ScanSnapは、書類に特化したスキャナー。
印刷されたアナログデータを、
素早くデジタルデータに変換してくれるわけで、
デジタル化、クラウド化への必須アイテム。
ただ、デジタルデータって、使う側のスキルも必要であり、
ScanSnap自体も、ちょっと癖の有る端末、
使うなら心して。というわけでレビューします。
ScanSnapモデルの違い
ScanSnapには、複数のモデルが有りますが、
ScanSnapで使うべきは、最上位のフラッグシップモデルだけ。
原稿セットと高速スキャンが使えなければ、ScanSnapを使う意味は無い。
エントリーモデル「S1300i」とか、マジで要らないの。
実際、売れているが故に、
新モデルが登場しているのも、フラッグシップモデルのみ。
発売日が違えば、性能も全然違うから、スペック比較しておきます。
ScanSnap現行モデルの違い
モデル | 発売日 | 価格 | タッチパネル | WiFi | 速度 | 原稿セット | A3スキャン方法 | ユーザー数 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
iX1600 | フラッグシップ | 2021年1月 | ¥52,800 | 有り | 2.4GHz 5GHz |
両面40枚/分 | 50枚 | 2つ折り キャリアシート |
4人 |
iX1400 | ハイスピード | 2021年1月 | ¥41,800 | – | – | 両面40枚/分 | 50枚 | キャリアシート | 1人 |
iX100 | モバイル | 2014年6月 | ¥24,200 | – | 2.4GHz | 片面5.2秒/枚 | – | 2つ折り キャリアシート |
1人 |
S1300i | エントリー | 2012年5月 | ¥26,800 | – | – | 両面6枚/分 | – | 不可 | 1人 |
S1100 | コンパクト | 2010年10月 | ¥18,700 | – | – | 片面7.5秒/枚 | – | キャリアシート | 1人 |
SV600A | A3非接触 | 2015年2月 | ¥62,700 | – | – | 片面3秒/枚 | – | オーバーヘッド | 1人 |
USB接続の「iX1400」も出たけど、
+1万円なら絶対に「iX1600」にした方が良い。
複数ユーザー対応だし、A3スキャンも2つ折り対応。
WiFiだけの違いでも無いから。
で、このフラッグシップモデルだけ、
iX500→iX1500→iX1600と、何度も改良されてるわけで、
旧型モデルとの違いは何なのか?
iX500→iX1500では、外観、スペック、機能と大幅にリニューアルされ、
スキャンの高速化、タッチパネルの追加、縦線の軽減機能、
ユーザー数(ScanSnap Homeのライセンス数)も、
最大4人まで利用可能となりました。
![](https://kjshintani.com/wp-content/uploads/2021/06/2021-05-31-16.39.34_thumb.jpg)
一方、iX1500→iX1600の進化では、スキャン速度が33%ほど高速化したくらい、
基本的なスペックは大差無いので、買い換える理由も薄いかと。
旧型モデルとの違い
発売日 | タッチパネル | 速度 | WiFi | USB | ユーザー数 | |
---|---|---|---|---|---|---|
iX1600 | 2021年1月 | 有り | 両面40枚/分 | IEEE802.11a/b/g/n/ac 2.4GHz/5GHz |
USB3.2 Gen1 | 4人 |
iX1500 | 2018年10月 | 有り | 両面30枚/分 | IEEE802.11a/b/g/n/ac 2.4GHz/5GHz |
USB3.1 | 4人 |
iX500 | 2012年11月 | – | 両面25枚/分 | IEEE802.11b/g/n 2.4GHz |
USB3.0 | 1人 |
iX1400 | 2021年1月 | – | 両面40枚/分 | – | USB3.2 Gen1 | 1人 |
新型「iX1600」の登場により、旧モデル「iX1500」は安くなっているので、
この辺は、価格差との兼ね合いで。
ScanSnap iX1600のメリット
原稿セット×高速スキャン
ScanSnap iX1600は、1分間に両面40枚という速度でスキャンします。
複合プリンターのスキャナーとは比べものにならない早さ、
初めて使った人は、ビビるハズ。
書類も一瞬にしてデジタル化できるので、
スキャン待ちの時間も無くなるのよ。
また、最大50枚まで原稿セットが可能ので、
大量の書類も、まとめて一気にスキャンできます。
よって、書籍の電子書籍化(自炊)にも、ScanSnapは欠かせない。
セットする原稿が多い場合は、
ズラして置くことで、50枚以上の紙もセットできる。コレ裏技です。
![IMG_2500 IMG_2500](https://kjshintani.com/wp-content/uploads/2015/04/IMG_2500_thumb.jpg)
本を自炊するなら、専用の裁断機も必要となりますが、
本格的な裁断機が自宅に必要か?といえば微妙。
ザクザクするのは最初だけ、メンテも以外と大変ですので。
→Dahle DURODEX 200DXレビュー。自炊裁断機の必要性とデメリット。
スキャン性能が高い
ScanSnapが、圧倒的なシェアを誇る理由。
スキャン速度だけでなく、
スキャン性能、スキャン精度が素晴らしいのです。
スキャンされた文字も、カラーイラストも綺麗、
高画質でスキャンできるっていうは、もちろん。
素晴らしいのが、スキャン時のトラブル、エラーが無いのです。
ScanSnapは、様々な紙質、紙の厚さに対応しており、
紙の切り口がギザギザだったり、破れてる書類とか、
サイズがバラバラの書類、折り目が付いている書類・・・
適当に突っ込んでも、問題なくスキャンしてしまうのよ。
重なって紙送りされたり、紙詰まりしたり、
スキャン抜け、スキャンミス・・・ホント無い。
グシャグシャの書類も、ローラーで綺麗にスキャンされるから。
エラーが出なければ、スキャンできてない不安も無いわけで、
スキャンをやり直す手間、スキャンチェックをする必要も無い。
iX1500からは、「縦筋軽減」機能も使えるようになったので、
自炊時の再チェック、マジ不要になりました。
紙が汚れてたら、通知してくれる機能まで備わっているからね。
コンパクトでWiFi対応
iX1600は、WiFi対応なのでPCとのUSB接続は不要。
電源さえ確保できれば、どこにでも置けるのです。
![](https://kjshintani.com/wp-content/uploads/2021/06/2021-05-31-16.49.08_thumb.jpg)
本体サイズも、非常にコンパクトであり、
置き場所にも困りません。
スキャン時のみ、広がる仕組み。
左がiX500、右がiX1500(iX1600)。
![](https://kjshintani.com/wp-content/uploads/2021/06/2021-05-31-16.40.33_thumb.jpg)
エントリーモデルやコンパクトモデルは、省スペースですが・・・
スキャン用紙が前方から排出される仕組みは一緒、
スキャナーに必要なスペースは変わらない。
安いモデルは、スキャンした紙も垂れ流しですからね。
上位モデルには、専用の用紙受けも付いていますので、
スキャン後も綺麗に排出されます。
用紙受けがあるので、棚のギリギリにも置けるんだな。
クラウドサービスに保存可能
ScanSnapで、スキャンしたデータは、
WiFi経由で、他社クラウドサービスに直接保存が可能です。
ScanSnapから、PCを経由する必要が無いので、
PCを起動も不要だし、データ整理する手間も省略。
Dropbox、Evernote、Google Drive、OneDrive・・・と、
クラウドストレージサービスへ、そのまま保存できるの。
→無料クラウドストレージの特徴と違い。個人と仕事の使い分けを考える。
freee、マネーフォワードクラウド、弥生会計といった、
クラウド会計ソフトへ領収書データも、そのまま取り込めるのです。
→個人事業主におすすめクラウド会計ソフト。freee、マネーフォワードクラウド確定申告、やよいの青色申告オンラインの比較。
仕組み化しておくほどに、データ化、データ管理もラクになる。
読み取り設定(プロファイル)は、1台につき30個まで保存もしておけます。
複数人で使える
iX1500、iX1600では、ScanSnap Homeの複数ユーザー対応となり、
最大4ライセンスまで、同じスキャナーを使えるのです。
ユーザー毎にScanSnap Cloud(ScanSnapアカウント)を区別して使えるので、
保存先のPCを分けるだけでなく、
クラウドサービスの保存先も分けられる。
iX1500、iX1600では、タッチパネルも搭載へ、
利用ユーザーや保存先も、
スキャナーのボタン一つで簡単に切り替えられるのよ。
![](https://kjshintani.com/wp-content/uploads/2021/06/2021-05-31-16.46.16_thumb.jpg)
今までは、1台のPCに付き、1人しか使えず、
設定の変更もPCが必要だったんだけど、
複数ユーザー×タッチパネル対応で、スマホやPCも不要。
スキャナー単体で、複数ユーザーが気軽に使えるって凄い便利。
画質変更や各種設定も、スキャナー本体だけで可能になってるから。
![](https://kjshintani.com/wp-content/uploads/2021/06/2021-05-31-16.46.31_thumb.jpg)
![](https://kjshintani.com/wp-content/uploads/2021/06/2021-05-31-16.47.27_thumb.jpg)
というわけで、我が家はリビングにも1台設置。
皆が手の届くところに有れば、
スキャンも各々、思った時にできますからね。
A3サイズまで対応
iX1500とiX1600では、A4以上のサイズ(A3やB4等)を、
2つ折りするだけでスキャンが可能になりました。
※iX500やiX1400では、A3用のキャリアシートが必要でした。
![](https://kjshintani.com/wp-content/uploads/2021/06/2021-05-31-16.48.15_thumb.jpg)
2つ折りして「手差しスキャン」にするだけ。
専用シートに挟むの面倒だったから、凄い簡単。
![](https://kjshintani.com/wp-content/uploads/2021/06/2021-05-31-16.47.38_thumb.jpg)
A3サイズなんて使わないって思っていたけども、
A3では無くとも、A4サイズ以上の書類って多い。
思ったより多用してる機能なのです。
ScanSnap iX1600のデメリット
価格が高い
ScanSnapは、スキャナーとしては高額。
スキャナーの付いたプリンター複合機ですら、
1万円前後で買えるわけで、
スキャナー単体で約5万円は・・・私も躊躇った。
スキャンしまくらないなら、要らない機械です。
ScanSnapは、ただのスキャナーでは無く、
超高速スキャナー、紙をデジタル化する端末だということ。
紙という書類を全てデジタル化するつもりなら、避けては通れない。
格安というよりも、必要コストなのです。
ソフトウェアがダメダメ
スキャン性能は、非常に優れていますが、
スキャナーを管理するシステム、ソフトウェア、付属アプリ・・・
分かりづらく、使いづらく、マジで使えません。
日本メーカー「富士通」品質です。
まず、ScanSnapを管理するソフトウェアは、
既にScanSnap Manager(ScanSnap Organizer)から、
ScanSnap Homeへ移行しているということ。
そして、ScanSnapは、ScanSnap Homeが無いと機能せず、
ScanSnap Homeを使うには、
ScanSnapアカウント作成→ライセンス認証が必要であり、
ScanSnapアカウントに紐づいて、ScanSnap Cloudも使えるのです。
公式サイトで、未だにScanSnap Managerが出てくるのも混乱する要因。
ScanSnap Maneger→ScanSnap Homeは併用できず、
設定したデータも引き継げません。
繰り返しますが、今から使う人は「ScanSnap Home」です。
また、クラウドサービスへ直接保存って言ってますが、
ScanSnapから、一旦「ScanSnap Cloud」へ保存し、
そこから他クラウドサービスへ転送しているということ。
ScanSnap Cloudからの転送にはタイムラグが有り、
ごく稀に連携エラーも有るし、「自動分類」機能も微妙。
そして、ScanSnap Cloudは、一時保存専門のクラウドストレージ。
保存容量無制限だけど保存期間は2週間というタイムリミットも有るのです。
クラウドサービスに自動保存したいなら、
PC内のクラウド同期フォルダ、
Dropbox、Google Drive、OneDriveフォルダを、
ScanSnapの保存先に設定するって方法も有る。
あと、OCRスキャンにも枚数制限有り、質も微妙なので、
ScanSnapではOCRは使うべきではないし、
付属ソフト(PDFアプリ)も使わない方が良い。
クラウド、OCR、PDF・・・と、
なんだかんで、ITスキル無いとキツイのです。
紙しかスキャンできない
ScanSnapって、紙を1枚ずつスキャンするので、
ペラペラの紙以外はスキャンできません。
スキャンできる紙厚は、
坪量で40~209g/m2(34.4~180kg/連)、官製ハガキの厚さまで。
プラスチックカードなら0.76mmまで。
ちょっと分厚い紙や、紙以上の厚さの物をスキャンできないので、
これ一つでスキャン全般OKってわけでは無いのです。
まぁ、最近は、スマホのスキャナーアプリも進化しているので、
スマホカメラで撮影することも増えましたけど、
やはり平面のまま綺麗にスキャンしたいとなると・・・
複合プリンターも有ったほうが良い。
ScanSnapの使い方、デジタル化の心得
電子化の利点を理解する
スキャン=デジタル化ということ。
なんの為にデジタル化するのか?
電子化の利点は、理解しておくべきです。
情報をデジタル化することにより、
物体が無くなるわけで、保管するスペースが不要となり、
情報を持つ必要も無くなる。
情報の使い勝手も向上し、検索、複製、譲渡も可能へ。
LINEやメールでラクに共有もできるのです。
また、クラウドサービスも併用すれば、
スマホ、タブレット、PCと、
情報をどこからでも取り出せるようになる。
必要な時に、書類が無いってことも避けられるのです。
ただ、情報は管理されてこそ、便利に使えるわけで、
闇雲にデータ化すれば良いというわけでも有りません。
データ管理能力も問われてます。
データ管理ルールを作る
ドキュメントに限らず、データ管理って非常に難しい。
少なからず、スキャン時のルールは決めておくべき。
- 書類は溜めない
- スキャン品質にこだわらない
- データ管理にこだわる
- なんでもスキャンしない
まず、書類は溜めない。
目を通した時点で、スキャンするかどうか?判断して、
要らないなら捨てる。
「とりあえずスキャン」してはいけない。
スキャン品質にもこだわらない。
基本的に「おまかせスキャン」で問題無い。
書類(文書)なら、保存形式はPDF。
カラーモード、画質、向き、全て自動。
情報は読めれば良いのです。
スキャンしたデータは、クラウドストレージへ保存。
Dropboxでも、Google Driveでも、なんでも良い。
ScanSnap専用のフォルダを作って一時保存。
ファイル名の自動生成は、使い物にならないので、
日付と連番で出力→手動変更。
ファイル名を付けるポイントは、
ファイル名検索で引っ掛けられるようにすること。
「ジャンル+日付+名称」あたりが定番ですが、
日付(スキャン日)だけは、必ず付けるようにする。
ex.【領収書】2021_06_03_商品名
まぁ、重要度の低い書類は、
Evernoteにバシバシ突っ込んで「タグ」管理でも良いのですけど、
最近は、Dropboxで意識してフォルダ分けしてます。
データ管理ソフトには依存しない。
Evernoteって便利ですけども、データ管理しない為のアプリ。
唯一無二であるが故に、抜け出せなくなるし、
抜け出せなくなる程に、なんか重くありませんか?
自分でデータ管理できるなら、Dropbox。
データ削除もサクサクできるし、データ復元機能も有る。
データを溜め続ける機能って要らない、
削除しやすい機能が重要なのです。
なんでもスキャンしない
データ化しておけば、書類を捨てられる、
全て保管できるってのは妄想です。
確かに、データは大量に保存できるけど、
データだって保管コストはかかるわけで、
情報が多くなると埋もれるし、処理も重くなる。
データ管理の手間も増え、増えるほどに難易度も上がります。
使わない情報は、ゴミ以下なのです。
というわけで、
まず、自分の生活の中で、出てくる書類を把握して、
スキャンするもの、スキャンしないもの。
重要度も考えておくべきなのです。
- 仕事:請求書、資料、冊子、名刺、封書、年賀状
- 税務:税務書類、控除書類、社会保険
- 領収書:カード利用明細、レシート、水道光熱費、通信費
- 契約書:カード、銀行、保険
- 医療:診療明細、薬明細、健康診断
- 子供:保育園や学校のプリント
- 自炊本:裁断した書籍
- 旅行:ホテル、航空券、パンフレット
- 写真:貰った写真
スキャンして便利だなと思うのは、
レシートや領収書と子供のプリント類。
あと、役所や税務関係の書類。
納品書、保証書、説明書、メモ・・・捨てた方が良い。
マニュアルって基本見返さないし、なんなら検索の方が早い。
買った物も、メール検索で探すことが多く、
ショッピングモールの購入履歴からも抽出できますからね。
レシート類も残していても煩雑になるだけなので、
税務で使う証憑書類以外は捨てるべきです。
→法人・個人事業主の領収書&レシートの管理方法。税務調査へ向け証憑書類を整理してみた。
![](https://kjshintani.com/wp-content/uploads/2015/02/IMG_2105_thumb.jpg)
自炊も便利ですけど、自炊する手間が凄いわけで、
電子書籍で買っちゃった方がラク。
本は読む為のものであり、データコレクションするものでもない。
敢えて自炊するなら、勉強用の本。問題集や参考書とかです。
→電子書籍と自炊のデメリット。本のデジタル化で知っておくべきこと。
![](https://kjshintani.com/wp-content/uploads/2021/05/2021-05-26-15.48.45_thumb.jpg)
紙社会の全てが「悪」というわけでも無く、
大事な書類を、アップロードしてしまう危険性も有りますので。
クラウドを過信しすぎないように。
ScanSnapまとめ
書類をデジタル化するなら、ScanSnap一択。
類似商品と比べてもダントツなので、
コレ以外は選ぶ意味も無いです。
場所を取る書類もデータ化してしまえば、
自宅や事務所のスペースも増え、
ついでにクラウド化もできて一石二鳥。
ただ、デジタル化が目的では無いということ。
要らんものは、要らないわけで、
問題の先延ばしにしないように。
スキャンしたデータを捨てるのも大変ですから。
写真も撮るなら、撮りっぱなしにしない。
Google Photoの有料化で困っている人も多いですよね?
容量無制限サービスは、移行できない仕組みも有るわけで、
Amazon Prime Photoの自動アップロードも、
ちゃんと考えてから使った方が良い。
全部見れるようになれば、見ないもの。
なんでもかんでも取っておくのは、
情報の価値が分かっていないから。
情報の取捨・・・できる人間になりたいね。
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