- リクライニングを使わないなら、コスパ最強のC300 Pro
- 仕事もリラックスも両立するなら、SIHOOらしさ随一のC500
- 包み込む柔らかさで選ぶなら、私の一押しはS300
中華系のオフィスチェアと聞くと、正直ちょっと身構えますよね。
どうせ有名チェアの廉価コピーでしょ、と。
かくいう私も、SIHOOを使う前は「エルゴヒューマンの廉価版」くらいのイメージでした。
その思い込みは、主力ライン「DOROシリーズ」の3モデル(C500とS300、そしてC300 Pro)を約半年使い比べるうちに、きれいに崩れました。
エルゴヒューマンとは全くの別物だった。
ハーマンミラーにもオカムラにもない、SIHOO独自の技術がある。
ただ安いというだけで、世界中でシェアを伸ばしてきたわけじゃなかったのです。
この記事の中身は、DOROシリーズ3モデルとエントリーのB100 Proの違い、半年で見えた良い点と気になる点、そしてどのモデルを選ぶべきかの3本立てです。

※本記事は、SIHOO様から製品提供(計4台)を受けて制作したレビュー動画の連動記事です。
とはいえ、そんなことはお構いなしに、良い点も気になる点も正直に書いています。
そんな私を疑い深く見ながら読んでいただけると幸いです。
動画では実際のリクライニング動作や、4台の座り比べの様子まで見られます。
反重力メカニズムの「浮遊感」は文字では伝わらないので、そこは動画でどうぞ。
SIHOOとはどんな会社か
SIHOOは、2011年に中国の広東省で創業されたエルゴノミクスチェアの専業メーカー。
専業というのがポイントで、椅子だけをやっている会社です。
規模感で言うと、年間販売台数150万脚、85カ国以上に輸出。
中国国内のオンラインエルゴノミクスチェア市場では、販売額で4年連続1位です。
日本で言えば、Amazonのオフィスチェアランキングで4年ずっと1位を独占し続けているようなものです。
で、大事なのは「安かろう悪かろう」ではないこと。
保有特許は150件以上で、自社のテストラボも持っていて、何より反重力メカニズムという独自技術がある。
その上で、部品の地場調達と直販で中間マージンをカットして、価格も抑えている。
技術開発と、安く作れる仕組みの両立。
これがSIHOOが伸びている理由なのです。

ちなみに日本法人も2022年に設立されており、拠点は東京の板橋区。
試座できる店舗も増えつつあります。
DOROシリーズ3モデルの違い
SIHOOの技術力を体現している主力ラインがDOROシリーズ。
今回使い比べたのは、ミドルレンジのC300 Proと、フラッグシップのC500とS300の3モデルです。
まず共通点から。
アームレストはどのモデルも6D(上下、前後、左右、回転、跳ね上げ、リクライニング連動)。
座面スライド機能も全モデル搭載。
耐荷重は136kgで、BIFMA規格認証とSGS認証を取得していて、保証も全モデル3年です。
その上で違いが出るのは、リクライニング機構とフレーム素材、そしてランバーサポートとヘッドレストの設計です。

| C300 Pro | C500 | S300 | |
|---|---|---|---|
| 位置づけ | ミドルレンジ | フラッグシップ | フラッグシップ |
| 反重力メカニズム | なし(スプリング式) | あり | あり |
| フレーム | ポリプロピレン | アルミ合金ダイキャスト | アルミ合金ダイキャスト |
| ランバーサポート | ドミノ自動適応 | ドミノ自動適応 | デュアルダイナミック(角度調整可) |
| ヘッドレスト | 3D独立式 | 3D独立式 | 背もたれ一体型 |
| アームレスト | 6D | 6D | 6D |
| メッシュ | 高弾性ウェーブメッシュ | 高弾性ウェーブメッシュ | ビロードメッシュ |
| リクライニング | 最大135度 | 最大135度(105/115/135) | 最大135度(105/120/135) |
| 座面高さ | 46〜56.7cm | 46〜54cm | 47〜55.5cm |
| 本体重量 | 25.1kg | 26.8kg | 26.3kg |
| フットレスト | オプション | オプション | 非対応 |
| 価格(2026年7月時点・公式) | 63,199円〜 | 92,013円〜(通常131,780円) | 107,999円(通常129,999円) |
最大の分岐点は、SIHOOの代名詞である反重力メカニズムの有無。
C300 Proは従来のスプリング式で、C500とS300は反重力メカニズム搭載です。
そしてフラッグシップ同士のC500とS300は、座り心地の方向性が全然違う。
C500はしっかり押して支える椅子で、S300は面全体で包み込む椅子。
価格帯は同じでも、座った感じは別物なんですよね。
なお2026年7月時点の公式サイトでは、DOROシリーズにS100(5万円台)やC300 Pro V2といったモデルも並んでいます。
今回レビューしたのは、収録時点の3モデルです。
C500の反重力メカニズム
普通の椅子のリクライニングって、バネの力で動いています。
倒せば倒すほど反発が強くなり、いい角度でガチャッとロックして固定する。
これ、体重が軽い人には反発が強すぎて倒しにくいし、体重が重い人には抵抗が弱すぎて底つき感が出る、という構造的な限界があったんですよね。
その点C500は、体を預けると最初から最後までほぼ一定の軽い力でスーッと倒れていく。
で、力を抜くと、どの角度でもロックなしでピタッと止まる。
起き上がる時も、腹筋に力を入れて「よっこいしょ」ってやる必要がない。
もちろん、人によって体重は違うので、座面下のノブで自分の体重に合わせて反発力を調整する必要はあります。
適切に合わせると、本当にどの角度でもスムーズに止まるようになるわけですね。

種明かしをすると、従来のバネの代わりに、航空級グラスファイバー製の特殊弾力プレートと4つのスプリングを組み合わせた構造になっていて、体重を均等に分散してくれる。
リクライニングに連動して座面も傾くので、倒しても足が地面から離れず、太ももも圧迫されない。
公式サイトの言う「浮遊感」「無重力」は、言葉だけだとピンとこないんですが、実際に使ってみると、この違いはビシビシ感じました。
作業姿勢まわりも抜かりなくて、ランバーサポートはドミノ自動適応タイプ。
姿勢が変わるたびに自動で追従してくるので、リクライニングしても腰のサポートが途切れづらい。
ただ、初期設定だとランバーの位置が低めだとも感じたので、背もたれを上げて適切な位置に調整した方が良いかなと。
私は、結構高めの位置くらいでちょうど良いと感じています。
ランバーサポートは合わない位置で使い続けると、腰をやってしまうこともありますからね。
座面の前端がなだらかに傾斜していて、膝裏への圧迫感が少ないのも良いところです。
座面高さは若干高めなので、小柄な人には少し高く感じるかもしれません。
この辺は、足置きなどで調整した方が良いでしょう。

個人的に刺さったのが6Dアームレスト。
内側に4段階寄せられるので、肩幅や分離キーボードの位置に合わせて調整できる。
上向き35度まで反らせられるので、読書やコントローラーを持つ時の肘の角度もちょうど良くなる。
オカムラコンテッサの4Dアームの内側調整と似たことが、さらに柔軟にできるイメージです。

フレームはアルミ合金ダイキャストで、本体だけで26.8kg。
よくある樹脂フレームとは質感が全然違うし、この重さが安定感に直結しています。
なお、C500にはフットレスト付きモデルもありますが、私はオフィスチェア付属のフットレストって、結局使わなくなるんですよね。
いちいち引き出すのが面倒だし、構造上どうしても細身で、足を勢いよく乗せるのが怖い。
リラックスしたいなら、別置きのオットマンを用意する方がコスパも実用性も高いかなと。
C300 ProとC500の差
ミドルレンジのC300 Proに座ってみた率直な感想は、「リクライニングしないなら、座り心地はC500と大差ない」でした。
というのも、ドミノ自動適応ランバーサポートはC500と同じもの。
6Dアームレストも同じで、メッシュ素材も同じ高弾性ウェーブメッシュ、座面の横幅も51.5cmで同じ。
つまり、デスクワーク中の体の支え方は、フラッグシップと遜色ないのです。

違いは、反重力メカニズムがないこと。
C300 Proはバネの反発に逆らいながら倒してロックする従来型で、座面も連動しない。
あの浮遊感は体験できません。
フレームもポリプロピレンなので、見た目の高級感ではC500に明確に劣ります。

あと、メッシュ素材は同じなのに、C300 Proの方が座った感じは固く感じたんですよね。
これは、C500の反重力スプリングがクッション的な役割も果たしているからかなと。
C500は座った時にボヨンと柔らかく跳ね返る感じもあって、同じメッシュでも体の沈み込み方が違う気がしています。
逆に言えば、リクライニングを重視しない人にとってはコスパ最強の選択肢。
6万円台で、このランバーサポートと6Dアームレストが手に入るわけですからね。
ちなみにC300 Proには旧モデルのC300があります。
アームレストが4Dから6Dになり、座面スライドが追加されたのがPro。
価格差は1〜2万円程度なので、今から買うならPro以降をおすすめします。
S300の包み込む座り心地
私の一押しがS300です。
C500と同じ反重力メカニズム搭載ですが、方向性が真逆。
C500が「しっかり押して支える」なら、S300は「包み込んで優しく支える」椅子です。
一番わかりやすい違いはヘッドレスト。
S300は背もたれとヘッドレストが一体型で、首から背中まで途切れのない1枚の面で体を支えます。

実はこれ、大きな利点だと思っていて。
独立式のヘッドレストって、位置が合わない人が結構多いんですよね。
特に女性や小柄な方だと、頭より上に来たり前に出過ぎたりして、全く機能しないことも多い。
その点S300は一体型なので、幅広い体格にフィットする。
推奨身長は152cm〜191cmです。
背もたれの昇降が7cmあるので、身長に合わせた調整もできます。
ランバーサポートはデュアルダイナミック方式。
C500のように腰を押すのではなく、腰の形に沿わせて支えるタイプで、ガス圧シリンダーで90〜105度の範囲で角度を無段階調整できます。
ランバーが強く押してくれないと物足りない人にはC500。
押される感じが苦手な人や、すでに腰に不安があって局所的な刺激に敏感な人にはS300。
ここは本当に好みが分かれるところです。
メッシュもS300だけ特別で、イタリアンベルベットとDuPont製エラストマーの混紡素材。
いわゆるビロードメッシュで、触った瞬間に布っぽいぬくもりがある。
メッシュ特有のひんやり感がなく、C500よりさらに1段階柔らかい。
うちの家族や友人に一通りのメッシュチェアを座り比べてもらったところ、女性陣は「これが一番座り心地がいい」と言ってました。

リクライニングも、全身が1枚の面に包まれたまま倒れる、ハンモックのような感覚。
ドイツでデザイン賞も受賞している独特の見た目で、リビングにも置きやすい。
仕事用としてはもちろん、リラックスチェア兼ゲーミングチェアとしても使える一台です。
B100 Proはどうなのか
DOROシリーズとは別ラインの、エントリーモデルB100 Proも使ってみました。
価格に対しての品質は確かに良いです。

3万円台で、BIFMA規格認証とSGS認証を取得。
保証3年、耐荷重136kgはDOROシリーズと同じ。
4Dアームレストに3D独立式ヘッドレスト、リクライニングは113〜133度。
引き出し式のフットレストが標準装備なのも地味に嬉しいところ。
独立式ランバーサポートと複合仙骨サポートの組み合わせで、安い椅子にありがちな「座ると骨盤が後ろに傾いて猫背になる」も起きにくいと感じました。

ただ、反重力メカニズムは非搭載。
ランバーサポートは固定式で位置調整ができず、座面スライドもなし。
良くも悪くも「そこそこのオフィスチェア」で、SIHOOらしさを体験するモデルではないでしょう。
あえてSIHOOを選ぶなら、やっぱりDOROシリーズを選んだ方が幸せになれるんじゃないかなと。
半年使って気になったデメリット
半年も使っていると、気になるところも出てきます。
まず、アームレストの固定力がないこと。
6Dで動かしやすい反面、レバー固定ではないので、ちょっと押したら動いてしまう。
ズレたら再調整する手間があります。
次に、アームレストもヘッドレストも、高さMAXまで上げるとストンと一番下まで落ちる仕様。
行き過ぎたらやり直しで、微調整がしにくい。

そして、アームレストの最低高さが結構高い。
一番下まで下げても、フロント側は床から約63cm。
JIS規格の成人向けデスク高(70〜72cm)なら問題ないんですが、私のようにデスク高68cm前後、妻のように59cm前後で使っていると、アームレストがデスクより高くなる。
昇降デスクを低めで使っている人は、結構困るんじゃないかなと。
後ろ側へのスライド幅も少ないので、デスクにぴったり寄って座りたい人も要注意です。
しかもDOROシリーズは、アームレストを外すとデザインがかなり変になってしまう。
アームレストなしモデルがないのも残念なポイントです。

→ 関連記事:パソコン用オフィスデスクの選び方
組み立ても大変でした。
DOROシリーズは半完成品で届き、C500は本体だけで26.8kg。
2人で頑張って約1時間。
B100 Proはもっとバラバラで、2時間ぐらいかかりましたからね。
細かいところでは、キャスターの動き。
転がり自体はスムーズなんですが、向きを変える接続部分の動きが渋く、動き出しの初動で引っかかる感じがあります。

最後に、長期使用の耐久性は未知数。
SIHOOのブランド歴は14年、保証は3年。
アーロンチェアの12年保証やオカムラの実績と比べると、歴史は圧倒的に短い。
試座できる店舗がまだ少ないのも、急成長ブランドゆえの痛いところかなと。
他社の高級チェアとの比較
アーロンチェアもエルゴヒューマンもオカムラも、私自身が長く使ってきました。
前提として、SIHOOのDOROシリーズは後傾姿勢に強い椅子です。
デスクの上でイラストを描くようなアナログ作業や前傾作業がメインなら、選択肢から外れます。
→ 関連記事:後傾デスクの自作方法
→ 関連記事:LiberNovo Omniレビュー。後傾姿勢に特化した電動ワークチェア
アーロンチェアは、そもそも目的が違う椅子。
「動き続けることで血流を保つ」という動的サポートの哲学に基づいていて、リクライニングの固定もできません。
座り心地について言うと、アーロンのポスチャーフィットは腰を押し込むタイプではなく、サポートが強すぎないので比較的万人に合う印象。
ただ、メッシュが硬いぶん太もも裏の圧迫感は強く、足の血流は悪くなりやすいとも感じているので、ここは一長一短ですね。
作業特化のアーロンに対し、DOROはデスクワークとともにリクライニングを楽しむ椅子。
得意領域が全く異なります。

エルゴヒューマンは、独立型ランバーで腰を支える設計思想がSIHOOとかなり近い。
だから、エルゴヒューマンが合わない人は、C500やC300 Proも合わない可能性が高いかなと。
ただ、エルゴヒューマンの固定式ランバーは、深くリクライニングした時に腰への当たり方が変わるのが気になっていました。
SIHOOのドミノランバーは姿勢に追従してくれるので、そのストレスがない。
ランバーの追従性とリクライニングの質では、SIHOOが一段階上だと感じています。
価格も、Ergohuman Pro 2が13万円前後なのに対し、C300 Proなら半額以下。
フラッグシップのC500なら、ほぼ同価格で反重力メカニズムまでついてくる。
一方、日本中で試座できるのはエルゴヒューマンの圧倒的な強みです。

オカムラのバロンやコンテッサに搭載されているアンクルチルトリクライニングは、アプローチこそ違えど、反重力メカニズムと目指すゴールが似ています。
ただ、オカムラはメッシュが固めで、座面の圧迫感は強め。
リクライニングの滑らかさと座面の柔らかさでは、SIHOOに分があると感じました。

念のため。
どの椅子も、その辺の安物チェアとは別物で座り心地は良いです。
その上で、人によって合う合わないがあるという話。
くれぐれも参考までに。
どのモデルを選ぶべきか
リクライニングを使わないなら、C300 Pro。
デスクワーク中の座り心地はC500とほぼ同じで、6万円台で買えます。

デスクワークもリラックスも両立したい人、ランバーにしっかり腰を支えてほしい人にはC500。
SIHOOらしさを一番感じられるモデルです。
ランバー強めが苦手な人、独立ヘッドレストが合わない人、小柄な人にはS300。
包み込まれるリラックス感は3モデルで随一、私の一押しです。
B100 Proは、3万円台でとにかく良い椅子が欲しい人向け。
ただしSIHOOの技術を体験するモデルではないので、迷ったらDOROシリーズをおすすめします。
SIHOO DOROまとめ
SIHOOのDOROシリーズを約半年使ってきた結論。
SIHOOは、ただ安いから売れているブランドじゃなかった。
反重力メカニズムという独自技術と、価格に対する質の高さ。
リクライニングした時の、どの角度でもピタッと止まる無重力感は、一度体験してみてほしいところです。

とはいえ、万人に最適な椅子なんてものは無い。
体型にもよるし、デスクの高さやモニターの位置、作業スタイルにもよる。
自分に合うかどうかは、実際に座ってみないとわからない。
オフィスチェアは高い買い物な上に場所を取るし、失敗すると処分にすんごい困りますからね。
気になっている方は、面倒でも一度試座することをおすすめします。
※価格はセールで変動します。
最新の価格や在庫は、公式サイトやAmazonでご確認ください。
▶ 反重力メカニズムの実際の動きや4台の座り比べは動画で詳しく解説しています → YouTubeで見る
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P.S.
私が最初にオフィスチェアを買った理由は、腰痛でした。
ちゃんとした椅子で腰痛には悩まされなくなったものの、首、肩、股関節、手首、眼と悩まされまくって今に至ります。
どんな椅子に座るにせよ、運動とストレッチはした方がいい。
どんな椅子でも快適に作業できる体を作ることの方が、実は大事だったりもする。
体が不調のまま無理すると、突然仕事ができなくなったりもするわけで。
日頃から体のメンテナンスはプライスレスなのです。

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