健康診断のお知らせが来る季節がやってまいりました。
毎年の事とはいえ、イマイチ手続きが理解できず、
毎年、協会けんぽや健診機関とのやり取りで、無駄に時間を費やすという。
健康診断って35歳未満でも受けられるし、受けさせないと不味いのですね。
従業員を雇っている代表者だけでなく、
代表者本人も関わってくるから。
調べてみたら色々と知らなかったので、気づいた点をまとめておきます。
雇用者は健康診断を受けさせる義務が有る
事業者は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して、
医師による健康診断を実施しなければなりません。
雇い入れの時だけでなく、毎年1回は受けさせなければダメ、
その費用も雇用主(会社)が全額負担しなければなりません。
対象となる従業員は、1年以上雇用予定のフルタイムの人。
アルバイト(パートタイムジョブ)は対象外でOK。
パート労働者等の短時間労働者が「常時使用する労働者」に該当するか否かについては、平成19年10月1日基発第1001016号通達で示されています。その中で、一般健康診断を実施すべき「常時使用する短時間労働者」とは、次の(1)と(2)のいずれの要件をも満たす場合としています。
(1)期間の定めのない契約により使用される者であること。なお、期間の定めのある契約により使用される者の場合は、1年以上使用されることが予定されている者、及び更新により1年以上使用されている者。(なお、特定業務従事者健診<安衛則第45条の健康診断>の対象となる者の雇入時健康診断については、6カ月以上使用されることが予定され、又は更新により6カ月以上使用されている者)
Q16.一般健康診断では常時使用する労働者が対象になるとのことですが、パート労働者の取り扱いはどのようになりますか? | 東京労働局
(2)その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上であること。
実施するのが義務なので、
健康診断を実施しない場合は、50万円以下の罰金刑も有るってよ。
50万円以下の罰金刑
(1) 安全管理者、衛生管理者等を選任しなかった場合
国際安全衛生センター|日本の労働安全衛生法及び関係規則等の概要 13. 罰則 Penalty Provisions(Japanese Version)
(2) 個別・型式検定に合格していない機械等に虚偽の表示をした場合
(3) 雇い入れ時の安全衛生教育を行なわなかった場合
(4) 定期健康診断、特殊健康診断を行なわなかった場合
(5) 労働基準監督官、安全・衛生専門官の立ち入り調査を拒否し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述を行なった場合
(6) 労働基準監督署長等から報告を求められたことに応ぜず、また、出頭を命ぜられたのに出頭しなかった場合
(7) 記録の備え付け、保存義務がある事項について備え付け・保存していなかった場合
まぁ、健康を害して死んじゃう方が怖いので、
健康診断は受けたいし、受けさせたいのですけど。
35歳以上は「協会けんぽ」から費用補助が有る
健康診断って、35歳で一つの区切り。
何で35歳以上なのか?ってのを理解するにも時間がかかりましたので。
「全国健康保険協会(協会けんぽ)」が、
35歳以上の被保険者に健康診断の費用補助してるだけであって、
35歳になると、「生活習慣病予防検診(一般検診)」が、格安に受けられるって話。
だから、35歳未満の健康診断については、
「協会けんぽ」に問い合わせても意味が無い。
上述したように健康診断は、35歳未満でも受けさせないとダメ。
「労働安全衛生法に基づく定期健康診断(法定検診)」は、どこでも受けられる。
ただ、健康診断は保険適応外なので、
35歳以上の一般検診に比べると、自己負担(雇用主負担)が大きくなる。
35歳未満でも、一般検診と同様の検査は受ける事は可能だけど、
35歳未満の場合は、費用補助が無いので・・・
結果、全額負担でも安い「法定検診」を選ぶわけ。
一般検診、法廷検診、定期健診と、名前が似ているし、
使う人次第で、呼び名も変わるから混乱。
こっちは健康診断って覚えてるから、尚更ややこしいと感じたわ。
健康診断の名称の違い
- 生活習慣病予防健診=一般検診
- 労働安全衛生法に基づく定期健康診断(法定検診)=定期健康診断(定期健診)=企業健診=事業者健診
一般的な健診を、一般検診って言ってる医療機関も有るので・・・
まぁ、この辺はホント統一してくれた方が助かりますね。
35歳以上(協会けんぽ)の健康診断料金と種類
繰り返しますが、「協会けんぽ」で補助が出るのは、35歳以上が対象です。
基本的には、「生活習慣予防検診」と呼ばれる一般検診がベースとなってます。
女性の場合のみ、2年に1回20歳から「子宮頸がん検診(単独)」を受けられますが、
あくまで子宮頸がんのみなので、一般的な健康診断には該当しません。
協会けんぽで受けられる健康診断の種類と料金
対象者(年齢) | 自己負担額 | 補助額 | |
---|---|---|---|
一般健診 | 35歳~74歳 | 最高7,038円 | 最高11,484円 |
付加検診 | 一般健診を受診する方のうち 40歳及び50歳 |
最高4,714円 | 最高4,714円 |
子宮頸がん検診(単独受診) | 20~38歳の偶数年齢の女性 | 最高1,020円 | 最高2,041円 |
乳がん・子宮頸がん検診 | 一般健診を受診する方のうち 40歳以上の偶数年齢の女性 |
50歳以上:最高1,066円+最高875円 40~48歳:最高1,655円+最高875円 |
50歳以上:最高2,487円+最高2,041円 40~48歳:最高3,863円+最高2,041円 |
肝炎ウイルス検査(任意) | 35歳以上で検査を希望される方。 | 最高612円 | 最高1,429円 |
特定健康診査 | 40歳~74歳の被扶養者 (被保険者の家族) |
原則なし | 最高10,000円 |
35歳以上の従業員が居るなら、
毎年一人あたり、7,038円の健康診断費用が必要となるわけです。
35歳未満の場合は、また話が違います。
35歳未満(法定検診)の健康診断料金と種類
35歳未満の場合、「協会けんぽ」は関係有りません。
勝手に法定検診を行っている医療機関へ連絡して、健康診断を受けば良いだけ。
健康診断は、保険も効かないので、保険証も関係無し。
料金健診機関により異なるし、現地支払いが基本となります。
35歳未満と35歳以上の健康診断が同時に受けられるかどうか?
これも、健診機関側の問題なので、協会けんぽに聞いても無駄です。
健康診断の一般的な費用ですが、
一般検診と同等の生活習慣病健診となると、約2万円前後とられるので、
1万円前後の法定検診(定期健診)を利用するのが一般的。
私が利用した「船員保険健康管理センター」では、
35歳未満で補助が無い場合、生活習慣病予防健診の費用は18,501円。
一般的な健康診断となると、9,180円の「法定検診B(労B)」になるとのことでした。
※参考→労働安全衛生法に基づく各種健診|横浜の船員保険健康管理センター
健康診断の代表的なもので、人間ドックも有りますが、
こちらは、安く手も約5万円と超高額。もちろん保険は効きません。
人間ドックは、法的に受ける義務もなく、
福利厚生費として処理するには、従業員も同様に受けさせる必要が有るので・・・
役員だけの会社の場合、損金計上は難しいでしょう。
金額も高いですからね。
「協会けんぽ」へ健康診断を申し込む方法
健康診断で、一番厄介なのが申し込み方法。
協会けんぽで、健康診断を行うわけでは無いので、
健康診断を行う施設(健診機関)で予約してから、
協会けんぽへの申し込み手続き必要になります。
健診機関へTEL → 協会けんぽに申込書を郵送 → 健康診断受診
協会けんぽへ連絡せずとも健康診断は受けれますが、
連絡しなければ、全額負担で健康診断を受けるだけになるっていう。
※令和2年4月より、協会けんぽへの連絡は不要となりました。
→申込書の廃止について(生活習慣病予防健診) | 健診・保健指導 | 全国健康保険協会
インターネットでも、協会けんぽへの申し込みができるようにりましたが・・・
健診機関への予約は別途必要だし、ユーザーID申請も必要で、かなり微妙。
WEBブラウザもInternet Explorer 11っていう、相変わらずの古臭いシステム。
※参考→情報提供サービスの概要 | 申請書のご案内 | 全国健康保険協会
小規模法人なら、郵送で手続きした方がラクかと。
神奈川県で出張会場健診を利用する場合
神奈川県の企業で、出張会場健診を利用する場合、
パンフレットに記載されてる流れとは全然違うから、
マジで毎年困惑してました。
来年度の私の為に、覚え書きしておきます。
神奈川県の出張会場健診は、
「船員保険健康管理センター」が行っているのですが、
船員保険管理センターに、申込書類をFAXすれば、
協会けんぽ側への書類提出は不要と言われました。
協会けんぽへの手続きも代行してやってくれるとのこと。
ただ、そうなると困るのが、書類の書き方。
申込書類の記載方法も、パンフレットとは異なりました。
※参考→生活習慣病予防健診(本人)のご案内 | 都道府県支部 | 全国健康保険協会
健診機関名には、本来病院名(船員保険健康管理センター)と記載するのですが、
出張会場を利用する場合は、会場名を記載してくれた方がありがたいとのこと。
また、検診を受ける日がパンフレットに明記されてない(出張日未確定)場合、
検診を受ける「月」だけ記載してくれれば良いとのこと。
出張日確定後に、都合が悪くなった場合も、電話連絡で受診日変更も可能とのことでした。
船員保険健康管理センターでは、一般検診以外の健康診断も行っているので、
35歳未満の定期健診も、同日に行う事も可能でした。
その際は、一般検診を受ける人の下に、定期検診を受ける人の名前を記載すればOKです。
結局のところ、FAX送付後に、
船員保険健康管理センターから、電話確認があるので、
その時に、具体的な内容は確認できるし、間違っていれば、修正も可能。
私は、35歳未満の従業員も、間違えて「一般検診」で申し込みしてしまったのですが、
電話で「労B」ですよね?って。変更してもらえました。
電話で修正できるなら、最初から電話申し込みできると助かるんだけどね。
FAX後と言いましたが、電話確認があるのは、検診2ヶ月前くらい。
健康診断の10日くらい前に、健康診断で提出する検査キットも届きます。
ちなみに、船員保険健康管理センターでは、
当日現金支払い以外に、後日会社請求での支払いも対応しており、
同時に、アレルギー検査等のオプション検査も可能でした。
※参考→健診・人間ドックのオプション検査項目|横浜リーフみなとみらい健診クリニック
結局のところ、健康診断をやるのは、健診機関なので、
健診機関に問い合わせたほうが、健康診断については詳しく教えてくれます。
協会けんぽは、35歳以上で生活習慣病予防検診の割引が効くってだけ。
とりあえず、健康じゃないと働けないから。
お金云々の問題じゃなくて、健康診断は受けた方が良いと思うよ。
協会けんぽ(健康保険)と年金事務所(厚生年金)は別モノ
社会保険って、健康保険と厚生年金保険の2つを指すモノ。
健康保険も、従来は社会保険庁の管轄だったのですが、
現在では、健康保険の部分は「協会けんぽ」が運営となっています。
中小企業等で働く従業員やその家族の皆様が加入されている健康保険(政府管掌健康保険)は、従来、国(社会保険庁)で運営していましたが、平成20年10月1日、新たに全国健康保険協会が設立され、協会が運営することとなりました。この協会が運営する健康保険の愛称を「協会けんぽ」といいます。これは健康保険がもっと身近なものとなるようシンボルマークとともに公募により選定されたものです。
協会けんぽとは | 協会けんぽについて | 全国健康保険協会
いずれも年金事務所で加入手続きとなり、協会けんぽの出番はあんまり無い。
→法人が社会保険に新規加入する際の手続き流れ。厚生年金保険・健康保険の資格取得に必要な書類と注意点。
健康保険料についての問合せも、年金事務所でOK。
役員報酬を変更した場合も、社会保険事務所に書類を1枚提出するだけ。
協会けんぽで、何かを手続きをするという事もありません。
→役員報酬変更後に必要な社会保険事務所での手続き。提出すべき書類と注意点。
ただ、病院の医療費や、健康診断については、
協会けんぽへの問合せとなります。
病院からの医療費請求も、協会けんぽへ請求となっており、
扶養から外れた場合にも、手続きが必要となったりと、複雑でしたから。
→役員報酬の変更方法と注意点。給与変更後に必要な手続きと流れ。
協会けんぽの窓口も、社会保険事務所に常設されているわけでは無いので、
疑問点が有るなら、事前に、電話問い合わせするのが間違いない。
都道府県毎に支部が有ります。
※参考→都道府県支部 | 協会けんぽについて | 全国健康保険協会
同じ社会保険でも、健康保険は、協会けんぽ。
やっぱり社会保険関係は、ややこしいですね。
コメント
コメント一覧 (4件)
役員だけの健診でも会社が費用を払って経費にしてもいいんでしょうか?
あくまで個人的な意見として参考までに。
私は役員だけの会社でも、一般検診なら問題無いと考えてます。
役員以外の従業員がいる場合でも、従業員も同じように人間ドックを受けるのであれば、
これも福利厚生費として損金計上し、問題無いかと。公平性ですね。
会社でやっと健診あったのですが、計測と尿検査だけだったので、血液検査やレントゲンなど他の検査を協会けんぽを使って個人的に再度申し込んで受けることは可能なのでしょうか?
>>他の検査を協会けんぽを使って個人的に再度申し込んで受けることは可能なのでしょうか?
各種健康診断は、病院で勝手に申し込んで受けられます。
もともと健康診断は保険診療外なので、保険は効きません。
よって、協会けんぽも関係ありません。
35歳以上の「生活習慣病予防検診(一般検診)」のみ、
協会けんぽから費用補助が受けられるって話です。