- 55インチ4Kは27インチフルHDが4枚分の作業領域になる
- 快適に使う条件は下3分の2運用と視距離90cmの2つ
- 入力はHDMIのみでUSB-C接続もハブ機能も無い点は注意
テレビをPCモニターとして使うと、だいたい失敗します。
文字は滲むし、グレアパネルは照明を映し込むし、残像も気になる。
かくいう私も、これまで幾度となく試しては、やめてを繰り返してきました。
テレビとモニターは、そもそも目的が違いますからね。
テレビは距離を取って映像を楽しむもの、モニターは近い距離で文字や細かい情報を見るもの。
これまでのテレビは、やっぱりテレビだったのです。

そんな私が、TCLの2026年モデル「Q7D Pro」を1〜2ヶ月ほどPCの作業モニターとして使ってみたところ、何の問題もなく作業できてしまった。
なんなら、下手にマルチディスプレイを組むより快適だとすら感じています。
とはいえ、デスクに載せた初日から快適だったわけではないです。
55インチをそのまま置いた最初の数日は、普通に首が痛くなりました。
テレビ側が進化したのも大きいのですが、それ以上に効いたのは置き方の方でした。
※本記事は、TCL様から製品提供をいただいて制作したPRレビュー動画の連動記事です。とはいえ、そんなことはお構いなしに、良い点も気になる点も正直に書いています。
映像の進化は文字では伝わらないので、Q7Cや有機ELと並べた実際の画面は動画の方で見ていただくのが早いかなと。

Q7D ProとQ7Cの違い
テレビが進化したと言われても、去年のモデルを覚えている人はそう多くないですよね。
私も正直、前年モデルのQ7Cで十分綺麗だと思っていました。
TCLは2019年に世界で初めてMini LEDテレビを実用化したメーカーで、Mini LEDパネルを自社で設計から製造まで手がけられる、世界でも数少ない会社です。
「テレビは日本メーカーが安心」というイメージは今も根強いですが、テレビの心臓部であるパネルは、10年以上も日本では作られていない。
私が地デジ化の前に家電量販店でテレビを売っていた頃ですら、国内でパネルを作っていたのは亀山モデルのシャープくらいでしたからね。
そのシャープは今やFoxconn傘下、東芝レグザはHisense傘下。
最後の砦だったソニーも、2026年3月にTCLとの合弁会社設立を発表しています。
TCLの出資比率は51%なので、実質的にTCL主導の会社です。

そのTCLの2026年モデルがQ7D Pro。
前年のQ7Cと項目ごとに並べると、変わったのはほぼ映像まわりに集中しています。
| Q7C(2025) | Q7D Pro(2026) | |
|---|---|---|
| 展開サイズ | 55/65/75/85/98型 | 55/65/75/85/98型 |
| 映像技術 | QD-Mini LED | SQD-Mini LED |
| パネル | HVAパネル | HVA 2.0 Proパネル |
| 色域 | DCI-P3 97% | BT.2020 100% |
| 映像エンジン | AiPQ Pro | TSR AiPQ |
| ローカルディミング | プレサイスローカルディミング | 全領域ハロー制御技術 |
| 反射と色への対策 | なし | 低反射とウルトラカラーフィルター |
| 解像度 | 3840×2160(4K) | 3840×2160(4K) |
| リフレッシュレート | 4K 144Hz(VRR) | 4K 144Hz(VRR) |
| ゲーム機能 | ALLM / FreeSync Premium Pro | 同+MEMCとSuperwide Gameview |
| オーディオ | ONKYO 2.1.2ch 60W | ONKYO 2.1ch 40W |
| OS | Google TV | Google TV |
| 重量(55型) | 12.8kg | 約12kg |
| 壁掛けVESA | 300×300mm | 300×300mm |
| 保証 | 1年 | 3年 |
サイズ展開も解像度もリフレッシュレートも据え置き。
そのかわり映像技術とパネル、色域、映像エンジン、ローカルディミングが全部入れ替わっています。
保証も1年から3年に延びました。
正直に書いておくと、スピーカーだけは60Wの2.1.2chから40Wの2.1chにダウンしています。
ここは後述のeARCで外部スピーカーへ逃がせるので、私はあまり重視していません。
映像まわりが総入れ替えになった
Mini LEDの光源そのものが、QD-Mini LEDからSQD-Mini LEDへ進化しています。
色域はDCI-P3 97%からBT.2020 100%へ。
映像エンジンもAiPQ ProからTSR AiPQになり、AIによる映像処理が一段変わりました。
パネルはHVAからHVA 2.0 Proへ。
Mini LEDでありながら178度の視野角を実現していて、新しく加わったウルトラカラーフィルターで色再現性も上がっています。
画面の反射を抑える低反射処理も、ここで入りました。
ローカルディミングは、画面の明暗を細かく制御するバックライトの技術です。
Q7D Proの全領域ハロー制御技術では、単純な分割数だけでなく、1分割あたりの制光精度そのものが大きく改善されている。
分割数の数字だけを追いかける世代は、そろそろ終わりなのかなと。
並べて比較してわかったこと
スペックはスペックですからね。
映像の進化は、実際に見比べてみないと分からないし、体感できないと意味もない。
そこで55インチのQ7CとQ7D Proを並べて、映像設定は標準、輝度も揃えた状態で比較してみました。
違いは電源を入れた瞬間に出ました。
起動時に表示される「TCL」ロゴの、背面の黒さが全然違う。
メニュー画面でも色の鮮やかさと濃さがはっきり違っていて、正直びっくりしました。

Q7Cも十分綺麗だと思っていたのですが、並べてしまうと液晶テレビらしい色味の淡さ、白っぽさがあるんですよね。
一方のQ7D Proは液晶っぽくない。
どちらかといえば有機EL寄りの映像になっていて、それでいてものすごく明るくできるし、明るくしても色が濃い。
意外だったのが地上波の映像です。
地上波の映像って、元々そんなに綺麗ではないはずなんですけれども。
色が濃くなってノイズも減っているような気がする。
おそらく新しいTSR AiPQプロセッサーが、AIでリアルタイムに補正しているのではないかなと。
今回の比較は検証の都合で明るさの自動調整をオフにして、輝度をMAXにしていました。
ただ、暗い部屋で明るさMAXのまま見る人はいませんよね。
スマホと同じで、日常では輝度が下がった状態で見ることの方が多いはず。
Q7D Proは輝度を落としても色がしっかり濃いので、この日常側の見え方が確実に良くなっています。
ハロー現象も、かなり抑え込まれていました。
ハロー現象は明るい部分の周りにうっすら光が滲む現象で、Mini LEDが苦手としてきたところ。
夜景や宇宙のシーン、ホラーゲームでも、黒はしっかり黒く、輪郭も滲まずに表示できています。

暗い部屋で有機ELテレビと並べても見比べてみました。
Q7D Proは暗所でも有機ELに見劣りせず、色が濃くて綺麗に見えてしまう。
ただ、しっかり見比べれば黒の黒さは有機ELの方が上です。
画素そのものを消せる有機ELの強みは、ここだけは動かない。
斜めから見ると、Mini LEDは少なからず白っぽくなります。
角度が急になるほど色は薄くなっていく。
液晶パネルをバックライトで後ろから照らす構造上、多少の光漏れは仕方ないかなと。
低反射パネルという地味な進化
映像そのものより、モニターとして使ううえで効いたのは反射の方でした。
液晶テレビは映像の綺麗さを優先して、光沢のあるグレアパネルが主流だったんですよね。
グレアパネルは表面が平滑で光の散乱が少なく、そのぶんコントラストが高く色鮮やかに見える。
ただ、明るい場所では鏡のように反射して、蛍光灯も窓も自分の顔も映り込む。
これがPCモニターとして使ううえで、結構致命的だったわけです。
Q7D ProはHVA 2.0 Proパネルにアンチグレア処理が入っていて、明るい場所で見ても画面の黒い部分は黒いまま。
Q7Cと並べれば、その違いは一目で分かります。
反射が少なければテレビ側の明るさも抑えられるので、目も疲れづらくなった気がしています。
テレビがモニターとして使えるようになった理由は、この反射の少なさが一番大きいと思っています。

テレビをモニターにする利点
では、テレビをモニターにすると何が嬉しいのか。
昔の私なら「大きいだけでしょ」と答えていました。
実際に1〜2ヶ月使ってみると、大きさから来る利点と、テレビだから付いてくる利点は別物だと分かってきます。
27インチ4枚分の作業領域
55インチ4Kの物理サイズは、横が約122cm、縦が約68.5cm。
多くの人が慣れている27インチモニターは、横が約60cm、縦が約33.6cm。
つまり55インチは横も縦も27インチのちょうど2倍で、面積では4倍になります。


そして解像度よりも重要なのがPPI、画面1インチあたりのピクセル数です。
55インチ4Kは約80PPI。
27インチフルHDが約82PPIなので、27インチフルHDを4枚並べたものと考えると文字サイズの感覚がつかめます。
参考までに、27インチWQHDが約110PPI、32インチ4Kが137PPIで、32インチ4Kを125%スケーリングすると110PPI相当になる。
デスク上の近距離で使うなら、この110PPIあたりがバランス最良というのが私の持論です。
ただ、それはあくまで近距離の話。
少し離れた位置で使う大画面なら、PPI 80くらいの大きめの文字がちょうど良いとも感じています。
表示領域が増えるほど、近い距離では視界に入らなくなって距離が必要になる。
かといって距離を取れば、今度は文字が見えづらくなる。
その両方が釣り合ったのが、私の場合は眼前1メートル前後のPPI 80でした。
まぁ、老眼が進行しまくっているのもあるんでしょうけど、目は近くを見るほど調整力を使いますからね。
少し離れた大きな文字の方が疲れづらいのは、体感としても確かです。
もう一つ、マルチモニターとの決定的な違いがベゼルの有無です。
繋ぎ目がないと見た目が良いだけでなく、視点の移動そのものが少なくなる。
画面がフラットだからか、1枚の映像として認識できるからか、そこは自分でもよく分かっていないのですけれども、目が疲れづらい気もしています。
ケーブルは電源と映像の2本だけ。
55インチなのに約12kgと軽いので、設置の手間も最小限で済みます。
画面分割で複数モニターにする
このシームレスな1枚を活かしてくれるのが、画面分割アプリの進化です。
ウルトラワイドやスーパーウルトラワイドが普及したことで、ソフトウェア側も追いついてきました。
WindowsならFancyZones、MacならMagnet。
以前は上下4分割や、頑張っても縦3分割くらいにしかできなかったのが、今は事前に設定したゾーンへ自由に振り分けられます。
27インチを横に2枚並べたデュアル配置にしたり、中央で作業しながら左右に資料やAIツールを置くトリプル配置にしたり。
動画編集のときは、スーパーウルトラワイドのように横長1面で使う。
作業内容に合わせて瞬時に切り替えられるのが、大画面テレビならではの強みです。
モニター配置って、結局のところ人それぞれなんですよね。
こっちの方が使いやすい、こっちだと疲れる、というのを試しながら探すことになる。
その試行錯誤をPC側のソフトウェアだけで完結できるのは、物理的にモニターを並べ替えるのと比べて圧倒的にラクです。


ゲーミングモニターとしての性能
Q7D Proは4K 144Hz、VRR、MEMC、FreeSync Premium Proに対応。
ゲーミングモニター並みのスペックを、テレビとして持っています。
Nintendo Switch 2やPlayStation 5、Xbox、PCゲームとの相性も抜群。
ALLM対応なのでゲーム機を繋ぐと自動でゲームモードに切り替わるし、入力の切り替えも手元のリモコンで済みますからね。
Mini LEDの強みが出るのは、コントラストの高いゲームです。
HDR映像の爆発エフェクトや夕日のキラキラした表現が、明るい部屋でも沈まない。
全領域ハロー制御技術のおかげで、暗いシーンの多いゲームでも暗所に隠れた小さな光や、奥に潜む敵の輪郭がはっきり出ます。

面白いのがSuperwide Gameviewという機能です。
テレビ側で21:9のウルトラワイド、32:9のスーパーウルトラワイドとして表示できる。
元の解像度が4Kなので、21:9なら3840×1600、32:9なら3840×1080になります。
この解像度がまた絶妙で、5K2KよりGPU負荷が軽い。
ミドルクラスのGPUでも快適に動かせるのが、地味に嬉しいところです。
しかもウルトラワイドは、ただ横長になるだけではないんですよね。
アスペクト比が変わることでゲーム内の視野が広がり、見える位置も見え方も変わる。
最近はウルトラワイド対応のゲームも増えていて、UIも中央寄りになるので、広い映像のまま快適にプレイできます。

そしてMini LEDならではのメリットが、焼き付きのリスクがないこと。
有機ELは遅延や残像感の少なさからゲーミング用途で人気ですが、同じ映像を長時間表示すると焼き付きのリスクがあるし、定期的にリフレッシュも促してくる。
これを消すストレスがないと言ったら、嘘になるでしょう。
有機ELが本当に焼き付くかはさておき、気にせず長時間プレイできる安心感はあります。
有機EL側でどう対策するかは、KTC G32P5のレビューで焼き付き対策として書いています。
テレビが音のハブになる
PCモニターに無くて、テレビにあるもの。
それがHDMI eARCです。
eARCは、テレビに繋いだすべてのHDMI機器の音声を、eARC接続した1台のスピーカーからまとめて出せる機能。
ゲーム機でもパソコンでもブルーレイプレイヤーでもApple TVでも、どれに切り替えても音は同じスピーカーから出ます。
つまりテレビが、映像だけでなく音声のハブとしても機能してくれるわけです。

eARC機能があるPCモニターは、私は見たことがないです。
複数のパソコンを繋いだときのスピーカー問題は、いつも面倒でしたからね。
テレビならWindowsとMacで同じスピーカーを共有できるし、ゲームも映画も地上波も同じ音響で鳴らせる。
複数デバイスを繋ぐ前提のテレビだからこその設計です。
サウンドバーを1本繋ぐだけでDolby Atmosのような立体音響にも対応できますし、私がよく使っているのはAmazon Fire TVとApple TVのワイヤレスホームシアター。
EchoやHomePodといったスマートスピーカーが、そのままシアター用のスピーカーになります。
Echoには三脚穴もあるし、Echo DotやHomePod Mini用の吊り下げマウントもたくさんある。
ダクトレールに吊るせば、音が降り注ぐような環境まで作れてしまう。
Echoをテレビのスピーカーとして使う方法は、Alexaホームシアターの作り方の記事にまとめています。
浮かせて置ける薄さと軽さ
Mini LEDテレビは、ここ数年で薄型化と軽量化が大きく進みました。
Q7D Proは55インチで約12kgしかない。
メタリック調のベゼルレスデザインで画面の縁も細いので、部屋に置いても圧迫感が少ないです。
VESAは300×300mmに対応しているので、壁掛けパーツもモニターアームも選べます。
モニターアーム側もPCモニターの大型化に合わせて進化していて、10kgを超えるモニターを支える高耐荷重モデルが増えました。
VESA 100から200、200から300への変換アダプターも簡単に手に入る時代です。
昔はテレビがVESA固定に対応しておらず、アダプターを自作したりもしていたのですけれども。
賃貸でも、壁紙を傷つけないDIYパーツを使えば壁面固定ができます。
私はアイワ金属のSTAND BARと平安伸銅工業のLABRICOで、賃貸住宅に壁面固定していました。
これだけ大きくて薄いと倒れてくる心配もありますが、壁面に固定するか浮かせてしまえば、その不安も消えます。

テレビ1台で済むと、配線も一気に減ります。
私のパソコンは手のひらサイズのミニPCで、GEEKOMのミニPCなら専用マウントが付属するのでアームに共締めして本体ごと浮かせられる。
サウンドバーをアーム固定してみるのも面白いです。
浮かせればデスクも広くなるし、HDMIケーブルも短く済んで掃除もラクになる。
配線そのものの考え方は、PCデスクとテレビ裏の配線整理の記事に書いています。
壁掛けで効いてくるのが、AIアートやアートギャラリーという機能です。
ベゼルレスの大画面が壁に貼り付くように設置されていて、そこに絵画が表示されている。
Mini LEDの色域とSQDの鮮やかさで、油絵のような立体感も写真のようなリアルな質感も出るので、本物の額装作品みたいに見えるんですよね。
焼き付きのリスクがないので、気軽に流しっぱなしにできるのもMini LEDならでは。
席を立つときやスリープ中に真っ暗にせずアートを出しておけば、作業画面も隠せて部屋の雰囲気も変わります。
一人でわざわざやるかと言われたら微妙なところですが、お客さんが来るときに真っ暗な物体が浮いているよりは全然良い。
こんなものが壁に浮いていたら、話題の一つにはなりますからね。

仕事もゲームもテレビも1台
Google TVの処理速度は相変わらず爆速で、アプリの起動も切り替えもストレスがない。
下手なストリーミングデバイスより、よほどサクサク動きます。
動画アプリは当然として、Steam LinkやPS Remoteのようなストリーミングゲームアプリ、GeForce NOWのようなクラウドゲーミングにも対応。
GoogleのCastだけでなくAppleのAirPlayとHomeKitにも対応しているので、iPhoneのミラーリングやスマートホームのハブにもなります。
地デジ、BS、CSのチューナーも当然入っていて、外付けハードディスクで裏番組の録画までできてしまう。
仕事の合間にリモコンのボタン一発で地上波もBSも見られるし、パソコンを起動せずにニュースをチェックしたり、掃除しながら情報番組を流したりもできる。
このながら見が気軽にできるのは、やはりテレビならではの強みかなと。


そのリモコンがまた便利で、Bluetooth接続なのでテレビに向けなくても操作できます。
YouTube、Netflix、U-NEXT、Amazonプライムビデオ、Disney+、TVerのダイレクトボタンまで付いていて、ワンタッチで起動する。
細かい映像設定も背面パネルを触る必要がないし、入力の切り替えも手元でポチポチ済みますからね。
地味に良いのが、パソコンとテレビでOSが別だということ。
パソコンに作業をさせている間、動画はテレビ側のOSで処理する。
AIに処理を投げている待ち時間に、ボタン一発でYouTubeを開いてドラマを1話見たって良いわけです。
価格は収録時点で55インチが約18万円、65インチが約23万円、75インチが約26万円、85インチが約37万円。
Mini LEDや有機ELの大型モニターだと20万円前後はしますからね。
そこにGoogle TVもチューナーもスピーカーも付いて、メーカー3年保証まで付いてくる。
※価格は変動します。最新の価格や在庫は公式サイトやAmazonでご確認ください。
デメリットと設置のコツ
ここまで良いことばかり並べてきましたが、55インチを買ってデスクに載せれば快適か?と言われると、それは違います。
私も最初の数日は、普通に首が痛くなりました。
大画面テレビは、そのまま置くと確実に疲れるのです。
全画面を使うと確実に疲れる
人間の目には有効視野というものがあって、はっきり認識できる範囲は中央から上下20〜30度、左右30〜50度くらいまで。
特に上方向の視野が狭いので、視線より高い位置を見続けると首も目も疲れまくります。
無理して使い続ければ、終いには体の方が壊れます。
デスクに置くディスプレイは、縦サイズが50cmを超えたあたりから危ない。
16:9の40インチで縦が約50cmで、これが私の経験上の限界の数値です。
それでもちょっと高いくらいなのに、55インチは縦が約68.5cm。
明らかにオーバーしているわけです。
というわけで、この大画面を使ううえで一番大事なのは、全部使おうとしないこと。
人間の目は見ている中心に向かうほど解像度が高くなるので、作業しているウィンドウは視界の真ん中に置いた方が良い。
ただ55インチをデスクに置くと、画面の中央がどうしても高い位置に来てしまう。
そこで私がたどり着いたのが、上側3分の1は使わないという結論でした。

下3分の2という落としどころ
下側だけでも、WQHDやフルHDは余裕で入ります。
下側にWQHD 2560×1440相当の表示エリアを作ると、サイズは約37インチ。
横3840ピクセルのうちWQHDは2560ピクセルなので、左右は1280ピクセルも余る。
フルHDの1920×1080なら、約27.5インチが2枚すっぽり入ります。

下側3分の2のエリア全体で見ると、解像度は3840×1440、物理サイズでは高さ46cm。
モニターに換算すると約51.3インチでアスペクト比24:9になります。
比較対象として分かりやすいのが、49インチのスーパーウルトラワイドです。
あちらは横が約120cm、縦が約34cm。
対して55インチの下側3分の2は、横が約121.5cm、縦が約46cm。
横の解像度こそやや少ないものの、縦は10cm以上も余裕がある。
ウルトラワイドよりやや横長で、スーパーウルトラワイドよりは縦に余裕がある、ちょうど両者の中間くらいの使い心地です。
このエリアをさらに分割すると、一気に実用的になります。
横にきっちり2分割すれば各1920×1440で、約30インチが2枚分。
3分割すれば1280×1440で、約24インチのスクエアモニターが3枚分。
エンタメ用途では横長の方が便利ですが、作業用としてはスクエアの方が、なんだかんだで使いやすいです。
3分割しても横幅は1280ピクセル残るのでウェブサイトはほぼ崩れませんし、Claude CodeやCodexのようなターミナル作業では縦が長く見えて快適ですからね。

余った上側3分の1は、読まなくていい情報の置き場にしています。
SNSや音楽アプリ、AIツールを置いておけば、視線を上げるだけで確認できる。
1枚では持て余しがちだった上の空間が、そのまま情報表示エリアとして活きてきます。
付属スタンドでは画面が高い
表示エリアを下に寄せても、テレビ自体が高い位置にあったら意味がないんですよね。
55インチを付属スタンドで設置すると、スタンド高が約10cmあるので画面の下端がデスクから10cm浮く。
下側3分の2に寄せたところで、上端はデスクから約56cmとだいぶ高くなってしまいます。

そこで活躍するのがモニターアームです。
画面の下端をデスクにベタ付けできるので、表示エリアを限りなく下げられる。
さらに軽く下向きに傾ければ、体感の高さはもう少し下がります。
私が使っているのはErgotronのHXシリーズ。
価格は4〜5万円とちょっと高額ですが、19.1kgまで対応する重量級のモデルです。
ただしHXは標準でVESA 200までの対応なので、Q7D ProのVESA 300に取り付けるにはVESA変換プレートが別途必要になります。
これは2,000円くらいで手に入るものです。
アームそのものの選び方はエルゴトロンのLX、HX、MXを比較した記事に書いているので、迷っている方はそちらもどうぞ。


視距離90cmをどう稼ぐか
高さを下げても、大画面ならではの問題がもう一つ残ります。
それが視聴距離です。
大きいものを近くで見れば、どうしたって疲れますからね。
視野は上下左右に広がっているので、画面から離れるほど視界に収まる範囲は広くなる。
有効視野を左右50度、上下30度と仮定して計算すると、無理なく視界に入る縦の高さは、目から画面までの距離のだいたい半分。
逆算すると、必要な距離は見たい高さのおよそ1.9倍になります。
| 視距離 | 無理なく収まる縦の高さ |
|---|---|
| 60cm | 約32cm(27型相当) |
| 75cm | 約40cm(32型相当) |
| 90cm | 約46cm(55型の下3分の2) |
| 128cm | 約68.5cm(55型のフル画面) |
下側3分の2の高さ46cmを快適に使うなら、視距離は90cmくらい欲しいという計算になります。
面白いのが、この90cmという数字がもう一つの条件とも重なることです。
55インチ4KのPPI 80という文字サイズは、デスク上の至近距離だとドットの粗さが目についてしまう。
それが90cmくらい離れると粗さは気にならず、文字は無理なく読める大きさで残る。
視野に収まる距離と文字が読める距離が一致するのが、下3分の2運用のいちばん美しいところなのです。
サイズと解像度の考え方そのものは、仕事に最適なモニターサイズと解像度の記事にまとめています。
問題は、その90cmをどう稼ぐか。
奥行き60〜70cmの一般的なPCデスクでは、正直厳しいです。
一つはモニターアーム。
画面を奥側にグッと逃がせるので、デスクの奥行きが足りなくても距離を確保できます。
スタンド設置と違って、デスクの端ピタピタまで下げられますからね。
もう一つは、PCデスクを使わないこと。
私はかれこれ10年以上、ダイニングテーブルをデスクにしています。
PCデスクはデスク高も高めで奥行きもなく、余計な付属品が付いて無駄に高額なものも多い。
頑丈な天板と頑丈な脚さえあれば良いと思っているので、10年以上前にニトリのアウトレットで2〜3万円で買ったダイニングテーブルを、スタンディング脚に交換して今も現役で使っています。
デスクそのものを作る話は、電動昇降スタンディングデスクを自作した記事に書いています。
デスクを分ける手もあります。
デスクを1台しか使ってはいけないなんて誰も決めていないので、2つ並べて奥行きを稼いでも良いし、テレビだけ別の棚に置いても良い。
モニターを置くデスクとキーボードを置くデスクを分けてしまえば、視距離は一気に稼げます。
注意したいのが、デスク下に引き出し式のキーボードトレイを付ける方法です。
距離は稼げるのですが、キーボード位置が下がるぶん相対的に画面が高くなるので、首の負担はむしろ増えかねません。
あと、間違ってもデスクシェルフは置かないこと。
ディスプレイワークにおいてデスクシェルフを置く意味があるのかは、以前の動画とデスクシェルフDIYの記事で詳しく書いています。
テレビ設定のままだと明るすぎる
テレビは離れて見る前提なので、輝度が最初から高めに設定されています。
初期設定のまま近距離のPCモニターとして使うと、明るすぎて確実に目が疲れる。
部屋の明るさに合わせて自動で輝度を調整するモードも、基準はテレビ用なのでオフにした方が良いです。
Q7D Proには映像モードがいろいろ用意されていますが、パソコンモードもゲームモードも過信せず、自分で調整した方が良いですね。
私はPC作業なら輝度10〜20%くらいまで下げています。
間接照明で作業するような環境では、0%にしていることもある。
パソコンゲームも近距離では明るすぎるので、輝度を下げて色味も少し触ります。
ゲーミングモニターと違ってリモコンで操作できるので、調整そのものはむしろラクですからね。

目の疲れにこだわるなら、部屋の照明も見直した方が良いです。
ノングレアとはいえテレビなので、明るい照明や窓からの直射日光は少なからず反射する。
そもそも明るい部屋で明るい画面を見ること自体が疲れますからね。
ディスプレイの裏や周辺に間接照明を仕込んで、画面と部屋のコントラストを下げると、輝度を落としたまま見やすくなります。
もちろん私はPhilips Hueです。
PCモニターの機能は無い
細かいところでは、PCモニターに当たり前に付いている機能がテレビには無いという弱点もあります。
入力は基本的にHDMIのみで、DisplayPortは非対応。
USB Type-C接続にも対応していないので、USBケーブル1本でPCと繋ぐこともできません。
USBハブ機能もないし、テレビからPCへ給電することも不可能です。
MacBookとケーブル1本で繋ぐ運用の人は、ここは要注意ですね。
まぁ、ドッキングステーションを使っている人も多いでしょうし、ミニPCやMac miniを愛用している私は全く困っていないのですけれども。
こんな人におすすめ
・マルチディスプレイの配線とベゼルと設置場所にうんざりしている方
・仕事とゲームとテレビ視聴を1台で完結させたい方
・奥行きのあるデスクや壁掛けで、視距離90cmを確保できる方
・複数のPCで同じスピーカーを使い回したい方
逆に、奥行き60cmのデスクしか置けない環境や、USB-C 1本接続が必須のノートPC運用の方には向きません。
無理に置いても首が痛くなるだけなので、そこは素直に32インチあたりのモニターを選んだ方が幸せかなと。

Q7D Proレビューまとめ
そもそも私がこれを始めたのは、我が家がゴタゴタしているタイミングでの応急処置でした。
モニターを引っ張り出すのが面倒で、そこに置いてあったテレビでやってみただけ。
それが思ったより快適で、むしろこっちの方が良いのではないかとやり始めたら止まらなくなって、今に至ります。
Q7D Proは、テレビとしての完成度はもちろん、PCモニターとしてもゲーミングモニターとしても普通に使えるスペックを持っていて、それで価格は据え置き。
55インチ約18万円で、モニター3枚分の作業領域とテレビとGoogle TVと音のハブがまとめて手に入ります。
モニターを置くスペースまで要らなくなるので、一石三鳥どころではないなと。
ただ、大画面だからといって、その表示領域を真に受けて全部使ってはいけない。
これは大画面テレビに限らず、ウルトラワイドもスーパーウルトラワイドも同じことです。
効いてくるのは画面サイズでも解像度でもない。
見る位置と、文字のサイズ。
その文字を無理なく見続けられるかどうかが、全部を決めます。
下3分の2に寄せて、視距離を90cm取って、輝度を下げる。
この3つさえ守れば、これほど万能でコスパの高いモニターも他にないんじゃないかなと。
テレビって、ホテルにも友人の家にも実家にも置いてありますからね。
モニターがない場所でノートPCの小さい画面に張り付くくらいなら、そこにあるテレビを使った方が圧倒的にラクです。
テレビはもう、テレビだけのものではないのです。

▶ 実際の映像比較は動画で詳しく解説しています → YouTubeで見る
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