- 合体してゲーミングPCにもなる唯一無二のドッキングPC
- 単体運用のコスパは微妙で、他社ミニPCやMacに分がある
- メインPCを持ち運ぶ人向けで、いま買うならMind 2以降
ミニPCを選ぶ基準って、普通はスペックとコスパですよね。
同じ値段で、どれだけ性能を積めるか。
GEEKOMやBeelink、Minisforumといった各社が、その一点でしのぎを削っている世界です。
ところが、そのモノサシが全く通用しないミニPCがあるのです。
それが、Khadas Mind。
厚さ2cmのカード型ボディなのに、拡張ユニットと「合体」してゲーミングPCに変身する。
ファミコンのディスクシステムとか、メガドライブのメガCD的なアレです。
私はこのKhadas Mindを、専用ドックのMind Dock、外付けGPUのMind Graphicsまで含めて使い倒してきました。
先に結論を言うと、単体で買うと微妙なのに、合体させると唯一無二。
そういう不思議なPCです。
実際の合体の様子や、ゲームが動いている画面は動画で見られます。
カチッとハマる瞬間のテンションの上がり方は、文字では伝わらないので。
Khadas Mindとは
Khadasは、2014年に深センで設立されたShenzhen Wesion Technologyのブランドで、2016年に本格始動。
もともとシングルボードコンピューターの分野で実績があり、GoogleやIntelと協業してきたメーカーです。
そのKhadasが「Mindエコシステム」を引っさげてPC市場に出してきたのが、このKhadas Mind。
Kickstarterでは約70万ドルを調達しています。
レビューしたのは、初代Mind(Mind 1)のプレミアムモデルです。
| CPU | Intel Core i7-1360P(第13世代) |
|---|---|
| メモリ | 32GB(オンボード・増設不可) |
| SSD | 1TB(M.2 2230・換装可) |
| サイズ | 厚さ約2cm・カード型 |
| 重量 | 約450g |
| ポート | USB-C×2・USB-A×2・HDMI×1 |
| 無線 | Wi-Fi 6E |
| 給電 | USB Power Delivery 65W |
| 内蔵バッテリー | 5.55Wh(スタンバイ用・最大25時間) |
| 保証 | 2年 |
数字だけ見ると「ちょっと高級なミニPC」なんですが、本体の底面には「Mind Link」という専用コネクタがあります。
ここに拡張モジュールを合体させると、全く別のPCとして使える。
これがKhadas Mindの正体です。

使って感じたメリット3つ
実際に使ってみて良かったところは、大きく3つでした。
薄くて見た目が良い
Khadas Mindは、一見すると外付けHDDケースです。
一般的なミニPCの「箱」ではなく、厚さわずか2cm、重量約450gのカード型。
iPhoneよりは大きく、iPad miniよりは小さい。
ちょっと大きなスマホみたいなサイズ感です。

筐体はアルミ製で、質感はホントにApple製品みたい。
Mac miniと比べても、だいぶ小さい。
片手サイズで薄いから、限られたデスクスペースにもスッと置けます。

で、このサイズなのに中身は第13世代Core i7+メモリ32GB+SSD 1TB。
Cinebenchのスコアは、マルチで9000点オーバー、シングルでも1500点超え(私の実測)。
高速なM.2 SSDで読み書きも速く、マルチタスクも余裕。
日常作業には十分すぎる性能です。
Wi-Fi 6E対応で通信も速いので、クラウドストレージやNASとのデータ同期もスムーズ。
このサイズでWindowsがサクサク動くってだけで、正直ロマンなんですよね。

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スリープごと運べる
ミニPCって、本体は小さいのに電源アダプターがやたらデカい問題があります。
Khadas MindはUSB Power Delivery対応なので、65WのUSB充電器さえあれば動く。
PD対応モニターからなら、ケーブル1本で映像出力と給電が同時に賄えます。
配線もスッキリするし、持ち出すときにアダプターを持ち歩かなくて良いわけです。

さらに面白いのが、5.55Whの内蔵バッテリー。
これはPCを駆動するためのものではなく、データを保護するためのもの。
いわゆるUPS(無停電電源装置)的な役割で、電源が切れてから最大25時間スタンバイできます。
急な停電やコンセント抜けでも、作業中のデータがぶっ飛ばずに安全にスリープしてくれる。
そしてこのバッテリーの真価は、拠点間の移動です。
家とオフィスの行き来も、スリープのまま持っていける。
着いたらケーブル1本挿すだけで、さっきの作業の続きから再開。
「デスクトップPCを気軽に持ち運べる感覚」と言えば伝わるでしょうか。
ただ小さいだけの据え置きPCではなく、持ち運ぶことまで設計されているのです。

合体で別のPCになる
そして、Khadas Mind最大のメリットがドッキングシステム。
本体を拡張モジュールと合体させることで、全く別のPCになります。
たとえば「Mind Graphics」とドッキングすれば、ゲーミングPCに変身。
やることは、カチッと固定するだけ。
この時点でだいぶテンションが上がる気持ち、共感していただけますでしょうか。
若い頃、ディスクシステムやメガCD、PCエンジンのCD-ROM²にワクワクした、あの感覚です。

ノートPCでもなく、ミニPCでもなく、デスクトップでもない。
Mac miniともSteam Deckとも別物の、全く新しいコンセプトのドッキングPC。
比較対象がいない、唯一無二の存在なのです。
気になったデメリット3つ
もちろん、良いところばかりではありません。
単体だと微妙
まず、Mind本体だけで使うなら割と微妙です。
というのも、薄くて小さい代償として、拡張性が犠牲になっている。
ポートはUSB-C×2、USB-A×2、HDMI×1の合計5つのみ。
イヤホンジャックもスピーカーも内蔵していません。
ドッキングしないなら、MacBook並みにポートが少ないマシンです。

本体の拡張性もほぼゼロ。
メモリはオンボードで後から増設できず、SSDは換装できるものの長さ30mmの2230サイズ限定。
普及している2280サイズが使えないので、SSDのコスパも悪くなりがちです。

極薄筐体ゆえに、排熱の不安もつきまといます。
普段使いなら問題ないものの、スペック検証をしまくれば本体はけっこう熱くなる。
重い処理を毎日ぶん回す使い方は、私はこの薄型ではやりたくないのが本音です。
まぁ、この辺りはノートPCも同じで、コンパクトさとのトレードオフですね。
ちなみに、見た目からMac miniと比較されがちですが、使い勝手はだいぶ違います。
Mac miniはType-C×5(うちThunderbolt 4×3)でUSB-Aに困るのに対し、Khadas Mindとその拡張ドックはUSB-AとHDMIが多くて、Type-Cが少ない。
手持ちの周辺機器がどちらに寄っているかで、快適さが変わります。

コスパでは選べない
Khadas Mindは、コストパフォーマンスで買う製品ではありません。
収録時点(2025年3月)の価格感で言うと、本体が700〜800ドル、Mind Dockが179ドル、Mind Graphicsが1000〜1100ドル。
本体にMind Dockを足して合計1000ドルと見積もって約15万円、Mind Graphicsを含むフルセットだと2000ドル前後で、日本円だと25〜30万円コースでした。
同じ金額を出せば、ワンランク上のグラボを積んだゲーミングPCが買えてしまう。
そもそもゲームをやらないならWindowsである必要もなく、M4 Mac miniという強力な選択肢もあります。
Thunderboltなら映像出力と給電が確実に使えるし、M4 Mac miniの完成度はホントに高いですからね。
ドッキングに魅力を感じないなら、他社ミニPCかMacを買った方が幸せです。
新興メーカーのクセ
Khadasブランドは2016年本格始動と、PCメーカーとしてはまだ新しい。
老舗メーカーに比べると、保証やサポートの体制は未知数です。
実際、マニュアルの日本語訳には怪しい部分があるし、専用アプリのインストールが必要だったり、スリープ復帰がうまくいかなかったり、ドックを認識しなかったり。
細かい不具合や戸惑うポイントが「ないといえば嘘になる」レベルにはあります。
もちろん、怪しいメーカーではありません。
GoogleやIntelとの協業実績があり、製品保証も2年と長め。
Mind 2、Mind 2Sと新製品も順調に出ていて、エコシステムは続いています。
ただ、尖った製品であることは間違いないので、サポートの手厚さを最優先するタイプの人は、やめた方が良いです。
Mind Dockレビュー
Mind Dockは、I/Oポートを拡張する専用ドッキングステーションです。
背面に2.5GbE LAN、HDMI 2.0×2、USB 3.2 Gen1×2、給電用USB-C。
フロントにUSB-A、ヘッドホンジャック、SDカードリーダー。
さらに指紋認証、音量ダイヤル、ステレオスピーカーまで内蔵した「全部入り」です。
手前にSDカードリーダーがあるのは、地味に嬉しいポイント。

電源はMind本体と共通の65W USB PDで、Dock経由で本体にも給電されるので配線も増えません。

最大の難点は、USB-Cポートが増えないこと。
Dock側のUSB-Cは給電専用で、映像出力やデータ転送には使えず、使えるUSB-Cは本体側の2つのみのまま。
HDMIも2.0止まりで最大4K60Hzなので、4K120Hzのような高リフレッシュレート出力は本体側のUSB-Cから直接つなぐ必要があります。
Type-C接続のモニターを使っている場合は、ドッキングするたびに本体側へケーブルを挿し直す手間も増える。
GeForce NOW Ultimateで4K120Hzのクラウドゲーミングができるだけに、ここはちょっと惜しいところです。
Mind Graphicsの実力
Mind Graphicsは、一言で言うと外付けGPU+ドッキングステーションが合体した製品。
中身はGeForce RTX 4060 Tiで、ポートはHDMI 2.1a×2、DisplayPort 1.4a×1。
どれも8K60Hzや4K240Hzまで出力可能で、USBポート、2.5GbE LAN、SDカードリーダーも使えます。
10Wステレオスピーカーと指紋リーダーも内蔵。
これだけ積んで約2.6kgの超スリムボディなので、「持ち運べるサイズのゲーミング環境」が一瞬で手に入るわけです。
Mac Studioと比べても、だいぶ小さいですからね。
インテリアとして置いても違和感がない見た目も、カッコよい。


肝心のGPU性能は、サイバーパンク2077がフレーム補完ONで4K高画質かつ高フレームレートで動くレベル。
これには私も驚きました。
ただ、モンハンワイルズや黒神話:悟空のような最新AAAタイトルの4K最高設定は、ちょっと厳しい。
まぁ、言ってもRTX 4060 Tiですからね。
設定を落とせば最新タイトルも十分楽しめます。

個人的に最高だったのは、クラウドゲーミングとの補完関係。
私はAAAタイトルはGeForce NOWで遊んでしまうので、クラウド非対応のマイナータイトルやインディーズゲームをローカルGPUでしっかり動かせるのが、素晴らしいのです。
→ 関連記事:Steam Deck OLEDレビュー
気になった点もあります。
電源ボタンがなく、電源を挿すと常に待機状態になること。
合体するときは一旦電源を落としてから接続した方が、不具合がなく安心です。
スピーカーの音はポータブルオーディオレベルなので、私はスピーカーはBluetooth、ヘッドホンはUSB DAC経由。
オーディオ端子がフロント側にあるのも、私は背面に欲しかったところ。
グラボの換装もできないので、拡張性はありません。
この辺もコンパクトさとのトレードオフです。
価格は、日本での市場価格が15万円程度(収録時点)となかなかの金額。
ただ、RTX 4060 Ti単体の相場が約6万円、ドッキングステーションが3〜4万円と考えると、外付けGPUケースや電源、スピーカー分まで含めて、そこまで悪くない価格かなとも思いました。
私の使い方:メインPCを持ち運ぶ
Khadas Mindの本質は「サブPCを各拠点に置く」のではなく「メインPCを持ち運んで各拠点で使う」ことです。
かくいう私も、メインPCを持ち運びたいがために、MacBookをハイスペック構成にしていた時期がありました。
でも結局、家でも仕事場でもクラムシェルでしか使わない。
バッテリーもディスプレイも要らないのに、全部入りの高額ノートを買って、故障リスクだけ抱えている。
その反省から、各デスクにMac miniやMac Studioを置いて、同じアプリを全部にインストールし、データはクラウド同期+外付けSSDで運用してきました。
Khadas Mindなら、この仕組みが本体1台で解決します。
メインデスクにMind Graphicsを置いておけば、がっつり作業もゲームもこなせる高性能PC。
自宅にMind Dockを置いておけば、ドキュメントワーク用PC。
本体を移動してカチッと合体するだけで、環境ごと切り替わる。
PCごとのアプリ設定の手間も、インストール台数制限も関係なくなるわけです。

ドックがない場所でも、USB-C対応モニターならケーブル1本でモニターがドック代わりになります。
スーパーウルトラワイドモニターもケーブル1本、ウルトラワイドのデュアルでもケーブル2本。
XRグラスをつないで超コンパクト環境を作ることもできるし、やろうと思えば65Wのモバイルバッテリーだけでも起動できる。
デスクの上からディスプレイが消えるので、広いデスクで書類を広げたいときにも役立ちます。

ちなみにXRグラスって、基本ミラーリングなんですよね。
ノートPCだと手元のディスプレイ側を見られないように工夫する必要があったりと、没入できるからこそ気をつけなければならない。
いやホント、私はMacBookでXRグラスを使わなくなりましたからね。
その点、ディスプレイレスのKhadas MindはXRグラスと相性が良いのです。
プロジェクターにHDMIでつないで、大画面でプレゼンや映画、ゲームという使い方もアリです。
GeForce NOW Ultimateなら本体のGPU性能に関係なく、Wi-Fi 6Eのワイヤレスで4Kゲームがヌルヌル動く。
この小さい筐体で大画面の4Kゲームが動く未来感、ゾクゾクします。

あと、Mac使いにこそ刺さる小ワザがひとつ。
Mind系はUSB-Cが少ない代わりにHDMIが豊富なので、モニターのType-C入力はMacに、HDMI入力はKhadas Mindに割り当てれば、同じモニターをMacとWindowsで共有できます。
Windows環境にサッと切り替えられるのは、思った以上に便利でした。

2026年のラインナップ状況
私がレビューしたのは初代Mind(Mind 1)ですが、収録後もMindエコシステムは順調に拡大しています。
本体だけでも、2026年7月時点で4世代あります。
| CPU | 特徴 | 状況(2026年7月時点) | |
|---|---|---|---|
| Mind(初代・レビュー機) | Core i7-1360P(第13世代) | 約450g・Wi-Fi 6E | 旧世代 |
| Mind 2 | Core Ultra 5 125H/Ultra 7 155H | 435g・Thunderbolt 4対応 | 現行。Amazonで11万円台〜 |
| Mind 2S | Core Ultra 7 255H | Mind 2の上位・最大64GB/2TB | 現行 |
| Mind Pro | Core Ultra X9 388H+Arc B390 | 約562g・単体でGPU性能大幅強化 | 2026年発表の最新世代(約1,800ドル〜) |
モジュール側も進化しています。
外付けGPUは、RTX 5060 Ti(16GB)を積んだ「Mind Graphics 2」(1,349ドル)が2026年に登場。
収録時点では「今後登場予定」だった「Mind xPlay」(合体してノートPC型になる13インチディスプレイ)も、実際に発売されました。
動画のまとめで「Mindエコシステムが普及するほど面白くなるはず。応援したい」と言ったのですが、その期待どおりに製品が増え続けているのは、素直に嬉しいところです。
モジュールが増えれば、ドッキング先を入れ替えたり、複数のMindを家族で使い分けてDockだけ共有したり、という使い方も見えてきます。
これから買うなら、本体はMind 2以降が前提。
初代Mindのレビューである本記事の「単体だと微妙、ドッキングしてこそ」という結論は、ポート構成が実質変わっていない現行世代にもそのまま当てはまります。
※価格やラインナップは変動が速いジャンルです。最新情報は公式サイトやAmazonでご確認ください。
Khadas Mindまとめ
Khadas Mindは、ドッキング前提のPCです。
普通のPCとして使うのが目的なら、他社ミニPCの方がコスパは高い。
これが半年使った上での、忖度なしの結論です。
それでも、薄さ2cm、約450gの本体が、USB充電器1つで動き、スリープのまま持ち運べて、合体すればRTX 4060 TiのゲーミングPCにもなる。
こんなPC、他にありません。

パソコンってどうしてもスペックで比較しちゃうんですけど、結局のところ、「これ使ってみたい」と思えるか。
所有欲を満たしてくれるか。
ドッキングしてどう使おう?どこに何を置こう?と考えている時間、私はけっこう楽しかったですからね。
そこに魅力を感じる方には、ぜひ触ってみてほしい一台です。
刺さるのは、家とオフィスなど複数拠点で「同じメインPC」を使いたい人や、モニターやXRグラスなど映像を映す手段をすでに持っている人、そして合体ギミックにロマンを感じる人。
ゲームをやらないならM4 Mac mini、単体で完結する超小型が欲しいならGPD MicroPC 2という路線もあります。
※価格や在庫は変動します。最新情報は公式サイトやAmazonでご確認ください。
▶ 合体の実際の様子やベンチマーク、デスクセットアップは動画で詳しく解説しています → YouTubeで見る
チャンネルではデスクセットアップやホームシアター、賃貸DIYのレビューを続けています。
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P.S.
最近のミニPCは、ホント進化しています。
ミニPCで日常業務がこなせるのは、もう当たり前。
クラウドとAIの進化で、「パソコン」というものの考え方自体を改めないといけない時期に来ているなと。
私のデスク環境もめまぐるしく変わっていますので、その辺の話はまた別の機会に。

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