- Plus2は投写比固定の制約を飲める玄人向けのコスパ機
- Pro2は設置しやすく画質も十分、ほとんどの人はこれが正解
- Maxは黒を極限まで追い込みたい人向けの最上位機
プロジェクターって、モデル選びが一番難しいんですよね。
どのメーカーも複数モデルを出していて、スペック表を見ても違いがよくわからない。
いま最も勢いのあるプロジェクターメーカー「Valerion」も、StreamMaster PlusとPlus2、VisionMaster ProとPro2、そして最上位のMaxと、5つもモデルがあります。
どれも映像が綺麗で、どれも高性能。
で、実際何が違うのか?って話です。
私は最上位のVisionMaster Maxを発売前に使わせてもらい、1ヶ月ほどPlus2、Pro2、Maxの3台を並べて使い比べてきました。
その前からVisionMaster Pro2は数ヶ月使い込んでいたので、Valerion歴はそこそこ長い方だと思います。

で、先に結論を言ってしまうと、VisionMaster Max最大のライバルは、他社ではなく同じValerionのPro2でした。
高いモデル=あなたに合うモデル、とは限らないのです。
※本記事は、メーカーから機材提供を受けて制作したレビュー動画の連動記事です。
とはいえ、そんなことはお構いなしに、良い点も気になる点も正直に書いています。
そんな私を疑い深く見ながら読んでいただけると幸いです。
※VisionMaster Maxは発売前の機材で検証しました。製品版とは細部が異なる可能性があります。
動画では、3台並べた投影比較やアイリスによる黒の変化まで実映像で見られます。
「黒の深さ」は文字では伝わらないので、そこは動画でどうぞ。
Valerionというブランド
Valerionは、超短焦点プロジェクター専業メーカー「AWOL Vision」のプレミアムブランド。
2024年末のKickstarterで1,000万ドル、日本円にして約16億円もの支援を集め、ホームプロジェクター史上最高額として話題になったブランドです。
ただ、すごいのは話題性だけじゃない。
全モデルがISF認証を取得しています。
ISFというのは、映像業界のプロフェッショナルが認める画質基準をクリアした証明。
プロジェクター業界ってスペックを盛りがちなんですけれども、Valerionはスペック通りの数値が出ることが海外メディアの実測でも検証されまくっていて、欧米での評価がやたら高いんですよね。
現在のラインナップは5モデル。
スタンダードのStreamMaster PlusとPlus2、上位のVisionMaster ProとPro2、最上位のMax。
徐々に進化してきたわけではなく、最初から用途別に5モデルを同時展開している構成です。

名前のルールは簡単で、PlusとPlus2、ProとPro2の違いは「明るさだけ」。
数字が付くと明るくなる、と覚えればOK。
一方、Plus→Pro→Maxとグレードが上がると、明るさ以外の機能も変わります。
全モデル共通の基本スペック
まず知っておいてほしいのが、Valerionはどのモデルを選んでも基本性能が高いこと。
一番安いStreamMaster Plusですら、他社フラッグシップに匹敵するスペックです。
| 投影サイズ | 全モデル40〜300インチ・4K対応 |
|---|---|
| HDR規格 | HDR10、HDR10+、HLG、Dolby Vision、IMAX Enhanced |
| 色域 | Rec.2020を110%カバー・ISF認証取得 |
| ゲーミング | 1080p/240Hzで遅延4ms、4K/60Hzで15ms。ALLM対応 |
| 画面比率 | 21:9・32:9のウルトラワイド表示に対応 |
| OS | Google TV内蔵(RAM 4GB・ストレージ128GB) |
| 接続 | Wi-Fi 6E。HDMI 2.1×2+eARC対応HDMI 2.0×1、USB、光デジタル、有線LAN |
| 連携 | AirPlay 2・Google Cast・Apple HomeKit・Google Home |
| スピーカー | 12W×2の合計24W |

遅延4msって、ゲーミングモニターと同等レベルですからね。
Dolby VisionだけでなくIMAX Enhancedに対応しているのも、他社ではほとんど無い。
内蔵Google TVはNetflixもYouTubeも単体で動きますし、下手にFire TVやApple TVを外付けするより内蔵Google TVの方が高速に動くのも良いところです。

ちなみに筐体デザインも全モデル共通で、違うのはカラーだけ。
Plusがブルー、Plus2がホワイト、Proがゴールド、Pro2がダークグレー、Maxがブラックです。
本体の底には1/4インチネジ穴があるので、純正のオプションパーツは全モデル共通で使えるし、カメラ用の三脚やスタンドも使えます。

3モデルの比較表
では、何が違うのか。
私が実際に使い比べたのは、Plus2、Pro2、Maxの3台です。

| StreamMaster Plus2 | VisionMaster Pro2 | VisionMaster Max | |
|---|---|---|---|
| 位置づけ | スタンダード | 上位 | 最上位 |
| 明るさ | 2,000 ISOルーメン | 3,000 ISOルーメン | 3,500 ISOルーメン |
| コントラスト比 | 10,000:1 | 15,000:1 | 50,000:1 |
| 光学ズーム | なし(投写比1.2:1固定) | 0.9〜1.5倍 | 0.9〜1.5倍(交換レンズで最大2倍) |
| 垂直レンズシフト | なし | なし | あり(電動・±105%) |
| マニュアルアイリス | なし | なし | あり(6段階) |
| レインボーエフェクト抑制 | なし | なし | あり(Anti-RBE) |
| スペックル低減 | なし | なし | あり |
| レンズ | 混合樹脂とガラス | 混合樹脂とガラス | 14枚フルガラスレンズ |
| 有線LAN | 100Mbps | 100Mbps | 1Gbps |
| 重量 | 約7kg | 約7kg | 7.5kg |
| 実勢価格(2026年7月時点) | 199,800円 | 359,800円前後 | 649,800円前後 |
※価格はセール・販売店で変動します。最新の価格は公式サイト・Amazonでご確認ください。
なお、動画を収録した2025年12月時点では、MaxはMakuakeでの先行販売が始まったところでした。
そのプロジェクトは2026年2月27日に終了し、4月から一般販売が始まっています。
一般販売が始まって、Pro2とPlus2は収録時よりだいぶ値下がりしているんですよね(Pro2は約45万円→359,800円前後、Plus2は約30万円→199,800円前後)。
この共通スペックでPlus2が20万円を切る水準というのは、かなり強烈です。
※2026年6月のブランド再編で、販売名は「AWOL Valerion Max」「AWOL Valerion Pro 2」へ変わっています(製品は同じ。この記事では収録時の名称で表記します)。
大きな分岐点は2つ。
Plus系とPro系を分けるのが「光学ズームの有無」。
Pro系とMaxを分けるのが「コントラスト(アイリス)とレンズシフト」です。
基準になるPro2の映像
Maxの話の前に、基準となるPro2の話をさせてください。
私が最初に使ったValerionがこのPro2で、数ヶ月じっくり使い込みました。
光源はRGBトリプルレーザー。
赤、緑、青それぞれに独立したレーザーを使う、映画館のプロジェクターと同じ仕組みです。
単色レーザーにカラーフィルターを通す一般的な家庭用プロジェクターと違い、圧倒的に純度の高い色が出せる。

そしてValerionの代名詞が、特許技術のEBLによる黒表現。
DLPプロジェクターって構造上どうしても黒が浮きがちなんですが、EBLをオンにすると、まるで有機ELテレビのような深い黒になる。
インターステラーのような宇宙空間のシーンを見ると、その違いは歴然。
漆黒の闇と宇宙船のディティールがしっかり分離して、暗部が潰れない。
アバターのような色彩豊かな映画だと、もうホント別物。
初めて投影したとき、ゾワゾワして鳥肌が立ちましたからね。

ゲーミング性能も本物で、フルHD/240Hz/遅延4ms。
部屋を暗くしてホラーゲームをプレイすると、投影と部屋の境目がわからないレベルで、視界すべてが暗闇に包まれる恐怖は別次元でした。
100インチの32:9スーパーウルトラワイド表示なら、ゲーミングモニター換算で約90インチ相当という異次元の視野も手に入ります。

つまり、Pro2の時点で「家庭用プロジェクターの概念が変わる」レベルの映像なのです。
この後のMaxの評価がやたら辛口に見えたら、それは比較相手がこのPro2だからです。
Plus2とPro2の差
まず、スタンダードのPlus2と上位のPro2。
暗室で100インチ投影して並べて比べると、映像の違いはわかります。
Pro2の方が発色、色のり、解像感で勝っていて、特に赤や青といった原色が深く濃い。
黒の黒さも上。
とはいえPlus2も、2,000 ISOルーメンとは思えないほど綺麗で、他社のより明るいプロジェクターと比べても遜色ないどころか、むしろ綺麗に感じたほどです。

ただ、実際に検証していて気づいたのは、映像の違いよりも使い勝手の違いの方が大きいということ。
Plus2、思っていた以上に設置が大変だったんですよね。
光学ズームが無いPlus系は、投写比が1.2:1で固定。
100インチなら約2.65m、と投影サイズごとに設置距離がピンポイントで決まるのです。
6畳間の長辺がだいたい3.5mなので、100インチを映すにはプロジェクターが部屋のやや真ん中に来る。
リビングの真ん中にプロジェクターがあったら、邪魔ですからね。

さらに、プロジェクターは構造上、レンズより上方向に映像が広がります(レンズオフセット)。
スクリーンの下端に合わせて真正面に置くのは、生活スペースではまず不可能に近い。
斜めに投影すれば台形補正が必須になり、画質も落ち、設置距離もまた変わる。
光学ズームが無いと、この調整の逃げ道が全部なくなるのです。
実際、Pro2で問題なく投影できた場所でもPlus2では同じように投影できず、カメラ用のビデオ三脚を引っ張り出して試行錯誤する羽目になりました。

というわけで、StreamMaster Plusシリーズは「安いからエントリー機」と勘違いしがちですが、設置の難易度はむしろ高く、どちらかといえば玄人向け。
生活スペースに置くことを考えているなら、光学ズームはないと困る。
映像の綺麗さ云々の前に、ちゃんと設置できる場所があるのか?を先に考えた方が良いです。
Pro2とMaxの差
そして本題、Pro2と最上位Maxの違いです。
Maxで追加される主な機能は、6段階マニュアルアイリス、電動レンズシフト、レンズ交換対応、レインボーエフェクト抑制(Anti-RBE)、スペックル低減。
レンズも14枚構成のフルガラスレンズにアップグレードされ、コントラスト比は15,000:1→50,000:1に跳ね上がります。
このコントラストの跳ね上がりを支えるのが、Maxのみに搭載された「NoirSceneシステム」。
6段階マニュアルアイリスやEBLといった統合技術で、暗所コントラストを格段に高めています。
付属品にも差があります。
Maxだけ高級感のある化粧箱梱包となっていて、その代わり、PlusやProに付属するキャリングケースが付きません。
ここまで高額かつハイスペックな機材を持ち運ぶ人は少ないでしょうから、完全な据え置きとして使う前提なのでしょう。

で、実際に2台並べて投影してみた正直な感想。
デフォルト設定のままでは、違いがちょっと分かりづらい。
そもそもPro2がものすごく綺麗なので、並べて比べても「言われてみれば違うかな?」程度。
3機種同時に比較すると、Plus2は色味の違いが分かるんですけれども、Pro2とMaxは、途中でどっちがどっちだか分からなくなりましたからね。

違いが出るのはアイリスを絞ってから。
アイリスはカメラの絞りみたいなもので、1→6へ絞るほどに色濃く、黒くなっていく。
最大の6まで絞ると違いは顕著で、明るいところがより明るく、暗いところがより暗くなる。
「絞ることでコントラストが向上する」というのは、しっかり体感できました。

ただし注意点もあって、アイリスを絞るとピーク輝度は下がるし、色味も若干暖色寄りに変化します。
常用するなら4〜5くらいに抑えた方が良い気もしました。
この辺はコンテンツ次第だし、好みの問題。
逆に言えば、自分の好みに合わせて細かく追い込めるのがMaxの利点です。
もうひとつの目玉、垂直レンズシフト。
本体を水平に保ったまま、画質劣化なしで映像位置を上下に調整できる機能で、100インチなら上下それぞれ約130cmの範囲で動かせます。
ただこれも正直に言うと、台形補正した映像とレンズシフトで補正なしの映像を見比べて、違いが分からないというのが私の感想です。
Valerionの台形補正は優秀で、よっぽど変な角度から投影しなければ劣化を感じません。
はい、異論は認めます。

ちなみに、なんだかんだ綺麗に投影できる設置方法が、天井への吊り下げ設置です。
本体を逆さに吊るすとオフセットも逆方向になるので、映像が下方向に綺麗に広がるんですよね。
これなら台形補正に頼りすぎることなく投影できます。
Valerion純正の天井マウントは上下の微調整もできるので、水平を保ったまま映像位置もぴったり合わせやすいです。
レインボーエフェクト抑制については、そもそも私はValerionでレインボーエフェクトを感じていないので何とも。
感じやすい体質の人には、目の疲れを軽減できる意味があると思います。
スペックル低減は、ALRスクリーンでは確かにPro2より抑えられている気がしましたが、そもそもValerionのALRスクリーン自体にスペックル低減技術が入っているので、スクリーン次第でもあります。
ALRスクリーンについては別の動画で詳しくレビューしています。
他社と比べてどうなのか
結局のところ、Valerionの武器は「究極の黒」です。
スペック上の数字はさておき、実際に見ると他社より色が濃く、黒が黒いのがよくわかる。
EBLをオフにした状態でもネイティブコントラストが高く、デフォルトで黒が黒い。
例えるなら、他社プロジェクターがminiLEDで、Valerionは有機ELという感じでしょうか。
明るさで劣るわけでもなく、同等ルーメンの他社機と比べても明るい場所でより色濃く映ります。
他社は輝度を上げると白飛びして色が薄くなりがちですが、Valerionは色が濃いまま明るくなる。
現代の映画やゲームって、暗いシーンが多いんですよね。
シネマティックな映像を黒つぶれなく、くっきり見せられるのがValerionの真骨頂です。

あと、これだけ高出力なのに電源アダプターがコンパクトなのも素晴らしい。
ケーブルの真ん中にどデカいアダプターも無いので、配線がすっきりするのは地味な利点です。

一方、他社に負ける部分もあります。
本体は7kg超と重く、ジンバル一体型でもない。
ジンバルスタンドはオプションで22,800円、しかも2kgあるので合計9kg超。
競合がジンバル付き5kg前後なので、設置の柔軟性と携帯性では他社に軍配が上がります。
Maxのレンズシフトも垂直方向のみで、水平方向には非対応。
持ち運んで使うのではなく、しっかり据え置いて使うプロジェクターです。
壁際に置ける超短焦点タイプが欲しい人には、Aetherion Maxという機種も別動画でレビューしています。

あと、スピーカーが全モデル共通の24Wというのも惜しいところ。
Plus2なら悪くないんですが、75万円クラスのMaxでも同じですからね。
この映像を見てしまうと絶対に音響も揃えたくなるはずで、eARCや光デジタル対応も含めて、外部スピーカー前提と考えた方が良いです。
で、どのモデルを買うべきか
StreamMaster Plus2は、投写比1.2:1固定という制約を理解して、設置場所を自力で確保できる人向け。
その条件を飲めるなら、20万円前後でこの性能はコスパ最強です。
ほとんどの人におすすめなのは、光学ズームで生活スペースにも設置しやすいVisionMaster ProかPro2。
暗室で使うならPro、明るい部屋でも使うならPro2。
迷ったら明るいPro2です。

Maxは、黒を極限まで追い込みたい人、アイリスやレンズシフトで細かく調整したい人向け。
「これを選んでおけば間違いない」という安心感はありますが、その価値がわかる人向けの一台です。
正直なところ、Pro2の時点で映像は文句のつけようがないくらい綺麗なので、MaxとPro2の価格差およそ29万円分を体感できたかというと、難しいところでした。
実際、Pro2を初めて使ったときに比べて、Maxを使ったときの私はリアクションが薄かったし、私の家族に至っては「どっちもすんごい綺麗」って反応でしたからね。
VisionMaster Max最大のライバルは、皮肉にも同じValerionのPro2なのです。
Valerionの選び方まとめ
Valerionのプロジェクターは、現代のホームプロジェクター市場で最高峰のシリーズ。
それは3台を使い比べた今、間違いないと思っています。
ただ、モデルによって性格がはっきり違います。

Plus系とPro系の差は、映像より「設置できるか」。
光学ズームの無いPlus系は玄人向けで、生活スペースで使うならPro系が安全。
Pro2とMaxの差は、映像の「最後の一絞り」。
アイリスで黒を追い込む楽しさに、29万円を出せるかどうかです。

大画面は、一度体験すると戻れません。
どのモデルを選んでも映像は最高クラスなので、自分の部屋に設置できるか?から逆算して選ぶのが、失敗しないコツです。
※価格はセールで変動します。最新の価格・在庫は公式サイト・Amazonでご確認ください。
▶ 3台並べた投影比較やアイリスによる黒の変化は動画で詳しく解説しています → YouTubeで見る
▶ Pro2単体のレビュー(ゲーミング性能検証)はこちら → YouTubeで見る
チャンネルではデスクセットアップ、ホームシアター、賃貸DIYのレビューを続けています。
よろしければチャンネル登録もどうぞ。
P.S.
家にプロジェクターを設置してからというもの、テレビをつけることがホント少なくなりました。
「とりあえずテレビをつける」って習慣を辞めると、意外な発見もあって、部屋が涼しくなるという。
テレビもシーリングライトも、意外と発熱してますからね。
もちろんプロジェクターも発熱するので、夏場は置く場所にも気をつけてね。

コメント