とクラウド版「やよいの青色申告オンライン」の違い
オンライン版とパッケージ版の違い
やよいの青色申告 オンライン (クラウド版) | やよいの青色申告 (デスクトップ版) | |
---|---|---|
セルフプラン | 8,800円 初年度無料 | 初回購入費:13,200円 更新料:8,800円 (あんしん保守サポート) |
ベーシックプラン | 13,200円 初年度半額(6,600円) | 初回購入費:13,200円 更新料:13,200円 (あんしん保守サポート) |
トータルプラン | 22,000円 初年度半額(11,000円) | 初回購入費: 22,000円 更新料: 22,000円 (あんしん保守サポート) |
対応パソコン | Windows、Mac | Windows |
対応スマホ | iOS、Android | – |
利用端末数 | 制限なし | 2台のPCまで |
データ保存先 | クラウド | PC、クラウド ※あんしん保守サポート加入 |
オフライン入力 | 不可 | 可能 |
消費税申告 不動産所得申告 | 可能 | 可能 |
農業申告 | 不可 | 不可 |
かんたん取引入力 仕訳帳入力 | 可能 | 可能 |
出納帳入力 伝票入力 | 不可 | 可能 |
スマート取引取込 口座自動連携ツール | 可能 | 一部金融機関のみ ※あんしん保守サポート加入 |
また、弥生には、白色申告特化の「やよいの白色申告 オンライン」も有りますので、
白色申告事業者なら完全無料で使う事も可能です。
こちらも有料版との違いは、サポートの違いのみ。確定申告書も無料で作成可能です。
やよいの白色申告オンライン
フリープラン | ベーシックプラン | トータルプラン | |
---|---|---|---|
月額(税込) | - | - | - |
年額(税込) | 無料 | 8,800円 初年度半額(4,400円) | 15,400円 初年度半額(7,700円) |
操作サポート | 不可 | メール チャット 電話 | メール チャット 電話 |
画面共有サポート | 不可 | 可能 | 可能 |
業務相談 | 不可 | 不可 | 可能 |
確定申告書の作成 | 可能 | 可能 | 可能 |
平成26年以降、白色申告者も記帳が義務化となりましたからね。
まぁ、白色申告で記帳するなら、私は青色申告事業者になった方が良いと思いますけども。
クラウド会計を選ぶポイント
API連携対応の金融機関数
銀行法改正によるAPI公開(オープンAPI)の動きが有り、
フィンテック事業者と銀行のWinWinな関係を構築・・・
という建前はさておき、このオープンAPI推進により銀行とフィンテックの契約義務化で、
クラウド会計や家計簿アプリの対応金融機関が減っています。
代表となる例が楽天銀行。
2022年2月には、freeeが楽天銀行の自動取り込みが利用不可能となりました。
※マネーフォワードクラウド、やよいの青色申告オンラインは、楽天銀行と連携可能です。
freee株式会社(本社:東京都品川区、CEO:佐々木大輔、以下「freee」)は楽天銀行との間で行っている参照系のAPI※を活用した法人口座・個人ビジネス・個人口座の利用明細の自動取り込みについて、2022年2月24日(木)17時頃をもって停止することをお知らせします。
freee会計と楽天銀行のAPI連携契約満了に伴う 口座明細の自動取り込み停止のお知らせ | プレスリリース | corp.freee.co.jp
銀行が未対応ってなると、銀行に紐づくクレジットカードの決済仕訳も上手く機能しなくなるので・・・
クラウド会計を使う意味が無くなってしまうのです。
楽天銀行って日本でもトップクラスのネット銀行。
freeeの改悪は、控えめに言っても致命的なのでした。
→個人事業主にオススメのネット銀行。他行宛て振込手数料の比較。

金融機関とのデータ連携精度
クラウド会計として、何よりも重要なのが、
対応する金融機関、クレジットカード数・・・ではなく、
データの取り込み精度、同期エラーが出ないこと。

この点、freeeとマネーフォワードは問題無いのですが、
やよいの青色申告オンラインは、ちょっと微妙でした。
弥生では「MoneyLook」→「YAYOI SMART CONNECT」という、
外部サービスと連携をして、データを取り込むという事。
毎度、ログイン→同意も求められ、同期もモッサリしています。

金融機関側のシステム変更で、しばらくエラーも有ったり、
口座連携できなくなることも多いのです。対応も他社に比べて遅い。

やよいの青色申告オンラインでは、データ連携に対応するサービスも少なく、
Eコマースや、アフィリエイト、クラウドソーシング系サービスも未対応。
freeeやマネーフォワードに比べると、データ連携できるサービス数でも劣るのです。
データ入力方法
クラウド会計は、いずれも似たような仕組みですが、
実際の使い勝手、データ入力方法が全然違います。
freeeは、簿記を知らなくても使える会計ソフトという事で、
従来の会計ソフトとは、使い方が全く異なります。
税務知識が無い人でも使えるという事が、簿記を知っている人にとっては仇となっている。
「補助科目」という言葉も有りませんからね。
→freeeとマネーフォワードクラウドを徹底比較。両方使って気付いた大きな違い。
やよいの青色申告オンラインも、freeeと同じような入力システムを採用。
インストール版で可能だった、出納帳入力、伝票入力が不可能となっており、
操作方法も全く異なります。そして、freeeと比べて使い勝手が微妙。
一方、マネーフォワードクラウドは、従来の会計ソフトにクラウド機能を付与。
お馴染みの振替伝票入力も可能なわけで、
他会計ソフトを使った経験が有るなら、マネーフォワードが使いやすい。
手入力仕訳が有る場合も、マネーフォワードが早いです。
簿記が分からない人は、freeeとやよいの青色申告オンラインだけど、
逆に分かるなら、マネーフォワードクラウドがスムーズですね。
シェア率の推移
会計データという重要なデータ、
サービスが廃れたり、サービス内容が変わっても困るわけで、
なるべくなら皆が使っている会計ソフトを使いたい。
で、現時点での個人シェアトップは、弥生がダントツです。
クラウド会計利用状況調査
- 2019年:弥生(57%)>マネーフォワード(21.5%)>freee(18.2%)
- 2020年:弥生(56.7%)>freee(21.1%)>マネーフォワード(16.8%)
さすが弥生といいたいところですが、
無料で使える「やよいの白色申告 オンライン」も含まれますので・・・
クラウドのみのシェアとなると、freeeとマネーフォワードクラウドの2強です。
2018年までは、マネーフォワードが強かったのですが、
2019年5月に、マネーフォワードクラウドの料金プラン変更→大幅値上げ、
これが大不評で、マネーフォワードとfreeeのシェア比が逆転となりました。
この影響も受けて、2020年6月にマネーフォワードクラウドは、
現在の料金プランへ改定→実質の値下げとなっています。
2022年2月には、freeeは楽天銀行との連携ができなくなったので、
これから使うなら、マネーフォワードクラウドを選ぶ人が多そうですね。
ちなみに、法人のクラウド会計のシェアは、freeeがシェアNo.1。
法人freeeは、個人向けfreeeとは違い、一括入力もできるし、
クラウド会計対応の税理士も、freeeの方が多い気がします。
→小規模法人におすすめクラウド会計ソフト。freee会計、マネーフォワードクラウド会計、弥生会計の比較。
クラウド会計の比較まとめ
3社クラウド会計を試して思うのは、
同じクラウド会計でも、対象ユーザーが違うなと。
会計初心者ならfreee。
シェアを占める事により、freeeの仕訳も一般的となっているわけで、
会計ソフトの常識も変わりつつある。
ただ、従来の会計ソフトの知識が有るなら、
間違いなくマネーフォワードクラウドが使いやすい。
マネーフォワードクラウドは、全ての機能が使えて12,936円(パーソナルプラン)。
freeeの26,136円(スタンダードプラン)と比べて値段も半額以下。
freeeでは、楽天銀行の取り込み不可能となったのも痛いですね。
freeeでは、消費税対応となると倍以上の料金になるので、
消費税の課税事業者(年間売上1,000万円以上)なら、ほぼマネーフォワードクラウド一択。
クラウド会計の料金比較
freee スタンダード | マネーフォワードクラウド パーソナル | やよいの青色申告 セルフプラン | |
---|---|---|---|
年額(税込) | 26,136円 | 12,936円 | 8,800円 初年度無料 |
消費税集計 | 可能 | 可能 | 可能 |
サポート | メール チャット | メール チャット | 不可 |
メンバー追加 | 無料 ※有料 | 無料 ※制限無し | 有料 1人あたり600円 |
やよいの青色申告オンラインも、freeeと同じく初心者向けなんだけども、
データ連携とUI(使い勝手)が、freeeに比べてお粗末。
従来のデスクトップ版とも操作方法は違うので、やよい選ぶなら歴史有るデスクトップが良いかなと。
→デスクトップ版「やよいの青色申告」とクラウド版「やよいの青色申告オンライン」の違い
いずれにせよ、クラウド会計は、まだまだ発展途上のサービス。
私が感じた情報が、既に古い可能性もあります。
どのサービスも無料体験ができるので、まず体感してみる事をオススメします。
誰が何と言おうと、実際に使ってみた方が早い。
使えないなら、無料のウチに辞めれば良いだけ。
やよいの青色申告を使っているから、やよいのクラウド会計に移行する。
そんな安直な考えは、ブン投げて。とりあえずやってみる。
会計ソフトを見直す為の、良い機会です。

P.S.
日本で商売するなら、日本の課税システムへの理解も必須。
知らないと、後から来る税金にも苦しめられる。
→個人事業主が払うべき税金と保険料の全て。税金の種類と税率の計算方法。
確定申告で終わりでは無く、申告を元に税務調査が有りますので。
コメント
コメント一覧 (5件)
ありがとうございました。
大変参考になりました。
やはりそうかという感じでした
大変参考になりました
大変助かりました
ありがとうございました
説得力があり、とても参考になりました。
比較の仕方がいいですね 。scansnapを持っているのでそれを活用できる会計ソフトを探していますがMFで試してみようと思います。
すごいわかりやすかったです。
大変助かりました。
本当にありがとうございました。
分かりやすい解説ありがとうございました。
参考にさせていただきます。