LiberNovo Omniレビュー。後傾姿勢に特化した電動ワークチェアを3ヶ月使って気づいたメリット・デメリット。

後傾姿勢のまま手元のキーボードで作業するデスク全景
この記事の結論
  • 後傾姿勢に特化した、今までにないリラックス・ワークチェアです。
  • 休憩ではなく「作業するためのリクライニング」は唯一無二。
  • モニターの位置まで変えると化けます。試座推奨。

リクライニングしたまま、仕事をする。
昔からの憧れではあったのですが、実際にやってみると、これがなかなか難しい。
かくいう私も、後傾姿勢に憧れて専用のデスク環境を自作したことがあるくらいで、それでも、どう足掻いても椅子がしっくりこないのです。

そんな中で使うことになったのが、LiberNovoの電動ワークチェア、新型「Omni」シリーズ。
クラウドファンディングで話題になった、私も気になっていた椅子です。
今回は、フラッグシップモデルのOmni Proと、エントリーモデルのOmni SE、モデルもサイズも違う2台を、それぞれ3ヶ月ほど使ってきました。

3ヶ月座り続けた結論から言うと、これは「リラックス・ワークチェア」。
後傾姿勢に特化した、今までにないタイプの椅子です。
従来の硬めのメッシュチェアとは全くの別物で、硬い素材で体を支えるというよりは、柔らかめの素材で体にフィットさせる
そして、パソコンの作業姿勢というものを、改めて考えさせられる椅子でもありました。

ちなみに今回は、LiberNovoさんから提供を受けてのレビューとなります。
この椅子、提供でのレビューが非常に多いのですが、私自身、聞いていた話とも、思っていた椅子とも全然違いましたので、その辺も含めて読んでいただけると幸いです。

目次

この椅子で変わった作業スタイル

一番起こした浅い後傾で上体を起こして作業する姿勢

この椅子を使うようになって、椅子の座り方というか、私の作業スタイルが大きく変わりました。

まず、実際に座ると分かるのですが、この椅子、普通に座った状態でも少し上を向きます。
一番起こした状態で105度
直角の90度より、最初から15度後ろに傾いている。
背筋を立てて直角に座る椅子ではなく、少し後ろに体を預けて、デスクの下に脚を滑り込ませて座るタイプの椅子なのです。

5段階リクライニングの使い分け

リクライニング角度は、105度、115度、125度、135度、160度の5段階。
この5段階は、「どこまで倒せるか」の上限をレバーで決める方式です。
上限を125度にセットすれば、体を預けると125度で受け止めてくれて、体を起こせば背もたれもついてくる。

ポイントは、105度だけでなく、115度、125度と、後傾姿勢の中でもさらに細かく刻まれていること。
小刻みに角度を変えることで、後傾姿勢の深さそのものを調整できる。
これが他のオフィスチェアには無くて、私が探し続けていた椅子は、まさにこれだったのです。

背もたれに体を預けた中間の後傾角度でマウスを操作する様子

例えば、がっつり集中したい時は105度。
ほぼ通常のデスクワークの感覚ですが、それでも軽く後ろに傾いています。
日中の長い作業や、打ち込みが少ない作業なら、115度や125度。
背もたれとヘッドレストに体重を預けたまま画面を見て作業ができる、「脱力したまま作業できる」ゾーンです。

ゲームや動画のチェック、文字のチェックなら135度。
トラックボールがメインの音声入力や、コントローラーを持つくらいの作業なら、ここまで倒しても問題ありません。
そして面白いのが、160度まで倒れること。
お昼休憩なら、これで完全に寝られます。
仕事場に布団を敷くのはなかなか難しいですが、これなら布団を敷く必要もないし、寝すぎることも無くなって一石二鳥です。

ほぼフラットまで倒して手を組み休憩している姿勢

椅子はどうしても、「座りっぱなしの一つの姿勢」になりがちです。
同じ姿勢のままだと、お尻への負担は一点にかかり続けるし、ふくらはぎや太ももも張ってくる。
その点この椅子は、もたれる深さそのものを変えることができる
後傾姿勢の中でも深さを微調整できるので、下半身の負担も減らせると思っていますし、実際、良い気分転換にもなっています。

ヘッドレストと首・肩の凝り

しかもこの椅子は、姿勢を切り替えた時のヘッドレストや肘掛けの合わせやすさも優秀です。
どちらも、レバーを押しながら無段階で簡単に合わせられます
カチカチと段階的に動かすラチェット式ではないので、微調整で行ったり来たりすることもない。
実際、私は今までのどの椅子よりも、ヘッドレストの位置を頻繁に調整しています。

ヘッドレストに頭を預けた後傾姿勢を後方から見たところ

実は私、最近は腰よりも、首と肩の凝りの方が深刻でして。
ヘッドレストと肘掛けが合わない椅子で作業すると、頭が痛くなってくるほどです。
昔はヘッドレストなんて無くてもいいタイプだったのですが、年とともに肩こりがひどくなり、まさに今、この椅子がピンポイントで効いている。

人間の頭は5kg前後あって、この重さを首と肩の筋肉がずっと支え、緊張し続けています。
私はストレートネックなので、なおさらです。

頸椎のレントゲン写真。ストレートネック気味で首のカーブが少ない

この椅子を3ヶ月ほど使って、夕方の首と肩の重さというより、首から頭、後頭部の痛さが明らかに軽減しました。
この辺は人にもよるので大げさには言いたくないのですが、ヘッドレストの合わせやすさと効き方は、今まで使ったオフィスチェアの中で圧倒的です。

そして、効いているのは、頭を支えていることだけではないと思っています。
デスクワークは放っておくと、肩が前に巻いて、胸が閉じて、背中が丸まっていく。
この椅子は後傾で胸が開いたまま座れる上に、肘掛けが腕の重さをしっかり支えてくれるのです。

あと、私はお尻も太ももももガチガチで、足もむくみがち。
靴下の跡がつくタイプなのですが、この椅子に変えてから、それも軽減している気がします。
従来の椅子は直立なので、体重のほとんどがお尻の一点に集中する。
この椅子は後傾するので、背もたれ、ヘッドレスト、フットレストと接地点が増えて、体重が分散しているのではないかなと。

分離キーボード・音声入力との相性

この辺は、私が分離キーボードを採用し、音声入力を多用するようになった影響も大きいと感じています。
分離キーボードと後傾姿勢は、相性が良い
のけぞってリラックスした体勢のまま手元にキーボードを置けるし、音声入力が便利すぎて、そもそも文字を打つこと自体が減っているのです。

手元に置いた分離キーボード。左右の間にトラックパッドを配置

AIに仕事を投げて、回答を待っている間に、別のAIから出てきた文章を読む。
打ち込むというより、読む方が作業のメインになってきました。
手をデスクに置いておく時間そのものが減り、直立でデスクの前に座って待つ理由も無い。
ヘッドレストに頭を預けて、深く座って待つ方がラクなのです。

こうした作業の変化もあって、これからのディスプレイワークには、後傾姿勢に特化した椅子の方が向いているのではないかと思いました。

他社のオフィスチェアとの違い

では、他の椅子では、後傾姿勢で作業ができないのか。

まず、有名どころのオフィスチェアは、背もたれの角度が非公表のことが多い。
オカムラもアーロンチェアも角度は非公表ですが、どの椅子も、一番起こせばほぼ直立に近い姿勢になります。

特にアーロンチェアのリクライニングは、体の動きに追従するための機能で、角度の固定もできません
リラックスするためのものでもなければ、後傾姿勢で作業するためのものでもない。
そもそもヘッドレストが無いので、後傾姿勢のための椅子ではないのです。

一方この椅子は、一番起こした状態で既に105度。
リクライニングの可動量も圧倒的で、倒し切れば、他社の最大より遥か先の160度まで行く。
「直立もできる椅子」ではなく、最初から後傾しかしない椅子なのです。

ちなみにこの105度という角度は、伊達に傾いているわけではありません。
人間工学の研究でも、デスクワークに適した背もたれの角度は100度〜110度程度とされていて、直角の90度は、むしろ理想ではないのです。

そして、このたった10度、15度の違いが、デスクワークでは大きな違いを生みます。
一般的にディスプレイまでの距離は50cmほどと言われますが、視線の向きが10度変わるだけで、見ている先は約9cmも動く
しかも後傾すると頭の位置も後ろに下がるので、モニターの最適な高さも距離も、この椅子では変わってくるわけです。
逆を言えば、モニターの置き方まで変えると、この椅子は化けます(※モニターの話は後ほど詳しく)。

休憩用と作業用のリクライニング

では、深く倒れる椅子なら、後傾のまま作業できるのか。
これが、そうでもないのです。
私はエルゴヒューマンやSIHOOのような後傾寄りの椅子も使ってきましたが、どちらも、深く倒すことはできても、倒したまま作業するとなると厳しい(SIHOO DOROは→SIHOO DOROレビューで詳しく書いています)。
ロックの方式も、ランバーサポートやヘッドレストの形状も、アームレストの可動域も違うので一言では言いにくいのですが、倒した時の姿勢の決まり方が全く違うのです。

誤解を恐れず言ってしまえば、他社のオフィスチェアは「休憩のためのリクライニング」であって、作業するためのリクライニングではない。
一方、このLiberNovo Omniという椅子は、「作業するためのリクライニング」なのです。

というのも、私は後傾姿勢での作業に憧れて、専用のデスク環境を自作したことがあります(→後傾デスクの自作記録)。
それでも、どう足掻いても椅子がしっくりこないし、モニター位置も上手くいかない。
リクライニング姿勢は、深く倒れるほどディスプレイを傾ける必要があるし、視聴距離も遠くなる。

腕の位置も肘掛けの位置も合わなくなるし、椅子はやはり「座って使う」ことが前提なので、寝姿勢に近い状態で長く使うと、圧がかかったところが痛くなってくる。
床ずれのように、動けないことでお尻も痛くなってしまうのです。

後傾のまま作業するための構造

その点このLiberNovo Omniは、座面から肘掛けまで、椅子の全部が「後傾のまま作業する」ために作られています。

まず、座面。
ただ柔らかいだけでなく、後ろ硬め・前柔らかめのマルチ密度クッションで、座ると体重が後ろ側に乗るような感覚があります。
お尻の一点に圧が集中せず、自然と体が「後ろに乗る」姿勢になる。
オフィスチェアというより、車のリクライニングシートに近い座り心地です。

背もたれも、よくあるランバーサポートのように腰をグッと押し込んでくるのではなく、体に合わせて、胸が少し開くように支えてくれる。
肩が前に丸まりがちなゲーミングチェアとは対照的で、こちらは寝れるのに、胸が開いたまま仕事ができる
言うなれば、「作業できるゲーミングチェア」です。

ヘッドレストも、後ろ側へよく動きます。
前に出っ張って頭を押し当ててくるタイプではなく、倒れてきた頭を優しく受け止める構造
レバーで微調整もしやすく、ヘッドレスト自体も柔らかい。

前腕を支える位置まで引き寄せたアームレストの寄り

そして、非常に良いのがこのアームレスト。
前後に大きくスライドするので、お腹のすぐ近くまで引き寄せられます
後傾姿勢は、少し斜め上を向いてデスクの下に入り込むような姿勢になるため、椅子をデスクに限りなく近づける必要がある。
つまり、肘掛けが後ろ側に引けないと成立しないのです。

実のところ、肘掛けのせいで上手く座れていない人は多いと思っています。
「肘掛けがデスクと干渉して、浅く座って前のめりで作業する」というのはありがちな話で、私自身、いろんな椅子で肘掛けを外して使ってきたくらい。
その点この椅子は、肘掛けをデスクと干渉しない位置まで引けるので、デスクに合わせてしっかり深く座れるのが素晴らしいところです。

しかもこのアームレストは、リクライニングに連動して動きます
背もたれを倒すと、肘掛けの位置と角度が一緒についてくるし、ヘッドレストも座面も、背もたれに合わせて動く。
リクライニング姿勢に合わせて、椅子全体の形が変わるイメージです。

一般的なオフィスチェアは、そもそもリクライニング姿勢で作業することを想定していません。
倒すのはあくまで休憩で、作業は体を起こしてするものという前提だからです。
一方この椅子は、後傾のまま作業することしか考えていないので、倒した時の肘の位置まで、しっかり設計されている。
どの角度でも肘掛けに腕を預けたまま作業ができるからこそ、115度、125度といった、休憩には中途半端な角度でも固定できるのです。

フットレストまでセットで売る理由

木製デスクの下で専用フットレストに足を乗せて座った様子

後傾姿勢が前提ということで、この椅子にはフットレストが絶対に必要です。
だからこそLiberNovoは、専用のフットレストもセットで販売している。
体が後ろに傾くと足は浮きがちになるので、これは絶対に一緒に買うべきです。

以前、私は「椅子一体型のフットレストは使わない」と言いましたが、あれは「リラックス用途なら一体型フットレストは要らない」という意味でした。
こちらは、作業するために必要なフットレスト
これがあることで足が浮かず、後傾姿勢でも足場が安定するし、小柄な人の足が床につかない問題も解決する。
それでいてオットマンのようにリラックスにも使えるわけで、フットレストまでセットで売るオフィスチェアを、私は他に知りません。
「後傾姿勢で仕事をする」という、新しい作業スタイルの提案だと思っています。

「動く椅子」という思想

こうした設計ができるのは、LiberNovoが「ダイナミック・エルゴノミクス」という、動きのある人間工学を掲げるメーカーだからです。
メーカーの調査によると、人は1時間に平均13回も姿勢を変えている。
だから、姿勢の変化に椅子側がついてくるように設計されているのです。

うろこ状のパネルが並ぶフレックスフィットバックレストを横から見たところ

その象徴が、この背中のうろこ。
うろこのようなパネルがズラッと並ぶ、インパクトのあるビジュアルですが、単にガジェット心をくすぐるためのデザインではありません。
フレックスフィットバックレストといって、8枚のパネルがそれぞれ独立して動いて、姿勢の変化に追従するための構造です。

つまり、この見た目自体が「動く椅子」という思想の現れで、それゆえに、電動サポートやストレッチ機能まで載せている。
私自身、後傾姿勢は「ラク」というより「動けないのが辛い」と感じていた側なので、この「座ったまま動ける椅子にする」という思想は、非常に面白いと感じました。

後傾姿勢とモニターの高さ

後傾姿勢の視線の先に湾曲モニターが入る横からのカット

では、後傾姿勢で作業する場合、モニターはどこに置くのが正解なのか。
先ほど書いた通り、椅子が傾けば視線の位置も変わります。
傾きを強くするほどに従来のモニター位置は合わなくなり、そのまま使うと、逆に首を痛めてしまうのです。

昨今はAIの普及もあって、マルチモニターや大型モニターを使う人も増えました。
私も4画面に始まり、49インチのスーパーウルトラワイドを使っていますし、55インチの大画面テレビをモニターとして使い始めたのは、つい最近の話。
画面はどんどん大きく、上にも横にも伸びているのに、椅子は昔ながらの椅子のまま。
このミスマッチも、後傾チェアで上手く解決できるのではないかと思っています。

視線が上を向く分、モニターも上げる

まず、モニターの高さの大原則として、人間の視線は、水平より少し下が見やすくて疲れにくいと言われています。
私も「モニターの上端が目の高さ」を前提に、デスクに直接置くなら32インチ・高さ40cmくらいを限界としてきました。
ただ、これは全部、一般的なオフィスチェアに直立姿勢で座った場合の話。
後傾チェアでは、この前提が丸ごと崩れると思っています。

→ 関連記事:仕事に最適なモニターサイズと解像度。疲れづらいディスプレイ位置

「モニターの高さは視線の水平位置より下が快適」というのは、頭の向きに対しての話です。
頭が水平でないなら、話は変わってくる。
体が後ろに倒れれば倒れるほど、その分、視線も上を向く
通常の椅子では「体の負担になる」とされていた高い位置の大きなモニターが、後傾姿勢ではむしろ快適なゾーンに入ってくるのです。

後傾角度別の視線の高さの図解。105度で6〜15cm、115度で13〜23cm、125度で19〜31cm視線が上がる

もちろん、上体が後ろに傾く分、モニターまでの距離も長くなります。
例えば、モニターまでの距離が80cmの場合。
105度に倒すと背もたれは15度傾きますが、ヘッドレストが頭を起こす分、視線が上を向くのは5度〜10度ほどのはず。
となると、視線の先は約6cm〜約15cm上
115度なら約13cm〜約23cm、125度なら約19cm〜31cmも上を向く計算です。

実際、私はこの椅子に替えてから、モニターの位置を10cmほど上げているし、首をしっかり支えられるようになったこともあって、首の疲れも軽くなっています。

後傾姿勢で高めに上げたモニターを見ながら作業する様子

よって、この椅子を使うなら、モニターアームで微調整できるようにしておきたいところ。
後傾の角度に合わせてモニターを上げ下げしたいし、モニター自体も少し傾けた方が見やすくなる。
より深い後傾で使うならモニター位置の変更は必須になるので、何にせよ、モニターアームは有った方が良いです。

相性の良いデスク環境、悪い環境

また、後傾姿勢になるとモニターまでの距離が取れるので、小さいデスクでも大型モニターが使いやすくなります。
デスクシェルフなどでモニター位置が高い人にも、後傾チェアは相性が良いはず。
デスクシェルフ最大の難点は、モニター位置が高くなってしまうことだからです(この辺は→デスクシェルフの自作記事でも書いた通り)。
「ちょっとモニター位置が高いな」と思いつつ無理して使っている人にこそ、試してほしい組み合わせです。

モニターを高めに設置していた過去のデスク環境

逆に、ノートパソコンやタブレットのような低い画面には、後傾姿勢は向いていません。
低い位置の画面を後傾姿勢で見ると、首だけを前に折り曲げることになる。
これは絶対にやってはいけない姿勢です。
この椅子でノートPCを使いたいなら、ノートパソコンも高い位置に設置する必要があります。

椅子に合わせて、デスクを調整する

ここまで読んだ方はお気づきかもしれませんが、これはLiberNovoに限らず、椅子そのものの選び方の話でもあります。
「椅子はデスクに合わせて調整するもの」と思われがちですが、実は逆で、椅子の高さを合わせてから、デスクやモニターの高さを調整できた方が良いのです。

一般的なデスクは、デスク高が約70cmと、PCのディスプレイワークには高すぎるものが多い。
日本人に限らず高すぎる人がほとんどで、デスク脚を交換するか、スタンディングデスクにするか、足元に足置きを置くくらいしか解決方法がありません。
しかも、この「向いていないデスク」をベースに考えてしまうと、せっかくの良い椅子も、逆に使いづらくなってしまうのです。

→ 関連記事:パソコン用オフィスデスクの選び方。仕事に最適な天板サイズとデスク高さ

ただ、このよくある高いデスクに合わせやすいのも、LiberNovo Omniの良いところです。
仮にデスク高70cmだとしても、この椅子にはフットレストがあるので、「足が床に届くか?」という制約自体がなくなり、天板に合わせて座面を調整できる。
足が浮いたまま座っていると、膝裏が圧迫されて血流が悪くなり、脚のむくみにも繋がりますからね。

傾斜つきの専用フットレストに両足を乗せた足元のアップ

モニター位置が高ければ、後傾の角度を変えることで、視線の高さを合わせられる。
後傾でデスクが遠くなる問題も、肘掛けを後ろまで引けば、目一杯近づけられる。
デスク、モニター、キーボードの位置に対して、椅子とフットレストで、かなり幅広く対応できるわけです。

特に小柄な人や女性には効果が大きくて、我が家の女性陣も、この傾斜のあるフットレストをとても気に入っています。
家にも欲しいし、子供用にもあったら良いのに、と言われるほどです。

というわけで、この椅子は、今までのオフィスチェアとは違います。
従来のいわゆるオフィスチェアが欲しいなら避けた方が良いし、逆に、パソコン作業がメインで、後傾姿勢というものを理解した上で使うのであれば、これ以上ない一脚になると思います。

ラインナップと選び方

黒とグレーのLiberNovo Omniを並べたところ

現在このOmniシリーズは複数のラインナップに増えており、モデルごとに座り心地も結構違います。

LiberNovoは、初代のOmniを2025年に出して、クラウドファンディングで大成功したメーカー。
その大ヒットモデルをリニューアルした新シリーズが、今回私が使っているモデルです。
ちなみに初代Omniは2026年7月末をもって販売終了となっており、現在は、この新シリーズに完全に世代交代しています。

4モデルの違い

新シリーズは、全部で4つのモデル展開です。

Omni Pro:電動ランバーサポート、電動ストレッチ機能、座面ファン(AirFlowモード)と、全部入りのフラッグシップ
Omni Gen:初代Omniの直系後継機。電動機能はそのままに、AirFlowは非搭載
Omni SE:ランバーサポートを手動に変更し、バッテリーレスにしたエントリーモデル。電動ストレッチも非搭載
Maxis Airflow:中身はほぼProのまま、サイズを一回り大きくした特大版

LiberNovo Omniシリーズ4モデルのスペック比較表(Omni SE・Omni Gen・Omni Pro・Maxis Airflow)
Omni SEOmni GenOmni ProMaxis Airflow
定価(税込)149,000円189,500円229,000円331,800円
ランバーサポート手動電動電動電動
電動ストレッチなしありありあり
AirFlow(座面ファン)なしなしありあり
バッテリーなし2,200mAh3,000mAh3,000mAh
生地ソフトタッチストレッチソフトタッチストレッチGabriel AtlanticGabriel Atlantic
脚ベースガラス繊維強化ナイロンガラス繊維強化ナイロンアルミ合金アルミ合金
座面奥行45/48cm(M/L)45/48cm(M/L)45/48cm(M/L)52cm
推奨身長M 153〜175cm/L 170〜190cmM 153〜175cm/L 170〜190cmM 153〜175cm/L 170〜190cm178〜200cm
リクライニング105〜160度・5段階105〜160度・5段階105〜160度・5段階105〜160度・5段階
耐荷重136kg136kg136kg181kg

※価格は執筆時点のものです。最新の価格・仕様は公式サイトでご確認ください。

まず大事なのは、これらのモデル、基本的にどれも構造は一緒だということ。
ここまで書いてきたフレックスフィットバックレストの追従も、ダイナミックランバーサポートも、5段階リクライニングも、SEからMaxisまで全モデル共通です。
「高いモデルが良いモデルとは限らない」というのはオフィスチェア選びのあるあるで、では実際のところ、何が違うのか。

初代からの進化としては、リクライニングが4段階から5段階になり、より細かく角度を調整できるようになりました。
ヘッドレストとアームレストも調整幅が広がって、小柄な人にも合わせやすくなっています。

新モデル同士の違いで一番分かりやすいのが、電動かどうか。
SEは、背もたれの形を変えるランバーサポートが手動で、バッテリーも積んでいません。
GenとProはここが電動で、アームレストのボタン一つ、座ったままで背もたれの形を変えられます。

もう一つ、GenとProには電動ストレッチ機能もついています。
腰のモーターが上下に動いて、座ったまま背骨周りを伸ばしてくれる機能です。
これは初代Omniにも載っていた機能で、つまりSEは、電動周りを丸ごと落として価格を下げたモデルということになります。

続いて、GenとProの違い。
一番の違いはファンです。
クッションチェアの宿命である「蒸れ」を解消するために、Proは座面にファンを内蔵したAirFlowモードを搭載しています。

そして実は、生地も違います。
GenとSEは、初代Omniと同じ「ソフトタッチストレッチ生地」。
Proだけが、デンマークGabriel社のAtlantic生地で、リサイクルポリエステル100%、摩擦試験11万回をクリアする、通気性と耐久性を兼ね備えた生地です。
脚のベースも、SEとGenがガラス繊維強化ナイロン(樹脂素材)なのに対し、Proはアルミ合金となっています。

サイズは、Pro、Gen、SEがMとLの2サイズ展開で、主な違いは座面の奥行きです。
Mサイズが奥行き45cmで、身長153cm〜175cmが目安。
Lサイズが奥行き48cmで、身長170cm〜190cmが目安。
Lサイズのみ、座面前縁のクッションが分厚くなっていて、前側に滑りにくくなっています。

さらに大きいサイズが欲しい方向けが、特大サイズのMaxis。
中身はほぼProのままAirFlowも搭載し、座面の奥行きは、Lの48cmに対して52cm。
耐荷重も通常モデルの136kgに対して181kgまで対応し、想定身長も178cm〜200cmと、大柄な人のための製品です。

SEとProの座り心地の違い

では、実際に使ってみてどうか。
私は今回、SEのMサイズと、ProのLサイズという、モデルもサイズも違う2台を3ヶ月ずつ使ってきました。
まず言いたいのは、SEとProでは、構造は一緒でも、座り心地はだいぶ違うということです。

SEは座面がかなり柔らかく、そこそこ沈み込みます。
対してProの座面は、SEに比べると詰まったような感触で、より硬く、しっかりとした座り心地。
クッションの素材自体は、初代Omniも含めて全モデル共通なので、この差は、クッションの厚みと表面の生地から来ているのだと思います。
張りのあるGabriel社の生地に変わるだけで、同じクッションでも、座った時の体感はだいぶ変わるのです。

柔らかい椅子が良い人にはSEが合うのかもしれませんが、柔らかいということは、腰に負担がかかるのではないかという懸念もある。
ソファーも硬い方が好きな私は、圧倒的にProの方が良かったです。
細部の作りや縫製の質もProの方が上で、SEは座面や背面の縁が、少しフニャっとした感じがある。
こういった細かい部分にも、値段なりの差を感じました。

あと、柔らかく密着する分、SEの方が蒸れます
ファン云々の前に、クッションが深く沈むことで蒸れやすいのです。

上位モデルの電動ランバーは、ランバーの位置を記憶しておく機能がないので、一度固定したら動かしたくないというのが正直なところ。
なので、手動のSEでも、そこまで大きな問題にはなりません。
Proのストレッチ機能も、「立ち上がって動いた方が良いのでは?」と思ってしまった時点で私には合わず、既に使うのも忘れています。
結局のところ、動いた方が良いのは間違いなく、私はバランスボールで伸びをする派。
自分で動いてストレッチした方が、体にも良いと思っています。

MサイズとLサイズの選び方

サイズについては、私は身長約177cm。
ちょうどMとLの両方の推奨範囲にかかる体型ですが、MとLを座り比べて、私ならLサイズを選びます
Mで作業していて狭いとは思わないのですが、Lの方がゆったり座れて、少し余裕があるのです。

というのも、この椅子は、後傾姿勢がメインの椅子。
従来のオフィスチェア、特に硬いメッシュチェアとは座り方が根本的に違うので、ピッタリフィットさせるよりも、少し余裕を持って身動きができる方が良いと思っています。
クッション素材ならではの密着感もありますし、「姿勢を変える」のがこの椅子の思想でもあるので、その意味でも、私はLサイズを選びます。

ただ、女性や小柄な方なら、LよりもMサイズです。
実際、うちの奥さんは身長約150cmの小柄ですが、Mサイズで大きすぎるということはなく、むしろちょうど良いと言っています。
Lサイズはゆったり座れる分、座面の奥行きが長くなるので、ここで合わなくなる人が多いはずです。

小柄な人は、椅子の大きさそのものより、体重が軽くて座面が硬く感じられたり、座面の奥行きが合わなかったりする影響の方が大きいと思っています。
「座面を合わせると足が床に届かない」という小柄な人の永遠のテーマも、この椅子はフットレストがあることで解決してくれる。
ヘッドレストやアームレストも低い位置まで下がるので、小柄な女性でもきちんと合わせられますし、なんなら、それらを無視したような使い方ができるのも、非常に良いところだと思いました。

気になったところ

最大の難点は蒸れ

まず、最大の難点は、やはり「蒸れ」です。
LiberNovoのチェアに限った話ではありませんが、クッション素材の椅子は、どうしても熱がこもってしまいます。
特に夏場は、厳しい人もいるはずです。

座面内蔵ファンAirFlowモードの図解。弱モードで最大36時間、強モードで最大9時間駆動

この蒸れに対するLiberNovoの答えが、Proモデルの座面ファン、AirFlowモードです。
座面の中に吸引式の電動ファンが入っていて、座面の熱と湿気を下に排出してくれる。
着座センサー付きで、席を立つと自動で止まり、座ると再開するので、切り忘れもありません。

実際に座ってみると、意外とこのファンの効果は大きい。
ただ、ファンがあるのは座面だけで、背中にはありません。
椅子に密着するのはお尻だけでなく、背中や首もなので、結局のところ、夏場のクッションは蒸れるという事実は変わらないと思います。

「椅子を充電する」という新しい手間

着脱式バッテリーをUSB-Cケーブルで充電しているところ

そして、このファンはバッテリー駆動なので、充電が要ります。
「椅子を充電する」という、新しい作業が発生するわけです。
バッテリーは着脱式で、Type-Cで充電できるので、大した手間ではないのですが、交換のタイミングを考えるのも面倒だし、そのために予備バッテリーを用意するかといえば、私はしないのです。

公式では、ファンを強で回して9時間、ストレッチは1日1回の使用で約1ヶ月間、電動ランバーの調整だけなら、約1年も持つとされています。
ただ、実際に私がファンを回し続けたところ、やはり2日は持たない
最終的に、私はストレッチ機能もファンも、ほぼ使わなくなって今に至ります。
「それならProじゃなくてもいいじゃん」と思うかもしれませんが、Proの方が座り心地も質感も明らかに私の好みなので、私はProを愛用しています。

結局のところ、クッションの椅子はもれなく蒸れます。
ただ、これはこれで、悪いことばかりでもないとも思っています。
日本の夏にエアコンを使わないのはもう無理な話で、蒸れ具合はエアコンの温度次第という面もある。

私は、お尻と背中には汗をかくくせに末端はひどい冷え性で、エアコンの効いた部屋では、長袖長ズボンにヒートテック靴下が欠かせません。
うちの奥さんも年中膝にブランケットをかけるタイプですが、この椅子はお尻が柔らかくて逆に暖かいのが良いと言っています。
冬のメッシュチェアは寒くて、電気毛布を巻いて座ることすらありますからね。

合わない人は確実にいる

この柔らかいクッション自体、合わない人は確実にいると思います。
この椅子は、後傾姿勢で体重を分散させる椅子であって、硬めの座面で姿勢を正すような椅子ではありません

ランバーサポートでグッと腰を支えてほしい人や、しっかり飛び出たヘッドレストが好きな人は、エルゴヒューマンやSIHOOチェアのような椅子が合うと思います。
パソコンではないデスクワークや、前傾姿勢でも作業する人なら、アーロンチェアの方が幸せなはず。
このあたりは、作業スタイル次第です。

クッションのヘタリと細かい不満

あと、懸念があるとすれば、クッションのヘタリです。
このフカフカが何年維持されるのかは、正直なところ、まだ未知数。
ただ、LiberNovoは公式で交換パーツを販売しているので、ヘタったら座面のクッションだけ買い替えることができます。

私は、他社のオフィスチェアで座面だけ壊れた経験が2度ほどあります。
そうなった時にパーツだけ買い替えられるのはありがたい話で、メーカー保証も、本体フレームが5年、モーターやバッテリーなどの電子部品が2年。
修理の見積もりを取ったら「買い替えた方が良いのでは?」となるパターンも多いので、パーツ販売と長めの保証は、他社と比べても珍しい利点です。

それから、アームレストの固定感。
高さはレバーでしっかり固定できるのですが、前後方向は手軽に動かせる分、少し動きやすくも感じます。

細かいところでは、座面の奥行きが調整できないのもデメリットです。
Mが45cm、Lが48cmの固定で、スライド機能がありません。
ただ、座面がクッション素材で、フットレストもあるので、他社の数値と同じ感覚で考えなくても良いとも思っています。
座面が大きくても、膝裏に圧迫感があるとか、奥まで座れないといったことは起きにくいはずです。

そして結局、一番のデメリットは、「従来のオフィスチェアとは違う」ということ自体かもしれません。
この椅子は、後傾姿勢で使ってこその椅子です。
体を起こした姿勢や、少し前のめりで使うことを想定しているなら、違和感があると思います。
タブレットやノートパソコンでは画面の位置調整が必要になりますし、この椅子に合わせて、少なからずデスク環境も変える必要があるのです。

まとめ

このLiberNovo Omniは、今まで私が使ってきたどの椅子にもなかった座り心地で、特に、後傾姿勢での使用感は抜群でした。
メッシュチェアが主流のパソコン用チェアの中で、柔らかいクッション素材というだけでも異色ですが、一番の違いは、後傾姿勢に特化していること。
ヘッドレストやアームレストまで後傾作業に合わせて作り込まれ、専用フットレストまで用意された椅子を、私は他に知りません。

私は昔から、寝ながら仕事をすることに憧れて、後傾デスクを自作したこともあります。
それでも、実際に寝てしまうと作業はできないし、椅子とデスクのバランスが非常に難しい。
その難問に対する「寝る姿勢と座る姿勢の中間を取ろう」という答えが、この椅子です。
体の重さをバランスよく分散して、腰だけでなく、首や肩、足の負担まで軽くしてくれる。
少し後ろに傾けるだけでラクになるというのを、3ヶ月かけて体験できました。

提供品なので、何を言っても嘘くさくはなってしまうのですが、硬めのオフィスチェアが体に合わなかった人や、後傾姿勢で作業をしてみたい人、私のように本当にパソコンでしか使わない椅子を探している人なら、試してみる価値は十分にあると思います。

分離キーボードや音声入力を使っている人にも向いています。
私自身、キーボードを叩き続けることが減り、マウスやトラックボールと、マイクとショートカットキーがあれば、だいぶ仕事が回るようになりました。
文字を打つこと自体が減った今、後傾姿勢で作業しやすい環境は、むしろ整ってきているのです。

ただし、椅子は、実際に座ってみないと分かりません
これは毎回書いていることですが、この椅子は座り方自体が今までと違うので、なおさらです。
現在は、東京、埼玉、大阪、愛知、福岡の一部店舗で試座ができます。
気になっている人は、面倒でも一度赴いて、座ってから判断することをお勧めします。

ちなみに、この椅子には「30日間の返品保証」もついています。
返品には全ての梱包材を取っておく必要がありますが、自分のデスクで実際に試せるのは大きい。
オフィスチェアは高い買い物である上に、本当に場所を取りますからね。

柔らかいクッションが合うのか、後傾スタイルで仕事ができるのか。
こればかりは、自分のデスクで長時間使ってみないと分かりません。
それを確かめてから決められるというのは、とても良い仕組みだと思いました。

▶ 動画でも詳しく解説しています → YouTubeで見る

P.S.
椅子に大金を払うことに、最初は抵抗があったのですが、体の不調を抱えてからは、背に腹はかえられず。
それなりの金額がする椅子は、やはりそれなりに考えられていますからね。
長時間座るほどに、その差は散り積もる。
正直なところ、試座だけでは分かりづらく、使い比べて分かることもある。
というのが、2台を3ヶ月使った本音です。

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この記事を書いた人

KJ新谷のアバター KJ新谷 小さな会社の取締役

平成21年に輸入物販で起業して、既に起業17年目。
法人12期目。小さい会社の代表です。

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