SIHOO DOROレビュー。C300 Pro・C500・S300を半年座り比べた違いと、私の一押し。

SIHOO DOROシリーズなど提供4台のオフィスチェアを横一列に並べた全景
この記事の結論
  • SIHOOは、ただ安いから売れているブランドじゃなかった
  • リクライニングを使わないならC300 Pro、両立したいならC500
  • 私の一押しはS300。ただし合うかどうかは座ってみないとわからない

世界中でシェアを伸ばしているオフィスチェアメーカー、SIHOO。
中国で最大級のシェアを誇るメーカーで、最近では日本でも販売されているので、知っている人も増えているのではないでしょうか。

SIHOOのオフィスチェア4台を横に並べたところ
今回使い比べたSIHOOのチェア4台

私は、人生がデスクワークみたいなもの。
肩こり・腰痛・首・手首に股関節と、デスクワークによる不調には一通り悩まされてきた。
そんな中、オフィスチェアとはずっと付き合ってきたわけで、有名な椅子は一通り試してきたんですよね。

その上で感じているのが、「万人に最適な椅子なんてものは無い」ということ。
体型にもよるし、デスク環境や作業スタイルにもよる。
どの椅子も似ているようで全く別物で、長く使ってみないと本当のところはわからない。
一長一短があるなと感じています。

部屋に集めたアーロンチェアやセイルチェアなどのオフィスチェア
自宅にあるオフィスチェア(アーロンチェア・セイルチェアなど)

正直、このSIHOOの椅子を使う前は、エルゴヒューマンの廉価版みたいなイメージでした。
ただ、実際に約半年ほど使ってきてわかったのは、エルゴヒューマンとは全くの別物だということ。
ハーマンミラーにもオカムラにもない、SIHOO独自の技術があり、ただ安いというだけで、ここまでシェアを伸ばしてきたんじゃないってことです。

YouTubeにはSIHOOのレビュー動画が多く、それらが「本当に真実なのか?」ってのも気になっていましたし、私なりに色々と試して、実際どんな感じなのかを知りたかったってのもある。

目次

SIHOOの歴史と主力ライン

なぜSIHOOは、これほどまでに急成長しているのか?

SIHOOは、2011年に中国の広東省で創業されたエルゴノミクスチェアの専業メーカー。
専業というのがポイントで、椅子だけをやっている会社。
デスクも作っていますとか、オフィス用品全般をやっていますとかではなく、人間工学チェアに特化している。

規模感で言うと、年間販売台数が150万脚。
85カ国以上に輸出しており、累計で約1000万の家庭やオフィスで使われている。
ちょっと数字の桁が違いすぎて分かりづらいですが、中国国内のオンラインエルゴノミクスチェア市場では、販売額で4年連続1位。
これがどれぐらい異常かっていうと、日本で言えばAmazonのオフィスチェアランキングで、4年ずっと1位を独占し続けているようなものです。

しかも注目すべきは、安い椅子だけで売れているわけじゃないってこと。
10万円を超えるフラッグシップモデルも展開しており、欧米のAmazonでもエルゴノミクスチェアカテゴリーの上位常連で、ヨーロッパでもベストセラー入りしている。
長年ハーマンミラーやオカムラといった国際ブランドが支配してきたハイエンド市場に、完全に食い込んできているわけです。

ここで大事なのが、SIHOOはただ安いから売れているメーカーではないということ。
SIHOOが「安かろう悪かろう」のイメージを覆したのは、技術への投資です。
保有特許は150件以上、自社でテストラボも持っている。
そして何より、反重力メカニズムという独自技術。

これを搭載しているのがDOROシリーズで、メーカーの技術力を体現している主力ライン。
今までのオフィスチェアに無かった第6世代のメカニズムであり、これによって格安な中国メーカーという立ち位置から、独自の技術を持つブランドへと完全に変わっているのです。

DOROシリーズのフラッグシップモデルの背面。アルミ合金のフレーム
DOROシリーズのフラッグシップモデルの背面

もちろん、価格的な優位性もある。
世界最大規模の製造エリアで部品を地場調達できたり、自社で直接販売することで中間マージンをカットしたりと、価格を抑える構造的な強みも持っている。
従来のオフィスチェアって、代理店や小売店を挟む都合、どうしても高くなりがちでしたからね。

つまり、ちゃんと技術開発に投資しているってだけでなく、自社で安く作れる仕組み、流通網までも持っているってこと。
これらを両立させているのがSIHOOなのです。

ちなみに日本法人も2022年に設立されており、東京の板橋区に拠点がある。
お試しできる店舗も増えつつありますので、気になっているなら一度試してみることをお勧めします。
やっぱり、座ってみないとわからないですからね。

SIHOO DOROの違い

SIHOOにはいくつかの製品ラインがありますが、主力は上で触れたDOROシリーズ。
今回はこのDOROシリーズの3モデル、ミドルレンジのC300 Pro、フラッグシップのC500とS300です。
これらのモデルの違いは何なのか?

DORO C300 Pro・C500・S300のスペック比較表
DOROシリーズ3モデルのスペック比較(価格は2026年6月時点)

まず、DOROシリーズで共通している部分から。
アームレストはどのモデルも6Dで、上下・前後・左右・回転に加えて、跳ね上げとリクライニング連動と、6方向に調整できます。
座面サイズもほとんど同じで、座面スライド機能も全モデルで搭載されています。

最大荷重は136kgで、BIFMA規格認証とSGS認証も全モデルで取得していて、保証も全モデルで3年。
基本的なエルゴノミクスチェアとしての装備は、どのモデルもしっかりと揃っている。
その上で、モデルによって何が違うのか?

3モデルの比較表。アームレスト・座面サイズ・座面スライドの行を強調
3モデルで共通の部分(アームレスト・座面サイズ・座面スライド)

ミドルレンジのC300 ProとフラッグシップモデルのC500・S300との最大の違いは、反重力メカニズムが有るか無いかです。
C300 Proは、通常のスプリング式の重量感知メカニズム。
バネの力で倒して、ロックして固定する従来のタイプです。

一方、C500とS300は反重力メカニズム搭載で、どの角度でもロックなしでピタッと止めることができる。
これがSIHOOのフラッグシップたる所以であり、他のどのメーカーにもない技術。

反重力メカニズム搭載のDOROチェアに座って後ろに倒したところ
反重力メカニズム搭載モデルでリクライニングしたところ

フレーム素材もフラッグシップはアルミ合金ダイキャストに変わるので、剛性感と安定感が別次元。
重量もその分増えて、C500なら本体だけで26.8kgとなります。

3モデルの比較表。反重力メカニズムとフレーム素材の行を強調
反重力メカニズムとフレーム素材の違い

そして、フラッグシップ同士、C500とS300の違い。
どちらも反重力メカニズム搭載で、リクライニングの最大角度も135度と同じなのですが、座り心地の方向性がかなり違います。

C500は独立式ヘッドレストで、首をピンポイントに支えるタイプ。
S300は背もたれとヘッドレストが一体型で、面全体で包み込むタイプ。
ランバーサポートも、C500がしっかり押すドミノ自動適応タイプなのに対し、S300はデュアルダイナミックで、腰の形に合わせて優しく支える方式です。
メッシュ素材もS300だけ異なっていて、ビロードメッシュを採用しており、触り心地が柔らかく、温かみがある。

あと、フットレストの有無もモデルによって違う。
C300 ProとC500にはオプションでフットレスト付きのモデルが用意されていて、一方、S300はフットレストに非対応となっています。

ざっくりと言ってしまえば、C500は従来のランバーサポートで強くサポートする椅子。
S300は優しく支える、どちらかというと包み込むような椅子。
価格帯は同じでも、椅子の座った感じも全然違うんですよね。

同じ姿勢の人物で比較したC500とS300。C500の独立ヘッドレストと腰の支え、S300の一体型の上部背もたれと、そこから分離した左右別体の腰パッドを示す。
C500とS300の支え方の違い。筆者の座り比べを模式化したもので、色は支える位置のイメージです。

ちなみにSIHOOには、DOROシリーズとは別に、廉価版のオフィスシリーズもある。
最新モデルのB100 Proは3万円台で、DOROシリーズの半額以下。

B100 ProとDOROシリーズ3モデルのスペック比較表
B100 ProとDOROシリーズ3モデルのスペック比較(価格は2026年6月時点)

SIHOO DOROレビュー

DORO C500

C500は、DOROシリーズのフラッグシップ。
SIHOOを代表する最先端のモデルです。
その最大の特徴は、反重力メカニズム。

SIHOO DORO C500(フットレスト付きモデル)の正面
DORO C500(フットレスト付きモデル)

この反重力メカニズムって何なのか?
公式サイトでは「浮遊感」とか「無重力」という表現をされていますが、正直、言葉だけだとピンとこないと思う。
ただ、実際に使ってみると、この違いはビシビシと感じました。

まず、普通の椅子のリクライニングって、バネの力で動いています。
だから、倒せば倒すほど反発が強くなる。
ぐーっと背中を押して、いい角度のところでガチャッとロックする。
これが、一般的なオフィスチェアの使い方です。

これ、体重が軽い人には反発が強すぎて倒しにくいし、体重が重い人には抵抗が弱すぎて底つき感が出る、という構造的な限界もあった。

その点C500は、背もたれに体を預けると、最初から最後までほぼ一定の軽い力でスーッと倒れていく。
そして力を抜くと、その角度でピタッと止めることができる。
起き上がる時も、腹筋に力を入れて「よっこいしょ」ってやる必要がない。

もちろん、人によって体重は違うので、座面下のノブで自分の体重に合わせて、反発力を調整する必要はある。
適切に合わせると、本当にどの角度でもスムーズに止まるようになります。

通常のロック式はレバーで角度を固定し、C500は体重に合わせて反発力を調整した上でロックせず止まる感覚を、同じ後傾姿勢で比較。
通常のロック式とC500のリクライニング体験を模式化。C500は体重に合わせて反発力を調整して使います。

これ、どうやったらこんなことができるのか?
技術的な話をすると、従来のバネの代わりに、航空級グラスファイバー製の特殊弾力プレートを使っていて、さらに4つのスプリングが組み合わさった構造で、しっかりと支えつつ、体重を均等に分散してくれる。
これにより、座った時の感じも違って、若干弾むというか、吸収するようなバネ感があります。

そして、リクライニングに連動して、座面も傾く設計になっているので、背もたれだけが倒れるんじゃなくて、体全体の荷重が分散されたまま姿勢が変わる。
足が地面から離れず、太ももも圧迫されないわけですね。

リクライニングしても足が床に着いたままのC500
倒しても足は床に着いたまま(C500)

次に、C500の見た目。
フレーム全体がアルミ合金ダイキャストになっており、よくある樹脂素材のフレームとは、剛性感が全然違う。
背面を見ると、質感の差は明らかです。

C500の背面。鏡面のアルミ合金ダイキャストフレーム
C500の背面(アルミ合金ダイキャストのフレーム)

本体だけでも26.8kgと、かなり重い。
この重さが安定性に直結しており、大柄な私が座っても安定感があるし、見た目の高級感もフラッグシップとして十分でしょう。

座面のメッシュは高弾性ウェーブメッシュ。
素材感としてはゴムっぽいラバー感のあるポリアミド繊維で、硬めのアーロンチェアやバロンチェアに比べると柔らかくて、エルゴヒューマンのメッシュの柔らかさに近い気がした。

C500の座面の高弾性ウェーブメッシュ
C500の座面(高弾性ウェーブメッシュ)

あと、一般的なメッシュチェアって座面の縁も硬くて、太ももに食い込むことが多い。
その点C500は、座面の前側がなだらかに傾斜していて、膝裏への圧迫感がかなり軽減されていると感じました。

C500の座面を横から見たところ。前側がなだらかに下がる形
座面の前側がなだらかに下がっている(C500)

座面サイズは、横幅51.5cm、奥行き42.7〜44.5cm。
座面スライド機能で調整できるようになっているので、足が長い方は奥行きを伸ばせるし、広く使うこともできる。

座面高さは46cm〜54cmと、若干高め。
小柄な人には、ちょっと高く感じるかもしれませんね。
この辺は、足置きとかで調整した方が良いでしょう。

足置きに足を乗せて座ったところ
足置きで高さを調整した例

ランバーサポートはドミノ自動適応タイプ。
姿勢が変わるたびに自動で追従してきて、背もたれの高さ調整でランバー位置を合わせて、あとは座るだけで自動的にフィットしてくれる。
反重力メカニズムとの相性がまた良くて、リクライニングで姿勢が変わってもランバーが追従してくるので、どの角度でも腰のサポートが途切れづらい。

背もたれを持って高さを調整しているところ
背もたれの高さでランバーの位置を合わせる

エルゴヒューマンのような固定式の独立ランバーだと、深くリクライニングした時に、腰への当たり方が変わって、擦れるような感覚が少し気になっていた。
その点SIHOOのドミノ式ランバーは、姿勢に合わせて滑らかに追従してくれるので、そのストレスがない。

ランバーサポートって、合わない位置で使い続けてしまうと、腰をやってしまうこともあるので、ちゃんと合わせた方が良いと思っている。
初期設定だとランバーの位置が低めだとも感じたので、背もたれを上げて、適切な位置に調整した方が良いかなと。
私は、結構高めの位置くらいでちょうど良い気がしています。

続いてヘッドレスト。
ヘッドレストは3Dの独立式で、高さ4.5cm、前後6.5cm、2箇所の部分で角度調節が可能。
背もたれとは分離しているので、首と頭をピンポイントでしっかり支えるように設定できる。
前に押し出すような調整もできるので、一般的なヘッドレストよりは自由度が高く、いらない場合は外すこともできます。

C500の3Dヘッドレストを手で調整しているところ
C500の3Dヘッドレストを調整

そして、アームレストは6方向に調整可能な6D。
上下6.5cm、前後5cm、内側・外側8cm。
左右回転は75度で、上向き35度の跳ね上げまで調整ができて、リクライニング連動もしてくれる。
このアームレストの自由度が、とにかくすごい。

特に良いのが、アームレストをかなり内側に寄せられること。
外側に1段階、内側に4段階の調整ができて、肩幅に合わせてアームレストの位置を変えられる。
最近は分離キーボードを使うような人も多いと思うのですが、キーボードの位置に合わせてアームレストの位置を調整できるのが、非常に便利。

アームレストを内側に寄せて座ったところ
アームレストを内側に寄せたところ

肩幅に合わせてタイピングもしやすくなるし、斜めにもできるので、ゲーム用途にも良いし、コントローラーを持った時の肘の角度もちょうど良くなる。
本を読む時も、アームレストを上に向けると非常に読みやすくなりますからね。

アームレストの上側も若干反っていて、腕にちゃんとフィットするし、クッションの厚みもしっかりしていて、もちもちの触り心地。
オカムラ・コンテッサの4Dアームが結構好きでしたが、あれの内側調整と似たようなことが、SIHOOではさらに柔軟にできるようなイメージです。

リクライニング角度は最大135度で、105度・115度・135度の3段階での固定も可能。
反重力メカニズムのおかげで、どの角度でも自然に止まるし、起き上がるのがラクってのは上述したとおり。

最後に、フットレストについて。
C500にはオプションで、フットレスト付きモデルもあります。
リクライニングを思いっきり倒して、足を伸ばしたい人向け。

座面の下から引き出したフットレスト
C500の引き出し式フットレスト

ただ、正直に言ってしまうと、私はオフィスチェア付属のフットレストって、今では全く使わない。
これはSIHOOに限った話ではなく、フットレストの代表格、エルゴヒューマンを使っていた時にも同じことを感じていました。

その理由はシンプルで、付属のフットレストはいちいち引き出すのが面倒で、結局使わなくなるんですよね。
別置きのオットマンなら常に使える状態にできるし、足置きの強度も全然違う。
チェアに付属するタイプのフットレストって、構造上どうしても細身で、足を勢いよく乗せるのが怖い。
「ここで本気でリラックスしていいのか?」という気持ちが、どこかに残る。

フットレストのアップ。最大承重15kgの注意表示
付属のフットレスト(最大承重15kgの表示)

SIHOOのフットレストは、エルゴヒューマン プロ2と同等もしくは若干劣るかな、くらいの印象で、結局のところ、どちらもリラックスしたいなら別で用意した方が良い。
格安なオットマンで十分。
別売りの方が強度がしっかりしているし、むしろ足を広げておけるし、勢いよく足を乗せても気にならない。

ちなみにC300 Proにも、フットレスト付きモデルはありますが、私としては無しのモデルを買って、別でフットレストを用意するのが、コスパも実用性も高いのではないかなと。

DORO C300 Pro

C300 Proは、DOROシリーズのミドルレンジ。
パッと見た感じは、フラッグシップのC500とよく似たモデル。

SIHOO DORO C300 Proの外観
DORO C300 Pro

先にちょっと補足しておくと、C300とC300 Proっていう2つのモデルがある。
C300は旧モデルで、C300 Proがアップグレード版。
主な違いはアームレストが4Dから6Dになったことと、座面スライド機能の追加。
リクライニング角度も、より深く倒せるようになっています。

C300とC300 Proのスペック比較表。定価・アームレスト・リクライニング角度・座面スライドの行を強調
C300とC300 Proの違い(定価は2026年6月時点)

価格差は1〜2万円程度なので、今から買うならC300 Proの方をおすすめします。

このC300 Pro、座ってみた感想は、C500とほぼ一緒の座り心地だったってこと。
C500と共通している部分が多く、リクライニングしないなら座り心地は大差ない、というのが私の率直な感想です。

まず、ドミノ自動適応ランバーサポートは同じもの。
6Dアームレストも同じもの。
メッシュ素材も同じ高弾性ウェーブメッシュで、ゴムっぽいラバー感のあるポリアミド繊維。
座面の感触は、ほぼ変わらない。

座面の横幅も、51.5cmで同じ。
ヘッドレストも3Dの独立式で、高さ・前後・角度の調整ができる。
つまり、座って作業している姿勢、リクライニングしない状態での座り心地は、C500とほとんど差を感じないのです。

C300 Proのランバーサポートに手を当てたところ
C300 Proのランバーサポート(C500と同じドミノ自動適応)

ランバーサポートの追従性も同じだし、アームレストの自由度も同じ。
デスクワーク中の体の支え方は、フラッグシップと遜色ないと言っていい。

では、何が違うのか?
一番大きいのは、反重力メカニズムがないこと。
C300 Proが搭載しているのは、体重感知スプリング式の従来型リクライニングです。
C500のような、どの角度でもピタッと止まる浮遊感は体験できない。

リクライニング角度は最大135度でC500と同じなのですが、体感は結構違います。
C300 Proは、バネの反発に逆らいながら倒して、ロックして固定する。
リクライニング調整ダイヤルもないので、微妙な角度調整がしにくい。
C500のように座面も連動しないので、倒した時に座面だけ残る感じもある。

あと、メッシュ素材は同じと書きましたが、C300 Proの方が座った感じは固く感じた。
この違いは、反重力メカニズムのスプリングの有無による違いではないでしょうか。
C500は、座面下のスプリングがクッション的な役割も果たしているので、座った時もボヨンと柔らかく跳ね返る感じもあり、同じメッシュでも、体の沈み込み方が違う気がしています。

そして、見た目も大きく異なり、C300 Proのフレームはポリプロピレン。
C500のアルミ合金ダイキャストに比べると、ちょっと安っぽく感じる。
リクライニングレバーの質感も安っぽくて、見た目の高級感ではC500に明確に劣ります。

細かいところでは、座面の高さも違う。
C300 Proは46.5cm〜56cmで、C500の46cm〜54cmよりも上限が高く、座面の奥行きは42.7cm〜45.1cmで、こちらもC500より少し深く調整できるようになっています。
金属フレームじゃなくなった分、重量は軽く、本体重量は23.3kg。

C300 ProとC500の分岐点をまとめると、C300 Proはリクライニングを重視しない人、デスクワーク中の着座姿勢をメインに考える人にとっては、コスパ最強のモデル。
座った状態での体の支え方はC500と遜色ないわけで、浮遊感とアルミフレームの高級感にこだわらないなら、半額で同じ座り心地が手に入る。

基本的なランバーサポートという仕組みは上位モデルと変わらないし、サポートの仕組みは他社メーカーと比べても優れていると感じている。
約6〜7万円ほどで、このランバーサポートとアームレストが手に入るのは、かなりコスパが高いと思いました。

DORO S300

S300は、C500と同じフラッグシップモデルで、同じく反重力メカニズムを搭載しているモデルです。
ただ、C500とは座り心地の方向性がかなり違います。
C500がしっかりとサポートする椅子だとすると、S300は包み込んで優しく支えてくれるような椅子。
この差は、実際に座り比べてみると明確にわかる。

2脚のSIHOOチェア。右がS300
右がS300

まず共通している部分はというと、アームレスト。
上下・前後・左右・回転・跳ね上げ・リクライニング連動と、自由度の高さは健在で、内側にかなり寄せられる点もC500と共通です。

「それでは何が違うのか?」っていうと、まず一番わかりやすい違いはヘッドレストの構造。
C500は背もたれとヘッドレストが独立していて、角度や高さを個別に調整できるものでしたが、S300はこれが一体型になっており、超ワイドになっています。
ヘッドレストと背もたれが1枚の面として繋がっていて、首から背中まで途切れのないカーブで体を支える。

S300の背もたれの上部。ヘッドレストと一体になっている
S300の背もたれ(ヘッドレストと一体)

背もたれの昇降が7cmあるので、位置を高くすることでヘッドレスト代わりに使えるし、身長に合わせた調整もできる。

S300の背もたれを持ち上げて高さを調整しているところ
S300の背もたれの高さを調整

実際に座り比べた感じとしては、C500はヘッドレストが首をピンポイントで支えてくれる感覚ですが、S300は、リクライニングチェアとかゲーミングチェアとか、面全体で包まれる感覚に近い。
首から肩、肩から背中まで、全部が一つの面で繋がっている。

この独立したヘッドレストが無いことの利点は大きく、むしろヘッドレストは、無い方が合うって人も多いはず。
独立式のヘッドレストって、位置が合わない人って結構多いと思う。
特に女性や小柄な方だと、ヘッドレストが頭より上に来たり、前に出過ぎたりと、全く機能しないことも多く、むしろ、ない方が良かったりすることも多い。

椅子を動かす時もヘッドレストを引っ張りがちで、そのために位置がずれたりもする。
実際、私の家族はヘッドレストが合わないので、ヘッドレストも取り外しがち。
その点、S300は独立したヘッドレストがないから、女性が座っても、子供が座っても、ちゃんとフィットするし、かなり幅広い体格にも対応できる。

推奨身長は152cm〜191cmとなっていて、大柄な私もむしろこっちの方が良いと思っていますからね。
枕には、あんまり主張して欲しくないのが私です。

そして、このヘッドレストの「包み込み」という設計思想は、ランバーサポートにも通じている。
C500のランバーサポートは、しっかり腰を押すタイプ。
背中に当たる力が明確にあって、骨盤が立つ感覚がありましたが、S300はデュアルダイナミックという方式で、腰を包み込むようにフィットさせるタイプ。
押すんじゃなくて、ぴったりと体のラインに沿って支える感じ。

S300のランバーは、C500のような自動調整ではなく、レバーでぴったりと沿わせる仕組みです。
腰を強く押すというよりも、腰の形状に合わせて支えている。

S300のランバーサポートのレバーを操作しているところ
S300のランバーはレバーで腰に沿わせる

これ、結構好みが分かれるところ。
ランバーサポートがしっかり押してくれないと物足りないっていう人には、C500の方が合うと思っているし、逆にランバーサポートが強すぎて、背中が反り返る感じが苦手っていう人には、S300の方が良いと思います。
実際、この独立型で押し当てるタイプのランバーサポートが、苦手な人ってのも一定数いると思うのです。

この辺は本当に人によると思うので、あんまり決めつけるような言い方は、したくないのですが、例えば、すでに腰に不安があって、局所的な強い刺激に敏感になっている人には、C500やエルゴヒューマンのような独立型で、しっかり骨盤を立たせるタイプよりも、面全体で圧力を分散して優しく支えてくれるS300の設計の方が、安心して体を預けやすいのではないかなと。

というのも、まさに私が腰の不調の時に使いまくっていたのが、S300のように優しく支えるタイプの椅子でした。
昔は、背もたれが左右に分かれたハラチェアという椅子を愛用していたことがある。
S300も同じように、ランバー強めが苦手な人に向いているのではないでしょうか。

姿勢を矯正するか、体の負担を軽減するか。
この辺は本当、人それぞれ。
姿勢を無理に矯正しなくて良いパターンもあると思っている。

そして、この「包み込み」コンセプトを支えているのがメッシュ素材です。
これもC500と明確に違いがあると感じた。
C500のメッシュは、ゴムっぽいラバー感のある高弾性ウェーブメッシュでしたが、S300はイタリアンベルベットとDuPont製エラストマーの混紡素材。
いわゆるビロードメッシュで、触った瞬間に布っぽいぬくもりがある。

S300の座面のビロードメッシュに手を当てたところ
S300のビロードメッシュ

柔らかく温かみのある素材で、メッシュ特有のひんやり感がない。
こちらも座ると少し弾む感じがあって、C500に比べてメッシュが柔らかい。
C500のメッシュはエルゴヒューマンに近い柔らかさと書きましたが、S300は、そこからさらに1段階柔らかい。
これも、硬いメッシュが苦手な人には、かなり重要なポイントだと思っています。

エッジが太ももに当たる感じがないのは、C500と同様。
座面の縁が太ももに食い込むことがなくて、座面前側が落ちているデザインで、メッシュが柔らかいこともあって、膝裏の圧迫感もほとんどない。

うちの家族や友人には、C500やS300も含め、一通りメッシュチェアに座ってもらったんですが、他社のオフィスチェアを含め、女性陣はこれが一番座り心地がいいって言っていました。
特に体重が軽い方や女性には、この柔らかさを好む人が多いのではないでしょうか。

座面サイズは横幅51.5cm、奥行き42.7〜45.1cmと、コンパクトめ。
座面スライド機能もあるので、奥行きは調整できる。
座面高さは46.5cm〜56cmで、C500よりも上限が若干高くなっています。

C300 Pro・C500・S300の座面高さの比較。3脚を並べた足元
座面高さの比較(左からC300 Pro・C500・S300)

ヘッドレスト・ランバー・メッシュと、全て包み込んで支える設計のS300ですが、これらの真価を発揮するのがリクライニングの時。
リクライニング角度は最大135度で、105度・120度・135度の3段階で固定可能。
同じ135度でも、体感的には結構違う感じがしました。

C500のリクライニングが、背中をしっかり支えながら倒れる感覚なのに対して、S300は、全身が1枚の面に包まれたまま倒れる感覚。
一体型のヘッドレスト・包み込むランバー・柔らかいビロードメッシュと、同じリクライニングでも、リラックス感が結構違う。

S300でリクライニングしたところ
S300でリクライニングしたところ

同じ反重力メカニズムでも、こちらはハンモックのような感じ。
それでいて、体を預けるとスーッと自然に倒れていって、力を入れずに最大角度まで到達できるし、起き上がる時もスッと戻れるのは一緒。

さらにS300は、ランバーサポート自体の角度も、90度から105度の範囲で調整できる。
座面昇降と同じガス圧シリンダー。
つまり、ガスリフトをランバーに組み込んでいるので、レバー操作をすれば無段階で微調整が可能。
自分の腰のカーブに合わせて、角度も最適化できるのです。

S300のランバーサポートの角度を調整しているところ
S300のランバーの角度を調整

そして、S300はデザインも特別。
ドイツでデザイン賞も受賞していて、この見た目も他にないですからね。
C500の見た目って、良くも悪くもオフィスチェアなんですよね。
あの背もたれが分かれた、メッシュチェアの定番の形。

やはりオフィスのイメージもあるので、生活スペースには置きづらいし、その点S300は、リビングのリクライニングチェアとしても使いやすいかなと。
反重力メカニズムの浮遊感に加えて、リラックスするための椅子として作り込まれている。
もちろん、デスクワーク用としても使えますけど、ゲーミングチェアやリビングチェア、リラックスチェアとして使っても面白いと思いました。

リビングのテーブルに合わせた白のS300
リビングのテーブルに合わせたS300

B100 Pro

SIHOOのエントリーラインである、オフィスシリーズの最新モデル、B100 Pro。
DOROシリーズではない別ラインの椅子ですが、エントリーモデルでありながら、3万円台という価格でDOROシリーズの半額以下。
SIHOOの椅子の中では、比較的気軽に手に入る一台。

SIHOO B100 Proの正面
SIHOO B100 Pro

まず、B100 Proに対する正直な感想を先に言ってしまうと、価格に対しての品質は確かに良い。
3万円台でBIFMA規格認証とSGS認証を取得していて、保証も3年。
最大荷重は136kgと、これもDOROシリーズと同じ。

アームレストは4D。
ヘッドレストは3Dで独立式。
リクライニングは113度〜133度の範囲で、ロッキング機能も搭載しています。
エントリー価格でこれだけのスペックを揃えてくる椅子は、確かに少ない。

独自の技術としては、独立式ランバーサポートと複合仙骨サポートの組み合わせで、座面側で骨盤を支える設計。
仙骨というのは背骨の一番下、骨盤の中央にある骨のことで、座面の構造で骨盤が自然に立つようにサポートしてくれる。
実際、安い椅子にありがちな、「座ると骨盤が後ろに傾いて、どんどん猫背になる」というのは起きにくいと感じました。

B100 Proに座ったところを横から
B100 Proに座ったところ

そして、地味に良いのが、引き出し式のフットレストが標準でついていること。
DOROシリーズだとオプション扱いだったり、S300は非対応だったりしますが、B100 Proなら標準装備。
3万円台でフットレストまで含まれているんだから、コスパが高いのは間違いないでしょう。

B100 Proの引き出し式フットレストを伸ばしたところ
B100 Proの引き出し式フットレスト(標準装備)

メッシュは高弾力の波形ミトレングメッシュという素材で、座面は固めで弾力性のある仕様。
C500よりも硬くて、非常にしっかりとしたメッシュ。
本体重量は18.5kgと、DOROシリーズと比べてかなり軽い。

ただ、DOROシリーズと比べてしまうと、違いははっきりと感じる。
まず、SIHOOの代名詞である反重力メカニズムが非搭載。
これはオフィスシリーズの位置付け上、仕方ないのですが、SIHOOの一番の武器が乗っていない時点で、SIHOOらしさを体験するモデルではないでしょう。

また、ランバーサポートも独立式で、位置の調整ができない。
DOROシリーズのドミノ自動適応ランバーとは、設計思想が全く違う。
背もたれの位置調整ができず、ランバーの位置も変えられないので、「合わない人には合わない」というリスクもあると思います。

アームレストも4Dなので、DOROシリーズの6Dに比べると自由度がかなり低い。
跳ね上げタイプなので高さの調節もできないし、内側に寄せるような調整もできません。
アームレストは合わない人は合わないと思いますが、このモデルは最悪外せるってのが救いかなと。
フレームはポリプロピレン素材ですが、この価格帯にしては見た目が良いです。

細かいところでは座面周りにも差があって、シート最大幅50cmで、DOROシリーズの51.5cmよりも小さめ。
座面奥行きは43.5cmの固定で、座面スライド機能もない。
座面高さは46.5cm〜55.5cmで、DOROシリーズと比べてもほぼ同等ですが、座面は固定式なので、座る人の体格によっては、調整の幅が狭く感じることもあるような気がします。

C300 ProとB100 Proの座面を上から比較。シート最大幅51.5cmと50cm
座面の幅(左:C300 Pro 51.5cm/右:B100 Pro 50cm)

結局のところ、「この椅子が悪い椅子か?」というと、そうではない。
3万円台の椅子としては品質は高いし、仙骨サポートの設計思想もちゃんとしているし、フットレストも標準装備。
最大荷重136kgというスペックも見逃せません。

ただ、調整が効かない分、合わない人は合わない気がしましたし、良くも悪くも、よくある「そこそこのオフィスチェア」。
SIHOOの技術力を体験したい、あえてSIHOOを選ぶのであれば、やっぱりDOROシリーズを選んだ方が、幸せになれるんじゃないかなと思いました。

SIHOOチェアを使って気づいたこと

SIHOOの主要モデルであるDOROシリーズを、半年ほど使い比べてきた中で感じたこと。

SIHOOチェアのメリット

やはり一番インパクトがあったのは、フラッグシップに搭載されている反重力メカニズム。
これがSIHOOの真骨頂で、他のどのメーカーにもない武器だと感じた。
DOROシリーズって結局のところ、無重力チェアとしてのリクライニング特化型。
SIHOOならではの良さを最も体感できるのは、反重力メカニズム搭載のC500とS300。

リクライニングした時の、どの角度でもピタッと止まる感覚。
深い角度まで、力を入れずに到達できる滑らかさ。
起き上がる時も、自然に戻れる軽さ。
これがSIHOOチェア最大の魅力だと感じています。

反重力メカニズム搭載のSIHOOチェアでリクライニングしたところ
反重力メカニズムでリクライニングしたところ

それでいて、従来の高級オフィスチェアとしての機能もちゃんと備わっている。
特に、ランバーサポートとアームレストは、他社に比べて優れている気がしています。
このSIHOOのドミノ自動適応ランバーサポートは、姿勢が変わるたびに自動で追従してくれる。
固定式のランバーサポートが合わなかった人にとっては、これだけでも十分選ぶ価値があると思いました。

しかも、このドミノランバーは、格安なC300 Proにも搭載されている。
リクライニングはいらなくって、ランバーサポート搭載の良い椅子が欲しいという人にとっては、C300 Proは結構良いのではないでしょうか。
リクライニング体験を求めないのであれば、C300 Proはコスパが非常に高い。
C500と同じく、6Dアームレストもついていますからね。

あと、SIHOOのDOROシリーズは、座面の形状も他社のオフィスチェアと明確に違うと感じた。
座面の縁が硬くて太ももに食い込むメッシュチェアが多い中で、DOROシリーズは、座面前端がなだらかに傾斜していて、膝裏への圧迫感が、かなり少ないと感じています。
長時間座っても、足がむくみにくい。
特にS300のビロードメッシュは、硬いメッシュが苦手な人にとっても、良いかなと。

DOROシリーズの座面を並べたところ。前側がなだらかに下がる形
DOROシリーズの座面の前側

SIHOOチェアのデメリット

まずは、アームレストの固定力がないこと。
アームレストの自由度が高いと書きましたが、これレバー固定じゃないので、ちょっと押したら動いてしまう。
動かしやすい反面、しっかりと固定できないのでズレやすく、ズレたら再調整する手間がある。

あと地味に気になるのが、アームレストもヘッドレストも、高さMAXまで上げると、ストンと一番下まで落ちる仕様。
レバーを押しながら調整するタイプじゃないので、行き過ぎたらやり直しで微調整しにくいし、MAX付近で使いたい人にも微妙でしょう。

DOROシリーズの6Dアームレストの横で座っているところ
DOROシリーズの6Dアームレスト

そして、アームレストの最低高さも結構高い。
一番下まで下げても、フロント側は床から約63cmほどの高さになるので、低めのデスクを使っている人だと、アームレストの方が高くなってしまう。
私は普段、デスク高68cm前後で使っていて、妻はデスク高59cm前後。
妻のデスクの高さだと、SIHOOのアームレストはデスクより上に来てしまう。

デスクの横にメジャーを立て、アームレストと天板の高さを比べているところ
アームレストとデスクの高さを比べる

参考までに、JIS規格の成人向けデスク高は70cm〜72cmなので、ほとんどの人は、問題ないと思う。
このJIS規格のデスク高が、現代のディスプレイワークに合っていない、というのはさておき、昇降デスクの一番下くらいで使っている人は、結構困るのではないでしょうか。

横向きに座る人物と机。画面上端を目線の高さ以下にし、机は肘の高さに合わせ、足裏を床につける位置関係を示す。
ディスプレイワークの位置関係の目安。机・椅子・画面は体格や作業環境に合わせて調整します。

→ 関連記事:パソコン用オフィスデスクの選び方

それに加えて、アームレストを後ろ側にスライドできる幅も少ない。
お腹にぴったりデスクをつけたいくらい、限りなくデスク近くに座りたい人も、これだと困ると思う。
この辺は入力デバイスの位置次第ですが、アームレストをデスクに近づけられないと、マウスを使う時に肘掛けが浮いちゃったりもしますからね。

デスクに寄って座り、アームレストに手を置いたところ
デスクに寄って座ったときのアームレスト

まぁ、これはSIHOOのチェアに限った話ではないのですが、アームレストって意外とちゃんと使うのが難しい。
合わない人にとっては、いっそ外したいという気持ちも抑えられないとも思う。
私自身、アーロンチェアもセイルチェアもバロンチェアも、アームレストは外して使ったりもしてきましたからね。

ただ、SIHOOのDOROシリーズは、アームレストは外せないのが問題。
正確に言うと外せないことはないのですが、外すとデザインがかなり変になってしまう。
アームレストなしモデルが、ラインナップにないのも残念なポイントではないでしょうか。
アームレストがデスクよりも高いと、使わない時にデスクに収納するってこともできませんからね。

同じ椅子で比較した机との干渉。左は肘掛けが天板の端に当たり、右は天板下面と肘掛けの間にすき間があり机の下に入る。
椅子を机に寄せるときは、実際に使う座面・肘掛けの高さで、天板下面とのすき間を確認します。寸法を特定しない模式例です。
DOROシリーズの座面の横に付いたアームレストの根元
アームレストの取り付け部

続いて気になったのが、組み立ての大変さ。
DOROシリーズは、半完成品で届く。
C500は本体だけでも26.8kg。
組み立てするのに1人では厳しく、2人で頑張って約1時間ほどかかりました。

箱から出したDOROシリーズの部品
半完成品で届くDOROシリーズの部品

エントリーモデルのB100 Proはもっとバラバラで、説明書のネジ番号も分かりにくくて、2時間ぐらいかかった。
エルゴヒューマン プロ2なども組み立てる手間はありますが、ハーマンミラーのような組み立て済みで来るものと比べて、「ちゃんと組み立てられるのか?」って不安もあると思う。

あと、細かいところでは、キャスターの動きも気になりました。
どうやら、キャスター自体の回転は悪くないようで、動き始めちゃえば転がりはスムーズ。
問題は接続部分の方で、椅子の向きを変える時の、クルンと回転する部分の動きが悪いような気がする。

だから、動き出しの初動でちょっと引っかかる感じがある。
椅子に座ったまま動くと、ちょっと動きづらいと感じました。

SIHOOチェアの5本脚とキャスター
キャスターと脚まわり

そして、長期使用による耐久性は未知数。
SIHOOは2011年創業。
保証は3年。
アーロンチェアの12年保証や、オカムラの何十年もの実績と比べると、歴史が圧倒的に短い。

耐久性云々の話はあんまり心配していませんが、お試しできる店舗が少ないっていうのは、ちょっと痛いところかなと。
この辺は、急成長しているブランド故に、仕方ないところだとは思いますけどね。

他社オフィスチェアとの違い

やっぱり気になるのは、「他社の高級チェアと比べてどうなのか?」ってところ。
アーロンチェア、エルゴヒューマン、オカムラと、私自身も使ってきた椅子について、各社の感想と、それに比べてSIHOOがどうなのか。

SIHOOやアーロンチェア、セイルチェアなどを並べたところ
SIHOOと他社のオフィスチェア

SIHOOチェアの強み

まず、前提として知っておくべきは、SIHOOのDOROシリーズは、後傾姿勢に強みがある椅子だということ。
前傾作業メインで考えているなら、選択肢から外れる気がする。
パソコン作業のディスプレイワークや、リクライニングに特化したチェアであって、デスクの上でイラストを描いたり、アナログ作業をしたりするタイプの椅子ではありません。

ただ、勘違いしてはいけないのは、前傾チェアって、ちょっと前のめりで作業するためのものであって、パソコン作業のディスプレイワークでは、この前傾機能を使わない人も多いと思っています。
前傾姿勢って、主にデスクの上の作業。
手元を見たり、ペンタブレット作業やアナログ作業をしたりするときに役立つ機能です。
eスポーツなんかでも使ったりするみたいですが、ディスプレイを前に置く長時間のパソコン作業では、前傾で作業するって人は稀だと思う。

アーロンチェアに座ってデスクでパソコン作業をしているところ
アーロンチェアでのパソコン作業

私自身、前傾機能のあるアーロンチェアは長く所持しておりますが、今となっては、前傾機能は全く使わない。
前傾だと集中力が上がる、眠気が下がる、みたいな話を聞いて挑戦したこともありますが、なんか不自然な姿勢になりますからね。
ノートパソコンとか、ディスプレイ位置が低いなら、話は変わってくるのかもしれませんが、私はノートパソコンも位置を高くして使うし、いちいち前傾するのも面倒ってのもあります。

スタンドで高さを上げたノートパソコンと外付けキーボード
スタンドで高くしたノートパソコン

→ 関連記事:後傾デスクの自作方法

→ 関連記事:後傾姿勢で仕事をする椅子。LiberNovo Omni Pro・SE・Genの違いと、3ヶ月で変わった作業スタイル。

アーロンチェアとの違い

では、アーロンチェアとは何が違うのか?
私が一番長く使ってきた椅子がアーロンチェアですが、アーロンチェアは、デスクワーク特化の椅子。
前傾チルト機能もあるので、ディスプレイワークだけでなく、必要に応じて、デスク上のアナログ作業にも対応できる。
パソコン作業がメインの私は、前傾機能は基本的に使っていない、というのは上述したとおり。

アーロンチェア4脚を並べたところ
アーロンチェア

ヘッドレストも頑張ればつけられるので、私はつけたこともありますが、アーロンチェアって、ヘッドレストをつけて使うような椅子ではない。

そもそもアーロンチェアに搭載されているキネマットチルト機構(現行はハーモニックチルト機構)は、かかとを床につけたまま、極めてスムーズに後傾できる機能。
これは、SIHOOみたいに好きな角度で固定して休むための機能ではなくて、「人体は動き続けることで血流を保ち健康を維持する」という、動的サポートの哲学に基づいているのです。
つまり、椅子の上で休憩するための機能ではなく、リクライニング固定もできません。
動かない椅子よりも、動く椅子の方が体に良いという考えのもと、体を動かした時に、一緒に動くこともできるよ、って話なのです。

アーロンチェアで後ろに傾いたところ
アーロンチェアで後傾したところ

アーロンチェアは座り心地もメッシュが硬めで、ランバーサポートも独自のポスチャーフィットという仕組み。
出っ張りで腰を押すというより、骨盤と腰椎を同時に支えて、自然なS字カーブを保つ設計。
メッシュが硬い分、座面が沈み込まないので腰には負担が少ないし、腰を立てる設計と相まって、腰には優しいと感じています。

ポスチャーフィットも押し込み具合は調整できますが、よくあるランバーサポートに比べて腰を押し込むタイプではなく、サポートが強すぎないので、比較的万人に合うような印象。
ただ、メッシュが硬いので、太もも裏の圧迫感は強い。
お尻から太ももにかけて、ガチガチになりがち。
足の血流は悪くなりやすいとは感じているので、ここは一長一短ですね。

ちなみに、ハーマンミラーの後傾チェアといえば、エンボディチェアがありますが、あちらはメッシュではなく、布張りのクッション。
ファブリック素材であり、独特の背もたれで、柔軟にグニャッとしなる構造になっていて、個人的に私の腰には合わなかったし、メッシュチェアでもないので、ここでは比べていない。

ヘッドレスト付きのアーロンチェア、エンボディチェア、アーロンチェア
左からアーロンチェア(ヘッドレスト付き)・エンボディチェア・アーロンチェア

SIHOOのDOROシリーズと比較すると、そもそも椅子の目的が違う。
アーロンチェアは、作業特化で前傾姿勢も対応していますが、リクライニング用途には向いていない。
一方DOROシリーズは、デスクワークとともに、リクライニングを楽しむための椅子。
得意な領域が全く異なるわけで、SIHOOとは比較するような椅子では無いことは確かでしょう。

エルゴヒューマン プロ2との違い

エルゴヒューマンは、見た目もそうですが、ランバーサポートの設計思想がSIHOOとかなり似ていると思っている。
背もたれがセパレートしていて、独立型のランバーで腰を支える構造。
だから、エルゴヒューマンが合わない人は、SIHOOのC500やC300 Proも合わない可能性が高いかなと。

エルゴヒューマン プロ2とSIHOOのDOROチェアを並べたところ
左:エルゴヒューマン プロ2/右:SIHOO DOROシリーズ

ランバーの当たり方が変わる話はC500のところで書いた通りで、ランバーの追従性とリクライニングの質では、SIHOOの方が一段階上だと感じています。

価格も、エルゴヒューマン プロ2が13万円前後で、SIHOOのC300 Proなら半額以下。
フラッグシップのC500なら、エルゴヒューマンとほぼ同価格で、反重力メカニズムまでついてくる。

ただ、エルゴヒューマンはこのデザインのパイオニアであり、日本中でお試しできるという、圧倒的な強みもある。
椅子をしっかりと試してから買えるというのは、大きなアドバンテージ。
あと、このデザインならエルゴヒューマンっていうイメージも、やっぱりあると思います。

黒のエルゴヒューマンとアーロンチェア
黒のエルゴヒューマン(中央)

私も昔は、このデザインに惹かれてエルゴヒューマンを買っていましたからね。
今となってはこのデザインが非常に増えていますので、あえてエルゴヒューマンを選ぶという理由も、薄くなっているような気がしました。

コンテッサ&バロンチェアとの違い

実際のところ、使い勝手というか、座り心地というか、SIHOOのチェアは、エルゴヒューマンよりもオカムラの椅子に似ている気がしています。
特に私がそう感じているのが、オカムラのアンクルチルトリクライニング。
アンクルチルトリクライニングは、くるぶしを支点として、背もたれと座面が連動して、スライドしながら後傾するもの。
太もも裏の圧迫を防ぎ、かかとが床からも浮かなくなります。

これって、SIHOOの反重力メカニズムとアプローチこそ違うけど、目指すゴールは、似ているように思う。

オカムラのオフィスチェアで後ろに倒したところ
オカムラのチェアでリクライニングしたところ

「両方使ってきた印象は?」というと、バロンやコンテッサはリクライニングすると、斜め後ろ方向に座面が下がる感じで、体感としては、「椅子が倒れるんじゃないか?」って感じるような下がり方。
私はこのリクライニングが好きで、ゲーミングチェアみたいな使い方で長く愛用してきたのですが、オカムラの椅子はメッシュが固め。
アーロンチェアよりは柔らかいけど、結構硬くて、グラデーションサポートメッシュで、座る部位によって密度も変えています。

ただ、この構造のせいなのか、座面はちょっと沈み込むような感じがあり、座面の端の方も下がっていないので、割と太ももへの圧迫感を強めに感じる。
基本的に私は、沈むような感じの椅子は苦手で、私の腰には正直ドンピシャではないのですが、このバロンのデザインが好きすぎて、何度か買い替えながらも、こちらも長く使っている椅子。

ここまで主要メーカーの椅子について、勝手な感想を書いてきました。
勘違いしないでほしいのは、基本的にどの椅子も、その辺の安物チェアとは別物で、座り心地は非常に良いです。
その上で、人によってちょっと合う合わない椅子があるよって話。
結局のところは人それぞれ、人によって感じ方も違うものだと思っていますので、くれぐれも参考までに。

ちなみに私は、バランスボールを仕事椅子に使うのはダメなタイプです。

バランスボールに座ったところ
バランスボール

SIHOO DOROまとめ

SIHOOのDOROシリーズを約半年使ってきたわけですが、結論から言うと、SIHOOは、ただ安いから売れているブランドじゃなかった、というのが私の率直な感想です。
反重力メカニズムという独自技術と、品質や機能に対しての価格設定。
この価格に対する技術の高さ・質の高さは、他社にはない強みではないでしょうか。

その上で、DOROシリーズの中で、どのモデルを選べばいいのか?

まず、ミドルレンジのC300 Pro。
これ、ランバーサポート搭載の人間工学チェアとしては、非常にコストパフォーマンスが高い。
座り心地もしっかりしており、6Dアームレストの自由度と、SIHOOフラッグシップモデルと共通の装備が揃っている。

デスクワーク中の座り心地は、C500とほぼ変わらないので、リクライニングを使わない人なら、これほどコスパが高いモデルもないのではないでしょうか。
ランバーの追従性も他社よりも優れている気がしましたし、ドミノ自動適応ランバーサポートと6Dアームレストが、6〜7万円で手に入るなら、悪くないと思います。

続いて、フラッグシップC500への分岐点ですが、最大の違いが、やはり反重力メカニズムです。
これがSIHOOの真骨頂であり、他のどのメーカーにもない独自技術。
C500は、どの角度でもロックなしでピタッと止まる無重力感。
リクライニングした時の体験は、全くの別物。

リクライニングの滑らかさ、起き上がる時も腹筋を使わずに、スッと戻れる軽さ。
これは、他社チェアでは得られない体験だと思いました。
デスクワークもリラックスも両立したいなら、C500にした方が良いし、SIHOOチェアらしさを感じられるのも、このモデルかなと。

C500で深くリクライニングして足を伸ばしたところ
C500でリクライニングしたところ

最後に、フラッグシップモデル同士、C500とS300の分岐点。
同じ価格帯で、両方とも反重力メカニズム搭載ですが、座り心地は全く異なる。
C500は独立型ヘッドレスト、ドミノランバーで腰をしっかり押しつつ、デスクワークでガッツリ集中したい、ランバーで腰を支えてほしい人向け。

一方S300は、超ワイド一体型ヘッドレストと、デュアルダイナミックランバーで、体全体を包み込みつつ、ビロードメッシュも柔らかめ。
全身が1枚の面で包まれている感覚で、リラックスの質がワンランク上かなと。
ランバー強めが苦手な人やヘッドレストが苦手な人、あとは小柄な人にも良さそうですね。

そして、私の一押しはS300。
ランバーサポートの椅子は多くあれど、S300のような「支える」タイプの椅子は少なく、サポートも強すぎないから、腰にすでにトラブルを抱えている人にも合うのではないでしょうか。
反重力メカニズムはもちろん、リクライニングした時に、ゲーミングチェアのように包み込まれる感じも良い。

SIHOO DORO S300の正面
DORO S300

一般的なゲーミングチェアってリクライニングは良いのですが、肩が丸くなりがちで、仕事には向いていないし、デザインもいかにもな感じで、私はあんまり部屋にも置きたくない。
その点SIHOOの椅子は、ゲーミングチェアのような窮屈感がなく、リクライニングも素晴らしく、それでいてリビングにも置けるデザイン。
リビングのリラックスチェア兼ゲーミングチェアとして使える。
あとは、やっぱり他社にはない唯一無二のデザインってのも良い。

とはいえ、人それぞれ椅子には向き不向きがあって、万能な椅子なんてものも無いと感じています。
パソコン作業に至っては、デスク高さ・モニター高さ・キーボードの位置・マウスの位置など、これらの微妙な違いでも、合う椅子は変わってくると思っています。

私自身、分離キーボードを使ったり、音声入力したりと、作業スタイルがどんどん変わっていく中で、その中でゲームもしたりと、以前のようなPCワーク中心の椅子とは、また求めるものが変わっている。
モニターの位置や作業内容によっても、使う椅子は変わるとも思っていますからね。

ウルトラワイドモニターの前でキーボードとマウスを使っているところ
デスクでのパソコン作業

そして、作業内容が変わるとともに、年々体も衰えていくのも忘れてはいけません。
年を取るほどに、体の肉も筋力も落ちて、また求める椅子も変わってくる。
そもそも、長時間座り続けること自体が体に良くないし、かといって立ち続けるのも良くないってのは、ご存知の通り。

だからこそ、何にせよ運動はした方が良い。
ハムストリングや、腸腰筋のストレッチも絶対やった方がいいし、どんな椅子でも快適に作業できる体を作ることの方が、大事だったりもする。

ストレッチポールやマッサージボール
ストレッチポールやマッサージボール

それらを踏まえた上で、仕事もできて、これほどリラックスもできる椅子はなかなかないと思いますし、何にせよ一度、この無重力感を体験してみてほしい。

何度も言いますが、自分に合うかどうかは、実際に座ってみないとわからない。
SIHOOの椅子が置いてある店舗は、公式サイトの取り扱い店舗一覧で確認できる。
気になっている人は、ぜひ面倒でも一度赴いて、試座してみることをお勧めします。

オフィスチェアって高い買い物ってのもありますが、本当、場所を取りますからね。
失敗すると処分にも、すんごい困るから、ちゃんと後先考えて、物を購入できるようにもなりたいなと思いました。

部屋に集めた多数のオフィスチェア
部屋にたまったオフィスチェア

▶ 反重力メカニズムでリクライニングする実際の動きや、各モデルの座り比べは、動画で見られます → YouTubeで見る

P.S.
私が最初にオフィスチェアを購入した理由は、やはり腰痛です。
ちゃんとした椅子を使うようになって、腰痛には悩まされなくなったのですけど、首、肩、股関節、手首、眼と、悩まされまくって今に至ります。
体が不調のまま無理すると、突然仕事もできなくなったりもするわけで、日頃から体のメンテナンスはプライスレス。

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この記事を書いた人

KJ新谷のアバター KJ新谷 小さな会社の取締役

平成21年に輸入物販で起業して、既に起業17年目。
法人12期目。小さい会社の代表です。

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